四節 「出会い」

 出会いとは、本当に奇跡の賜物だろうか。

 それとも神様のいたずらだろうか。

 私はいまだにそれがわからない。

 

 次の日、私は泊まるホテルをどこにしようかなあと街をぷらぷら移動していた。

 ホテルの宿泊代にもキセキが使える。

 私のポイント累計からして毎日泊まっても余裕でポイントは残る。

 毎日、違うホテルで泊まるのもいいかなとか高級ホテルに泊まろうかなとワクワクしていた。

 その時に、たまたま男の人とすれ違った。

 あとから思うに、私たちは出会う運命だったんだと思う。

 目的は違うけど、こんなにも広い日本の中で、同じ時に相手を意識した。そして、出会うことができたのだから。

 背はかなり高く、短髪のツーブロックの髪型をしている。

 目が少しつり目だ。

 でも、そんなことより私には気になることがあった。 

「なんで、累計ポイントが0なの?」

 私は突然話しかけてた。 

 まるでばったり知り合いに出会ったときのように話しかけた。

「何でって言われても……」

 彼は頭をかき、少し困っていた。

 そこで、私はまたやってしまったと思った。

 いきなり知らない人から話しかけられたらびっくりするのも当たり前だ。

 だから、まずは名前を名乗った。

「はじめまして。私は桃江 花蓮です」

 それでも彼は、まだ警戒している。

 でも、私は話すことをやめなかった。

「あっ、キセキ貯めなきゃダメだよ! 貯め方わかる? 教えてあげようか」

 なぜ貯めなきゃダメなのかと言われると、うまく答えられないけど。

 本当はそんな風には思っていない。

 でもキセキについては、誰もが関心あると私は思っている。

 ただ注目してもらうにはいい話題だからそう話した。

「別に。なぜか貯めたくないから」

 私はびっくりした。

 そんな風に考える人に今まで出会ったことがなかった。

 みんなポイントに貯めるに必死な人ばかりだった。 

 それはそれは見ていて、かわいそうになるぐらい必死だ。

 私はその瞬間、自分でも驚くぐらい彼のことを面白いと思った。

 だから、こう話しかけた。

「ねぇ、もっとあなたのこと教えてよ」

 

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