第51話大浴場

「分かった!

 逃げないから離してくれ」


 降伏宣言をしても、女四人はマッサージに夢中になっている。

 興奮しているのか、夢中なのか、声が届いていないようだ。

 これはどうした事か?


「ご主人様、もうこの子達はみんなテツオ様の虜になってますわ。

 皆、離れたくないのです」


 そんな……

 俺がゼロから育てたかったのに。

【魅了】が効きすぎたのか?


【解析】でプロフィールを見るのも可能だが、後でじっくり楽しむ為に敢えて情報を入れ過ぎない。

 この四人はただの美女だ。


 メルロスが俺に覆いかぶさり、垂れた白金髪が俺の顔を撫でた。

 その髪の毛がゆっくりと下がっていく。

 メルロスは身体中をマッサージしながら艶かしい声を漏らしている。


 四人は俺の手足を指先まで一本一本丹念にマッサージしている。

 まだ名前もはっきり覚えていない美女達が絡みついてくるシチュエーションは凄く興奮するな。


 下を見ると、彫刻の様に整ったメルロスの綺麗な顔が、俺の足元のマッサージ器と同じ視界フレームに収まっている。

 申し訳なさを感じるくらいだ。

 マッサージ器に群がる五人の吐息が、浴室に響き渡る。


 これが!

 これこそが男の夢、ハーレム!


「ご主人様、もう我慢出来ませんわ」


 メルロスが俺のマッサージ器に跨り、今まさに施術開始しようとしていた。

 四人の目が、メルロスの中へゆっくりと沈み込んでいく様を眺めている。

 めっちゃ見られている。

 四人から「おめでとうございます」と祝福されるメルロス氏。

 何故か俺もめでたい気分になるから不思議ですね。


「ふぁはぁっ!」


 変なトーンの声を漏らしてしまった。


 そうだ、メルロスはハイエルフだった……


 エルフ族全員がそうなのかは知らないが、人間より複雑で変態なマッサージ器の構造になっているのを忘れていた。

 エルメスともまた違うが、マッサージ器の内部には、無数の突起が大小様々に伸縮し、まるで蛇が小動物を生きたまま捕食しているかの如く絡み付き、感じる部分を探すように刺激してくる。

 ゾリュゾリュ、プニュプニュ、グッチョグッチョと色んな音が浴室に鳴り響く。

 なんて音なんだ。

 だがそのどれもが、


「き、気持ちいい」


「ああ、嬉しいですわぁ。

 ご主人様がいっぱい」


 メルロスは没頭し、恍惚な表情を浮かべ、声が徐々に大きくなっていく。

 実は今、初めて二連続で限界に達してしまった。


 賢者タイムすら搔き消すハイエルフの力。

 マッサージ用ミルクが漏れると、突起の一つが膨らんで先端をパクッと包み込み液体を吸い取る。

 漏れる度、突起が吸い取っていくので室内がマッサージ用ミルクでベタつく事なく常に濡れ具合をキープ。


 静のエルフじゃなくて、精のエルフじゃないかってくらい凄い構造をしている。


 他の四人がそれを羨ましそうに眺めながら、俺のハンドマッサージ器やフットマッサージ器に身体を擦り付けている。

 この四人にもサービスしないとな。

 手足のマッサージ器を振動させつつ、女の患部に向かって魔法を放つ。


 微弱な【衝撃波】がまるで施術しているかのようにリズミカルに患部を刺激するのだ。

 この魔法ならば一切傷付けず、患部の奥をトントンと優しくノックされてるような感覚を味わえるだろう。

 ゲルちゃんだと皮膜を突き破ってしまう危険性があるので、これはいい魔法だ。


 四人が今まで感じた事の無い快感に、声を上げ、身体をビクッビクッと反応させる。

 マッサージ器に反応する動きが堪らない。


【衝撃魔法】のピストンを最初はゆっくり、後半に向けてスピードアップしていくと、四人は限界を迎え、ぐったりしてしまった。


 さぁ、メルロスに集中しよう。


 施術したまま起き上がり、団長ソニア、巫女エナに匹敵する患部に顔を埋める。


 うむ…………


 お待たせしました、審査結果を発表します。


 メルロスを……


 三大巨◯の一人に認定します!


 張りはソニア、大きさはエナ、柔らかさはメルロスだ。


 顔を埋めたまま癒される。


「メリー、エルフはどうしたら気持ちいいんだ?」


 エルフ族の弱点を今後の為にも聞いておきたい。


 人間とほぼ一緒だが、マッサージ器内部の突起一つ一つが敏感らしく、それが無数にあるので気持ち良さは人間の数倍だという。

 なので、マッサージをすると百倍は気持ちいいのかもしれない。

 メルロスもマッサージは初めてだったので、あくまで想像の範囲だ。


 エルメスのマッサージ時はキツキツ過ぎて数回で俺が果ててたので、気持ち良さを与えれたのか不安だったが、メルロスがそう言うなら大丈夫かもしれないな。


 おっと、他の女の事を考えてる場合じゃない。

 今はメルロスに集中しないと。


「じゃあ、動いてみるぞ」


 抜いて、入れるマッサージ。

 ワンストロークでメルロスの両手がプルプル震える。


 テンストローク目。

 俺にしがみつき、身体がブルブル震えている。


「メリー、どうだ?」


「気持ち良過ぎておかしくなりそうです」


 おいおい、そんなにか?

 だが、俺もこの無数の突起物を掻き分けて奥へと到達するまでに、とてつもない快感の波が襲ってくる。

 よく十回も出来たと自分でも思う。


 動かないでいると突起が勢いよく俺への刺激を再開する。

 結局、静と動どちらを選んでも気持ち良すぎるのは一緒だ。


 じゃあ、もう激しく動いてフィニッシュまでいってしまおう。


「激しく動くぞ」


「ご主人様の望むままに」


 その言葉良し!

 うぉおおおおおおおおおお!

 頑張れ、俺!


 うっ!

 口惜しや、記録は計二十回。

 メルロスは十回目で絶頂、そこから一回突く毎にオーバーキル気味に果て続けた。

 二十回目にメルロスが気絶すると、マッサージ器の締め付けがマックスになり強制的にフィニッシュ。


【覚醒魔法】を掛けメルロスを起こす。

 メルロスはとろんとした顔で俺に見ている。


「ご主人様、素晴らしい経験をありがとうございました」


「うむ。

 してメリーよ、一つ聞いてみるが突起物をコントロールしてるのか?」


「いえ、してないです」


 やっぱりか。

 淫魔サキュバスが凄いって事だな。


「出来るものなのでしょうか?」


 興味津々で聞いてくる。


「出来る者もいる」


 すると、メルロスは恥じらう顔を見せ、


「分かりました。

 ご主人様の為に練習しておきますね」


 と、意気込んだ。

 そんなに頑張らなくてもいいんだけど。


 未だ倒れている女性四人を【覚醒魔法】を掛けて無理矢理起こし、ようやくして姉妹を介抱させる。

 姉妹にハーレム状態を見せるのは刺激が強いかもしれないので、ゆっくりと馴染んでいってもらおう。


 浴槽の中、メルロスに後頭部を預け、まったりと話をする。

 今日の女性達の働きぶりや心の様子、作製を頼んでおいた服や下着の進捗状況、農場の状態など、デカスドーム一日の報告を聞く。


 女性達は精神状態は非常に落ち着いていて良好だが、俺にもっと会いたいという声が出始めているという。

 微量の【魅了】効果だからその程度で済んでいるのだろう。


 仕事は楽しく真面目にこなしているらしく、問題は無さそうだが、仕事をしていない時に暇潰しの手段が乏しいというので、娯楽か何かを早急に用意すると約束した。


 ちなみに今日の催し物は、

 メルロスがご主人様の素晴らしさを説き、愉しませる為のレッスン講座。

 土精霊ノームノムラさんによるヒーリングタイム。

 妖精ピクシーピピの農作テクニック講座。

 の三本です。

 案外、楽しめてるんじゃなかろうか?

 精霊と妖精に触れ合えるって結構貴重な体験じゃない?

 メルロスのレッスンはやり過ぎないか心配だけど。


「新領地では人手が足りないのでな。

 彼女達にも働いてもらおうと思ってるが大丈夫そうか?」


「問題ないと思いますわ。

 でも、働いた分しっかり可愛がってあげてくださいませ」


 確かに。

 働いたらその分報酬が貰えるのは常識だ。

 衣食住以外のご褒美が欲しいのは人間なら当たり前だろう。

 マッサージ以外の何か考えなければいけないな。

 一人に許すと芋づる式に三十五人にマッサージしなきゃいけなくなる。

 何度も言うが、俺は彼女達とはじっくり楽しみたいんだ。


 姉妹の様子を見てきますね、と言ってメルロスは俺にキスをした後、浴室から出て行った。


 すると、入れ替えでリリィが入室してくる。


 おっと、リリィの事を完全に忘れていた。

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