第11話エナ

 おっとりしたタレ目がちな優しい顔に、この巨乳のアンバランスさ。

 キュッとくびれた腰から少し大きな尻がきて細い足が伸びる。

 可愛いと耳元で囁く度に身体が敏感に反応する。

 エナは巫女にしておくには勿体ない身体と素質の持ち主だ。


 もちろん、すぐさま【回復ヒーリング】を施し、初めての痛みを一切感じさせない。

 これによりいきなり全開で動く事が出来る。

 バーストする前にちょいちょい時間を戻しながらエンドレスに動きまくる。

 耐久や速度をほんの僅か強化バフし、【水魔法:潤滑液ゼリー】を付与エンチャントする事で長時間活動持続を可能にした。


 必ず満足させれるだろう。


【土魔法:ミラーウォール


 揺れるより暴れると表現した方がいい胸を鏡で眺めながらフィニッシュ!

 征服欲が満たされるいい時間を過ごせた。


「はぁ、はぁ、あの、お名前は?」


 帰ろうと装具を整える俺に、未だ肩で息をしながら果てているエナが訪ねる。


「ああ、名乗ってなかったか?

 俺はテツオだ」


「テツオ様、またお会い出来ますか?」


「もちろん」


 この【魅了】が解けてしまった後、どれほどの好感度が残っているかによるが。


「起こして悪かったな。おやすみ」


「おやすみなさいませ、テツオ様」


【闇魔法:睡眠スリープ


 頭を撫でつつ魔法でエナを強制的に寝かせこの場を去る。


 再び魔法で創り上げた風呂に入る。

 湯船にはさっき浸かったからシャワーで十分だ。

 魔法解除ディスペルして風呂の痕跡を消し(濡れた地面はそのままでいいか)、宿屋の自分の部屋へ【転移】する。

 空中に浮いたままベッドにダイブした。

 あまりに気持ち良い気怠さに包まれ睡魔に襲われる。

 眠気か……。

 MP消費による虚脱感も果たしてあるのだろうか?

 時間を戻して永遠に起き続ける事も可能だし、覚醒魔法で眠気を消す事も可能だが。

 そこまでする必要があるだろうか?


 何の目的も無い俺に。


 今まで【時間操作】を色々試してみたが現在から未来へ時間を進める事は出来なかった。

 未来へ時間を進めるには通常通り過ごすしかない。

 過去に飛んだ後、現在までならどの時間にも戻れるが、未体験の未来へは飛べない。

 不思議な事に過去に戻ってももう一人の俺、その時間を過ごす筈の俺とは遭遇しない。

 どの時間軸においても俺はただ一人。

 矛盾が生じている。

 どうやらこの世界の常識は俺の過ごしてきた世界の常識とは違うようだ。

 他に気付いた事と言えば、魔法によって自分がした事を記録保存セーブするかしないかを決める事が出来るようだ。

 そして記録消去リセットも出来るし、上書き保存セーブも出来る。


 例えば一人の女性に手を出したとして、

 記録消去リセットして無かった事に出来るし、

 記憶だけ残す事も出来るし消す事も出来る。


【時間操作】は過去に対して絶大な力を発揮する。

 だが、未来は自力で切り拓くしかない。


 大人しく生活する程度であれば今の俺の能力であれば衣食住は心配なさそうだ。


 とはいえ、この世界をもっと知りたいという思いもある。

 未だ見ぬ美女ももっと知りたい。


 よし!明日は街に行ってみよう。



 ————————




 ————テツオ



 ん?今寝たばかりなのに。


 ——テツオ


 ゆっくり目を開けると時の神のお姉さんがいた。


 ——寝てるところをすまんな。


 夢にまで出てくるのキツいなぁ。


 ——まぁ、そう言うな。謝ってるではないか。


「心読むのもやめてほしいなぁ」


 ——一応、神だからのぅ。


 時の神は拗ねた顔をした。

 可愛い。


 ——おいおい、儂を抱く事は出来んぞ?


 そんなつもり無いよ。


 ——まぁよい。テツオに忠告をしておく事がある。


 ————————


 目が覚めた。

 あれ?時の神のお姉さんの夢を見たような。

 何て言ってたっけ?


 うーん、思い出せない。


 もやもやしながら身支度を整えて宿屋の階段を降りる。


「おお、あんた!」


 声のする方を見ると、昨日ぶちのめした酔っ払いパーティが背筋を伸ばして立っていた。

 なんか嫌な予感がする……


「「昨日は申し訳なかった!!」」


 三人合わせて頭を下げ出す。

 カウンターのおっさんや他の冒険者達が何事かとこっちを見ている。

 こういうの苦手なんだよなぁ。


「酔ってたとはいえ絡んで悪かった!

 殺されてたとしても文句は言えねぇ。

 それを回復までされたとあっちゃプライドも何もねぇ。

 完敗だ!」


 次いで魔法使いの男が話しかけてくる。


「貴公、もし冒険者として高みを目指すのであるならばこれをギルドに出すといいだろう。

 我らの仲間クランの推薦状だ。」


 て言って巻物を手渡してくる。


「クラン?」


「クランを知らぬか。

 クランとは冒険者のみが集まって結成された集団、軍団の事だ。

 クランに所属すれば情報交換やパーティを組んだり色々と利点がある。

 冒険者は色々狙われやすい職業故クランが守り盾ともなる」


「この推薦状があればあんたはすぐに銀等級シルバーの冒険者だ。

 まぁ、あんた程の実力なら金等級ゴールドもすぐだろうがな」


「違いねぇ。

 じゃあ、うちらはこれで。

 ああ、それと酒はもう飲まねぇから村の安全は任せておいてくれ」


 と一気に捲し立てられ、一向は宿屋を去っていった。

 だとよ。

 オフの日は飲んでくれても構わないんだが俺の知ったこっちゃない。


 お騒がせしました、と宿屋のおっさんに伝え俺も宿屋を出る。


 朝日が気持ちいい。

 北の国だからか少し肌寒い風が体を通り過ぎ目がシャキッとする。


 さぁ、俺の冒険は始まったばかりだ!


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