二節 「花蓮の目的」
「話があるの」
次の日の夜、私はホテルで彼に話しかけた。
結局彼の予約したホテルに、あの日からずっと一緒に泊まっている。
居心地がよかったからだけではない。これも私の目的のためだ。
彼といるとすごく居心地がいいことは確かであったけど。
ホテル代は私がキセキで支払っている。
泊めてもらってるんだから、それぐらいはしてもいいはずだ。
「どうしたの?」
彼の目はまだ真っ赤に腫れていた。
それでも私の心配をしてくれている。
本当に優しいねと心の中で思う。
「私がこの街に来た目的をまだ話していなかったよね」
「うん、そうだね」
私は決心した。
今日こそ話そうと思った。
「私がこの街に来た理由は、ある人を見つけるためだった」
「ある人?」
「うん、正確には人ではないか。私は、キセキを作った神様を探していた」
「えっ?」
「驚くよね。私も誠がその神様だとはさすがにさっきまでわからなかった。そこは偶然よ。私は神様に会って、あることをお願いしたかった。そのために大切な時間を使い、色々なところに旅もした。キセキポイントも貯めてきた」
キセキは、適当に貯めていたわけではない。
ちゃんと目的もあったし、積極的に貯めていた。
だから彼と一緒に行動しているときも、キセキを貯めていた。わざわざキセキを起こしていた。
そして何より、私は出会いをキセキで起こした。
私の目的を達成するためには、誠に会う必要があった。
誠に出会うために、私はいろいろなキセキを起こしてきた。
「あること?」
「そう、死んだ人間を、いや彩さんを生きかえらせたい。ずっとじゃなくていい、一瞬でもいい。私のキセキポイントをすべて使っていい。そのために貯めてきた。神様にキセキを起こしてほしいのよ」
そこで彼は黙った。
私から彩さんの話が出てきて驚いただろう。
そして、彼には神様としての能力が戻ってきたはず。
私の願いが叶えられるか考えてくれているかもしれない。
「それは、できなくもない。でもどうして、そこまでして花蓮は彩を生き返らせたいの? 確かに花蓮が事故を起こした。けど、たまたま出会った一人の人だよね?」
「それは、彩さんの最後の言葉に関係しているよ」
そう言って、私はあの日に起きた私しか知らないことを話し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます