七章

一節 「キセキを起こす」

 僕は「神のキセキ」を起こさなければいけないと思った。

 花蓮の目的を聞いて驚いた。

 ずっと目的があると言っていたけど、その内容は教えてくれなかった。

 だから、僕は待つことにしていた。

 彼女が僕に心を許してくれるまで待とうと思っていた。

 それが、僕の彼女に対する思いだった。

 いつまでで待てる気がしていた。

 もちろん、正直彼女が事故を起こしたことを簡単に受け入れることができない気持ちもある。

 彼女が直接的に悪いわけではないのはわかっている。

 でも、すぐには気持ちは追い付いていかない。

 それでも、時間をかけてでも彼女を受け入れたいと思っている。

 それは、これまで彼女と過ごしてきた時間があるからだ。とても楽しい日々だった。

 僕は、彼女を愛しているのかもしれない。

 僕は自分の気持ちを改めて意識した。

 そして、花蓮と彩が繋がっていることにびっくりした。

 出会いとは本当にわからないないものだ。

 これもキセキのなすものなのだろうか。

 それとも僕たち三人は運命で繋がっていたのだろうか。

 そして、彩の僕に対する深い愛に涙が出てきた。

 僕はまた彩に救われてた。花蓮も僕のために動いてくれた。

 彩は直接僕に何を伝えたいのだろう。

 二人がここまでしてくれたのだから、僕はその気持ちに応えたい。

 花蓮がいくつものキセキが起こしてきたと思う。その行動を無駄にはしたくなかった。

「僕は、『神のキセキ』を起こすよ」

「えっ、起こしてくれるの?」

 彼女はキラキラした目で僕を見つめてきた。

 なんだか彼女を見つめるのが恥ずかしかった。

「うん、一瞬なら彩を蘇らせることはできる」

 神としての記憶と力は完全に僕のもとに戻ってきている。

 ただ完全に蘇らせるほど、僕はまだ神として実力はなかった。

「よかったー」

 彼女はすごく喜んでいた。

 彼女はこの街には美しいものが多いと言っていた。

 もしかしたらこの街を作った人の思いがあるのだろうか。

 でももっと美しいものがある。

 それは彼女の笑顔だ。

 そのことは、恥ずかしくて言えなかった。

「よし、今から起こそう」

 また、あの神に邪魔をされないうちにしようと思った。

「うん、頑張って」

 僕は右手を空のかざす。 

 その手の先に光が集まってくる。

 僕は集中して、彩をことだけを頭の中で考える。

 手のひらに力を集めて、空に解き放つ。

 そうすると、空中に本当に彩が浮かび上がってきたのだった。

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