三日月




朝5時を過ぎたところだが


東の空に その大部分の闇を携えた上弦の三日月が居る


ほんの1メートル右下には 明けの明星が大きく輝いている


早朝に三日月を見たのは もしかして 初めてかもしれない


三日月といえば 夕方の西の空に現れるものだと


子どもの頃には思っていた



果たして そんな訳はなく


満月や半月と同じように 東の空から登って


日中に南中して


そして 夕方に西の空に降りてくるのだけれど




冬の早朝は 寒さと曇天で 人の目に触れることなく


昼間は その光の弱さから 人に発見されることもなく


ようやく 夕方に 帰路に着かんとする人の目に留まる




朝の三日月よ


この俺が君を見つけたことを何と思っているか




いやな気持ちでなければよいが







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詩集「自家焙煎」 焙じ茶 @houjichaaa

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