第4話 ようこそ地獄の館へ

 僕は何も考え無かった。考えることができなかった、、、僕は無心に女の後を追う、、、

 

 女が足を止めた。女の立つその先を見ると、豪邸界の模範になるような豪邸があった。

 

 「今日からここがお前が働く場所、今からお前の部屋を案内するからついてきなさい。」


 女はそう言い、再び足を進めて、豪邸の扉を僕と年があまり変わらないような子に開けさせた。


 「お帰りなさいませ。リア様。」


 豪邸の中は豪華すぎるほどの装飾が施されていた。白を基調とした壁の装飾から始まり、床には赤のカーペットが敷かれていた。汚れなど一切無かった。


 女は大きな螺旋階段の下を通り、鉄格子のような扉を開け、266と書かれた、ドアの前で足を止めた。


 「ここがお前の部屋それと、これを渡しておくわ、」

 

 女はそう言うと、リストバンドのようなものに、部屋と同じ266という番号を書き、僕の腕に着けた。


 「266。これが次からのお前の呼び名よ。分かったかしら266??」


 僕は無心に頷いた。


 「それと、、、  あった。これがお前の仕事よ。 あと、ここでの"マナー"違反は重罪よ。もし違反すると、重い罰が課せられることをよく知っておきなさい。」


 女はそう言ってこの場から立ち去った。



 貰った紙を見ると、その紙には、ギッチリと仕事のスケジュールが書かれていた。

 

 仕事予定

 ・月曜日 朝3時起床 21時まで家の掃除 警備

 ・火曜日 朝3時起床 21時まで掃除・洗濯

 ・水曜日 朝3時起床 21時まで警備

 ・木曜日 朝3時起床 21時まで庭の手入れ

 ・金曜日 朝3時起床 21時まで皿洗い 掃除

 ・土曜日 朝3時起床 21時まで警備

 ・日曜日 朝3時起床 21時まで家事全般


 この紙に食事の時間のことや、休憩時間のことが書かれていなかった。あと、警備という仕事が多いことに少し疑問を持った。


 とりあえず、仕事に取り掛かろうと思い、部屋に荷物を置き、螺旋階段を上がった。すると、子供の従事者と思われる子が四つん這いになっていて、この家の家主と思われる男がその横で立っていた。

 

 「おい212。 お前、部屋に置いてあったパン食べたよな?? 」


 「ごめんなさい!! もうこれ以上空腹に耐えれませんでした。」 

 

 「あー。 そうか。 やっぱり食べたんだな。

これはー。 重罪だな、、、 」


 男はそう言うと持っていたバットを大きく振り上げ、その子供を殴りつけた。 また叩きつける 何度も何度も。

 

 「このクソガキ! あんだけ食うのは俺らの残飯だけにしろって言っただろうが! バシッ バシッ」

 

 次第に殴られた子の声が小さくなり、バットを叩きつけた音も鈍くなっていた。バットは血で赤く染まり、その子の身体は原型を留めてなかった。


 「あーあ。 壊れちまったか、、、 おいそこのテメェ 266か? これを早く片付けておけ。」

 

 僕は何もできなかった。怖かった。怖くて動くこともできなかった。とにかく今、僕がその子の安否を確認するために、急いで向かった。その子は血塗れになりながらも、辛うじて息をしていた。

 男が立ち去った後、その子を自分の部屋に連れて行き、鞄に入ってあった包帯を取り出し、可能な限り手当てをした。


 「絶対に死なせやしない! 生きてくれ!」


 僕は必死に涙を流しながら、その子の手当てをした。

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