第18話 捲れたスカート×濡れた下着の解を、先生はまだ知らない
瞳の焦点があってない。完全に意識が昇天してしまって、草の上に横になってしまっていた。
どこに気絶する要素があるんですか。
とりあえず結夢の気絶スイッチを押してしまったらしい。とりあえず起きてもらわないと先に進まない。
何か緊張感が無いように見えるが、濡れた服が今も体温奪ってるんだよ。
肩を必死にぶんぶん揺さぶって起こす。
「うっ」
と、思わずまた目を逸らしてしまった。
結夢の胸は、決して大きい部類には入らないと思う。
膨らんでいても、それは精々年相応くらいのものであり、外見の幼児っぽさがコントラストとして引き立てているだけに過ぎない。
しかし、ここで矛盾が一つ。
肩を少し揺らしただけで、明らかに胸が揺れているのが分かるんですが。
これ、キャミソールだから? 女子ってキャミソールのみ付けると大体こんなものなの? ブラジャーって人類が開発した最強の防具だったって事!?
いや、今はそんな事はどうでもいい。
早く結夢のずぶ濡れをどうにかしないと、風邪引く所の話じゃないかもしれない。
こんな事を想定していたわけじゃないから、ハンカチ程度しかない。これで全身の水を拭えるとは思えない。
仕方ない、俺の服をタオルにするしかないか。
「は、はれ……!? 礼人さん」
触れ始めた所で、結夢がようやく目を覚ました。
「ようやく目が覚めたか……ああ、安心した」
「安心したって……?」
何に安心していたんだろう。
俺ももう分かんない。
「あ、あああああ!! さ、さっき、おひめ、さまだっこ……!!」
「悪い。緊急事態だったから」
「……いえ。あの、何というか……嬉しくって」
「恥ずかしい事だろう」
「恥ずかしくもあったんですけど……だって礼人さんに抱き上げられたなんて……お、お姫様、だっこってね……女の子にとっては……小説の中だけの憧れ話でして……」
俺の顔を見ようとすると、すぐに赤らめて目を逸らしてしまう。
でも相当嬉しかったのは事実の様で、興奮冷めやらぬと言った様子だ。
「あの、あのあの、私、重く、なかったですか……!?」
「いや、軽かった。まさか自分が太ってると思ってたのか?」
「いざ持ち上げてもらうとなると、不安で……」
「逆に結夢はもっと食べろ」
正直な感想。
「そんな事を気にするくらいなら、寧ろ結夢はもっと食べるべきだと思う……菜々緒から聞いたぞ。人には沢山作る癖に、一人になるとあまり食べないって。さっき抱えた時、骨がすぐにそこにあるみたいだったというか……」
「ななちゃん……恥ずかしい事を……」
確かに友達のシークレット事項を何で口走ったんだ。あの妖怪口軽。
しかし俺も半分照れ隠しな事言っちまった。
確かに案外骨の堅い感触も返ってきてはいたが、行き場に彷徨うような眩しくて見えない感触を思い出す。
けれどこの回答に、結夢は案外不満だったようだ。
しょぼん、という感情を隠すのが苦手である。
「礼人さん……やっぱり立川先生みたいな大人な体の人が好き……なんですね」
結夢も絵美が現代文の担当であるために、しっかりと面識がある。
絵美も……何故かそういう目で見たことは無いが、確かにスタイルとしては女性の理想ではあるかもしれないな。
「……じゃあ礼人さんを振り向かせるには……もっと成長しなきゃ……」
起き上がりながら、胸を手で押さえる結夢。
透けている体を隠す為ではなく、自分の成長を残念だと思っているらしい。
いや、結夢はそのままでいいと思うんだが……。
という事を言うと、何だか親父みたいな感想になってしまうからやめた。
「えっ、ちょ、ちょっと待ってください、や、やあああ……!!」
また天使の歌声。
羞恥に満ちた声の先は、結夢の下半身に向かって……うわっ!?
即、目を逸らしたね。
ずっと結夢の胸と、気絶していた顔にしか目が行っていなかったから、気づかなかった……。
置いた時の体勢にまったく気を配ってなったせいで、スカートがめくれあがっていたのだ。
白い、脚。
細さと相反する柔らかさを兼ね備えている太股。
その白い線の付け根。
単純な、水色の三角布が完全に露になっていた。
「ひゃっ、あっ、あっ」
必死にスカートを元に戻すが、時すでに遅し。
正直、俺の脳内には刻まれていたから。
足の白さも。
太ももについた、水色の痣も。
パンツの輪郭の、レース模様も。
真ん中に着いた、小さなリボンも。
――濡れているせいで、少し浮き出たスリットの形も。
太ももを押したら、若干の抵抗と共に柔らかい感触と、最後には骨の感覚があった。
パンツを押したら、一体どんな感覚が帰ってくるんだろう。
あの裏側は、どんな詳細をしているんだろう。
いや、馬鹿野郎。
今は本当に、そんな事を考えている場合か!?
「……にへ、にへへへへへ」
遂に結夢が壊れた。なんでこんな時に笑い始めた。
否、瞬き二回。
これも、何かをごまかそうとしているのだ。
きっと羞恥心とか、俺への責める気持ちをごまかしているのだろう。
俺がちゃんと配慮出来ていたら……。
この後、後悔の涙を彼女に流させることを想像したら、頭を下げざるを得なかった。
「ごめん」
「ふぇ、ど、どうして!?」
真摯に、土下座をした。
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