第9話 麗美の思い
そこからはまた少年の悶々とした堂々巡りの思考が始まりました。
(おばさんに嫌われたろうか……? )
(もう、おばさんに会えなくなっちゃうんだろうか……? )
(それとも、お母さんや先生に言い付けられるのかな……? )
(まさか、下着泥棒で警察を呼びに行ったのだったらどうしよう! )
1人て考えることにろくなことはありません。少年は一刻も早くスリップを脱いで逃げ出したいと思いましたが、なぜか動けないままに、おばさんの戻るのを待っていました。
それはとても長い長い時間だったようにも思いましたが、短い時間だったようにも感じました。とかく時間というのは、待っている間は長く、後から思えば短く感じるものです。いずれにせよ、少年にとって居心地の悪いそのインターバルは、おばさんのノックで唐突に破られました。
(コンッ、コンッ。)
「しんちゃん、入るわよ。」
ドアをノックする音がして、続けておばさんが部屋に入ってきました。しかし、ドアを開けて部屋に戻ったおばさんの姿に少年はびっくりして、息を飲みました。おばさんは少年と同じような下着姿になってやってきたのでした。それは、白いブラジャーに白いスリップという、おばさんらしい清楚で美しい姿でした。更に、ドアを開けたその瞬間、外からの光がおばさんを照らして、その場に美しい肢体のシルエットが現出され、少年は荘厳な思いでそれに見とれてしまいました……。
これから何が起きるかわからないまでも、今はおばさんのその美しい姿を目に焼き付けている少年でした。
**********
……その少し前、おばさんが少年を寝室に置いたまま待たせて、向かって行った先は洗面所でした。彼女は洗面所に入ると、鏡に映る自分の顔を見つめました。
(しんちゃんは、思春期の男の子、……女性に興味を持つのが当たり前。しんちゃんは、何も悪くないわ。)
自分に言い聞かせるようにそう呟くと、彼女は白いカットソーのトップスを脱ぎ、スカートのホックを外しファスナーを下ろしました。そのフレアースカートは、ふわっと彼女の足元に美しく丸い軌跡を残して落ちていきました。そして、彼女はそのトップスとスカートをゆっくりとたたみました。その作業を丁寧にしながら、彼女はこれからしようとすることを落ち着いて整理し直していたのでした。
たたんだ衣類を洗面台に置き、次に穿いていたチャコールブラウンのパンティストッキングも脱ぎ去りました。そうして本当の下着だけの姿となりました。純白のスリップの下には、どちらも白を基調とした、ブラジャーとパンティのお揃いの上下セットのみとなりました。
(落ち着くのよ、麗美。とにかく、ゆっくりと考えよう。しんちゃんは賢い良い子だから、大丈夫。)
彼女は、実は少し前から少年の変化になんとなく気づいてはいました。少しよそよそしくなって恥ずかしさを見せた少年の、男の子としての成長を感じてもいました。そして、自分に異性としての好意を持っているかもしれない、ということも……。迂闊と言えば迂闊でしたが、彼女は可愛い大好きな甥っ子に対して、その種の警戒をする必要をいささかなりとも認めてはいませんでした。
(しんちゃんは、わたしを好きだと言ってくれた。……そんな子をわたしは叱れない。しんちゃんは、わたしにとっても大切な子、今度はわたしがしんちゃんに誠意を示さなきゃいけないのよ。)
再び、おばさんは鏡に向き直ります。髪の毛をとかし、ブラの脇ベルトやパンティに指を差し込んで整え、ブラカップに自らの乳房を丁寧に納めて形を整え、スリップや下着の乱れがないかをチェックしました。そうしながら、自分で自分を鼓舞していました。
(麗美、今、そこで震えているしんちゃんを守ってあげられるのはあなただけよ、しっかりしなさい。……大人になろうとしているしんちゃんを、あなたが助けてきなさい。)
おばさんは、両手で両頬をピシャリと打って気合いを入れ直しました。
(よし、しんちゃん、待っててね。)
そういうとおばさんは、愛する甥っ子の待つ寝室へと向かって行ったのでした。
**********
とても綺麗なおばさんの姿に思わずドキドキしただけでなく、少年のあそこはズキズキと痛いほどパンティを持ち上げていました。
「しんちゃん、そのまま動かないで。」
おばさんはスリップ姿の少年に近づいて、少年の目の前に座ると、そのまま彼をやさしく抱き寄せました。少年もスリップ姿のままで、おばさんのなすがままに、その腕の中に抱かれて身をあずけました。おばさんのとても良い香りが少年の鼻腔をくすぐり、つい先程までの羞恥を忘れさせる程、少年は陶然としていました。
「こんな風にしていると、可愛い妹みたいね。なんだか、嬉しいなぁ。」
そう言いながら、おばさんは自分の髪留めのカチューシャをはずし、少年の頭にそれを装着してくれました。
「しんちゃん、本当に可愛い。……こんな妹、お姉ちゃんもほしかったなぁ。」
そう言って、おばさんは再び少年を両腕で抱きしめました。抱きしめながら片腕を少年の背中に回し、もう一方の片手を少年の後頭部に添えて頭を撫でながら、まるで子供をあやすかのように、ゆらゆらと体を揺らし始めました。
「こうやって、しんちゃんを子供のころからよくあやしていたのよね、……しんちゃんは泣き虫の甘えん坊だったから。」
おばさんは優しく微笑んで話しをしました。
「しんちゃんのママよりも、わたしの方がしんちゃんをあやすのが上手だったのよ。……まだ、わたし、高校生だったかなぁ、わたしがあやすと、いつも、しんちゃんはピタッと泣き止んだのよね。わたし、お姉ちゃんよりもずっとしんちゃんと一緒にいる時間が長いんだから。」
そう昔語りをしながら、おばさんはしばらく少年を抱いてくれました。ゆりかごに揺れる赤ん坊のように、柔らかいおばさんの身体に抱かれて、少年は、中断していた至福の時間を再び取り戻したかのように感じました。
「それが、もうこんなに大きくなったのよね。」
……と。そして、おばさんは少年の股間にそっと手を置き、スリップの上から少年の膨らんでいるものを優しくなでてくれました。少年のそれは、今まで子供だ子供だと思っていたものにしては、それほど男性経験のないおばさんにとっては、驚くほどに立派な大人の印になっていました。グリップ感はまるで骨が入っているかのようなしっかりした固さでありながら、表面は柔らかさを感じるもので、女性としてはとても不思議な感触でした。
おばさんの良い匂いの中で夢心地にいた少年は、このおばさんの突然の行為に、ついびっくりしました。でも、すぐに、おばさんからのされるがままに任せました。
「知らない内に、しんちゃんもだんだんと大人になってきていたのよね。誰もいつまでも可愛い子供のままではいられないものね。」
少年はおおきくなってしまった自分のモノが、おばさんに分かられてしまったことで、恥ずかしそうに答えました。
「お姉ちゃん、ごめんなさい。……ぼくも分からないけど、お姉ちゃんのことを思うと、なぜかチンチンがおっきく固くなってしまって……ごめんなさい。お姉ちゃんのことでいやらしいことを思っているわけじゃなくて、……でも、すこし、ちょっとエッチなことも考えるけど、……でも、でも、……。」
少年は、その勃起の意味も理解しかけてはいましたが、それをもっておばさんに対して淫乱な恥ずかしくていけないことを考えていると思われ、嫌われやしないかと考えてしまったようです。恥ずかしさの中で、おばさんに嫌われないように、必死に言い訳をしていたのでした。でも、その思いはおばさんにとってとてもいじましく思え、余計に少年をいとおしく感じさせてくれたのです。
「それでいいのよ、しんちゃん。……それはね、大好きな人のことを考えると、誰でもみんな、そうなるの。エッチなことじゃないわ。」
おばさんは優しく微笑んで少年に語り聞かせます。
「それは、しんちゃんがお姉ちゃんのことを大好きに思ってくれる証拠だから、なにも恥ずかしいことじゃないの。それに、しんちゃんが大好きに思ってくれているわたしが触ると、もっと大きくなったでしょう。それはね、しんちゃんがお姉ちゃんを本当に大事に思ってくれてる証拠よ。……お姉ちゃん、それがとっても嬉しいの。」
少年は恥ずかしさのあまり無言でおばさんのスリップの上から胸の谷間に顔をうずめました。耳まで真っ赤になっていましたが、でも、おばさんの言葉はこれ以上ない少年にとっての救いとなりました。更に、おばさんの胸に顔をうずめるのは小学生の時以来で、異性を意識するようになってからは初めての経験でした。久しぶりに感じるおばさんの胸の膨らみは、とても柔らかく、気持ちの良いものでした。
その状態のまま、両腕をおばさんの背中に回し、スリップ越しに撫で抱きしめるように、おばさんの背中を触り続けていました。ブラジャーのバックラインの形、ブラとスリップの4本のストラップの感触、スリップのバックラインのレースの形、少年は指先や腕全体に初めて感じるおばさんのランジェリーの感触に感動していました。
更に、おばさんに抱かれている少年の体は、自分が着ているスリップとともに、おばさんの着ているスリップの前面に密着していました。それは、スリップのすべすべした感触を体中で感じられる最高の時間となりました。しかも、その間中、おばさんは少年の股間を優しくずっと撫で続けてくれました。
「お姉ちゃん……。」
少年には思いもかけないことでしたが、はからずも年来の夢が叶ったような形となったのでした。
**********
なぜ、彼女はそのような行動に出たのか? なぜ、彼女が下着姿にならねばならなかったのか?
それは、大好きな少年の心を傷つけないように、自分自身も少年の立場に降りていかねばならないと彼女が考えたからです。頭ごなしの上からの対応で、さかしらに大人が子供を叱るのは簡単ですが、それが少年の傷つきやすい心情にどんな影響を及ぼしてしまうか、それを思った時、彼女にはとてもそんな選択肢は考えられませんでした。
しかしながら、それは後からのもっともらしい理由付けに過ぎません。実際には、彼女がそうしてあげたかったからそうしたに過ぎません。少年が欲していることを、彼女は叶えさせてあげたかっただけなのでした。
それが正解かどうか、彼女にもそれは分かりません。ただ、彼女は、何をおいても少年の心情を大切にしたかっただけであり、少年の未来に悪影響を与えないようにしたかったのは本当でした。それは一般的な世間のおばさんの立場からする甥っ子への一般的な愛情の形を大きく逸脱するものだったかもしれません。でも……、
大好きなこのいとしい少年の心を決して傷つけてはいけない、彼女の思いはただひとつ、それだけでした。ただ、そうすることが出来た前提として、彼女が少年に対して、肉親の愛情を超えた別の情愛を持っていたことが、彼女をして、より積極的に、そのように仕向け得たの理由の一端でもあったのでしょう。
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