二章

一節 「キセキポイントランキング1位の女」

「ただいまの累計ポイントは、70憶1240ポイントです」

 私、桃江 花蓮ももえ かれんは上機嫌で歌を口づさむ。 

 茶色のツインテールが揺れる。

 ここは、日本の中心都市。

 青色が映える美しい街。

 私は今日この街にやって来た。

 私がこの街に来たのには理由がある。

 私のキセキポイントは、ランキングダントツで1位だ。  

 もちろん、グレードも一番高いプラチナだ。

 きっと今後2位の人が追い付くことはできないだろう。

 ランキングまで作りさらに公表するなんて、やり方がやはり自由だなと思う。

 私は、キセキについては面白いなと思う。

 また、数値化されていることで、分かりやすくていいなとも思う。

 批判する人もいるけど、つまらない日常より何かやることがある方が人生は楽しい。

 楽しいことは多い方がいい。

 私は少し苦笑いを浮かべる。

 人生なんてどうせうまくいかないことばかりなのだから。

 私がこんなにキセキを集められることには秘密がある。

 そんな難しいことではない。

 私はシンプルなことが好きだ。小難しいことを考えるのは苦手だ。

 私はキセキを自在に起こすことができるのだ。

 どれがキセキにあたるのか、私には直感でわかる。

 普通の人はこんなことできないのはわかる。

 でも、なぜ私にこの力があるかなんて考えたことはない。

 考える必要すらないとさえ思っていた。

 神様が気まぐれで私にくれた能力だろうか。

 キセキポイントが始まってすぐにこの力が目覚めていた。

 それがのちほど後悔をするなんて、全く感じていなかった。

 私はその時単純にラッキーと思っていた。

 キセキが貯まる瞬間はなんだか嬉しい気持ちになるからだ。

 いいことをすると気分も上がる。

 気づけば、ランキング1位にまでなってた。

 私は単純だから、それが嬉しかった。

 でも、1位になると、SNSでも話題になるし、有名人からメッセージが来ることも度々あった。

 でも人とかかわることは基本嫌いだから、それはすべてスルーしている。

 一位は嬉しいけど、人にちやほやされたいわけではない。

 それとこれは別だ。 

 キセキを集めることはもはや私の生活の一部だ。

 さくっと目の前の障害物を取り除き、キセキを獲得する。

 そして、1位になったあとも、毎日キセキを集め続けている。 

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