第50話ナティアラ
【
使わざるを得ない!
姉妹を選択する直前に時を戻した。
俺はアマンダも選びたい!
あんな状態になったアマンダを選ばないなんて男としてどうかしてる。
しばらくすると、ズズ……と、黒皮が貼られた分厚い扉が開かれる。
アマンダがその細い身体を俺の前に現した。
「選んで頂いてこんなに嬉しい事はありません」
深くお辞儀をする。
そんなに畏まらなくていいのにな。
いや、待てよ。
お辞儀によってアマンダの胸の谷間ががっつり見えている。
姉妹とずっと接していて、ようやく気付いた。
そして、確信に変わった。
アマンダのこれは見せているのだ。
俺に見せつけているのだ。
しかも、ごく自然に。
娼婦に育てられたこの姉妹。
ナティアラは娼婦が嫌で、父親を真似た。
アマンダは娼婦の仕草、女の技を身に付けた。
二人とも、自分を守る為の選択。
だが、圧倒的権力を持つ貴族にそれは通じなかった。
姉妹はとても戸惑い、そして怖かった筈だ。
しかし、今まで守ってきたものをぽっと出の俺にそんな簡単に与えていいのか?
ブレイダンがお礼をしろと言ったからか?
そんなに好かれる程の時間を過ごしてないし、まぁ、確かに結果的に貴族から店を守った形にはなったが、それはまた別の話だろう。
どう展開していくかも分からないし、とりあえずアマンダにソファへ座るよう促す。
すると、アマンダが黒いドレスを脱ぎ始めた。
金縛りにかかったかのように、脱ぎ終わるまで見続ける。
赤い下着姿がとてもセクシーで目が釘付けになった。
「いやいやいや、どうしたの?
展開早くない?」
襲い掛かりたい衝動を辛うじて抑えるが、フワフワな発言をしてしまう。
「そのつもりで来たので……覚悟は出来てます」
覚悟が必要なくらいなら無理しなくてもいいって伝えたら、そのまま俺の胸に飛び込んできた。
「先程の続きを……テツオ様」
「俺も続きがしたい。
でも、俺なんかに、いいのか?」
アマンダが俺の胸に頬と手を添え話し出す。
「テツオ様は、テツオ様が考える以上に魅力的で素晴らしいお方でございます。
テツオ様に包まれるのなら、今まで頑張ってきた事が全て報われる。
そんな気がします。
それとも、私などでは物足りませんか?」
最高の女が手の届く範囲にいる。
何をしてもいい状況で我慢をする方がもはやどうかしている。
俺を悩ましげな眼差しで見つめるアマンダ。
気が付けば、押し倒し、上から下まで全身マッサージコース。
俺の一挙一動に色っぽい声を上げて感じている。なんて敏感なんだ。
今まで何人もの女性と接してきたが、こんなに色っぽい女はいなかった。
病み付きになりそうだ。
ゆっくりと奥までマッサージすると、アマンダは身体を震わせ、声が一際大きくなる。
汗をしっとりかきはじめ、アマンダの良い匂いに包まれる。
ああ、なんていい女なんだ。
没入感が半端ない。
抱擁力が凄すぎる。
「テツオ様、幸せです」
「俺も幸せだよ。
俺の女になるんだ、アマンダ」
俺のその一言でアマンダは限界を迎えた。
お代わりマッサージもしっかり頂き、今は俺の胸の上に穏やかな顔を乗せている。
その顔を見て本当に幸せな気持ちでいるのだと実感する。
高嶺の花過ぎて、俺なんか相手にされないんじゃないかとブレーキがかかってしまい、ついつい慎重になっていた。
だが、このアマンダをして、ここまで言わせたのなら自信を持ってもいいのかも知れない。
無意識に【魅了】魔法が漏れてないか心配な気もするが。
すると、ズ……ズズ……と扉がゆっくりと開く音がする。
そこにいたのは下着姿のナティアラだった。
「ナティアラ……どうして?」
二人半裸でいるところにナティアラが入ってきたので、アマンダが困惑している。
「あたしもテツオと一緒に居たいんだ」
「あたし?ナティアラ、貴方……言葉使いが。
そう、貴方もテツオ様の虜になったのね」
その通り。
時間を戻しはしたが、ナティアラの俺の事が好きな記憶はそのまま残したのだ。
姉妹の修羅場も想定したが、寧ろ逆の答えが返ってきた。
「テツオ様、ナティアラも一緒にマッサージしていただけませんか?」
どちらかを選ぶというブレイダンが提示した選択肢は今ここに消え去り、俺は姉妹両方を手に入れたのだ。
これは、必然である!
「もちろんだ。
さぁ、ナティアラこっちにおいで」
決まった!
両手に花とは正にこの事。
二人を寝かせ、二人同時にマッサージを施術する。
俺自身は【転移】と【時間操作】を繰り返しながらだが、姉妹には俺が二人いるように見えるだろう。
そう、俺は何人でも同時に施術が可能なのだ!
圧倒的快感に二人は堪らず限界を迎え、俺も二人にフィニッシュ。
【水魔法:白濁水】による擬似発射なので、心配は一切無い。
【擬似液】を体内に具現化させリアルに注射をしてるので、本物と同じような快感が得られる。
ちなみに俺の栄養剤は【水魔法】でコーティング済みだ。
魔法による完璧なマッサージである。
俺は世界一女性に優しい存在なのだ。
「さぁ、二回戦目に入るぞ。
俺を満足させるんだ」
姉妹と三人でマッサージする気持ち良さに没頭してしまい、結局五回戦までいってしまった。
姉妹合わせて計十発。
【水魔法】でスカスカになる事が無いので、怖いくらい出しまくれる。
放心状態になり、ソファでぐったりしている姉妹。
顔から脚まで全身が白濁としたマッサージ用ローションまみれだ。
黒いソファの上に白い水溜まりが出来ている。
補足しておくが魔法で創り出された液体なので匂いは一切無い。
ちょっと儂の中のモンスターが暴れ過ぎたようだわい。
「このバーは今夜で閉店だ。
お前達には俺の新領地で働いてもらう。
ブレイダンさんにはちゃんと伝えておくから心配するな。
いいか?」
二人から返事がない。
気絶?
どうやらやり過ぎてしまったようだ。
メルロスに連絡を取り、女性二人を連れて行くから面倒を見てくれと頼む。
【転移】
——デカスドーム・テツオホーム
四階・大浴場
アマンダ、ナティアラを風呂に入れていると、失礼しますと声がしてメルロスと女性四人のシルエットが湯気の向こうに見える。
五人はさも当然のように裸だった。
あ、しまった。
服もしくは水着着用とでも言っておくべきだったか。
しかし、それはメルロスが許さないかもしれない。
いや、ここの主人は俺だ。
俺がルールを決める。
「この姉妹二人は今日からここで暮らす。
今、気絶しているから面倒を見てやって欲しい。
その前にだが、プライベートでの入浴時以外ここでの業務は、水着着用をルールとする」
畏まりました、と言い四人は着替えの為に浴室から一旦出ていこうとする。
だが、メルロスは裸で倒れている二人をじっと見たまま、手で制し四人の動きを止めた。
「ご主人様?」
「は、はい!」
メルロスのあまりの威圧感に、背筋をピンと伸ばして直立不動になる情けない俺。
「あれほどご主人様のご寵愛をいただきたいと再三申し上げておりますのに、また新しい女性に先を越されて、私大変悲しいです」
メルロスが俺のマッサージ器を物欲しそうに見ながら催促してくる。
そんなにジッと見られたら恥ずかしい。
「俺は美味しい物は最後に食べるタイプなんだ。
メリーを初めて抱く時は万全の状態で臨みたい。
分かるか?」
「私が最後って、まだ先約があるんですか?」
あ、失敗した。
「実力行使に移します。
貴女達、テツオ様を抑えなさい」
まるで最初からそうするのが目的だったかの様に四人の女達が俺に向かってくる。
思わず後ずさりすると、足を滑らせ床に尻もちをついてしまった。
「今よ!
手足を抑えなさい」
メルロスが好機とばかりに指示を出し、四人が襲い掛かる。
なんて光景なんだ。
美女達が俺の手足に絡みついてくる。
柔らかいし、いい匂いだし、天国だ。
ああ、三十五人とメルロスは一人ずつじっくりと堪能したかったのになぁ。
メルロスが捕獲した獲物を仕留める肉食獣の様にゆっくりと近付いてくる。
もう逃げられない。
俺は覚悟を決めた。
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