第7話 少年の性癖

 少年は、あの雨の日の体験以来、おばさんのスリップを身に付けて、おばさんのベッドでオナニーすることに、異常なまでに興奮するようになってしまったのでした。ある意味においてトラウマになったとも言えるかもしれません。男性の下着にはないシュルシュルとした官能的な肌触りのその感触が、余計に少年の興奮を掻き立ててしまったのかもしれません。


 以前であれば、おばさんが1人ぼっちの少年を不憫に思って一緒に過ごして面倒を見ていたものでしたが、少年が大きく成長するに従い、おばさんも少年に留守番をお願いするような機会も増えてきました。


 ちょうど、そんな頃に少年はあの雨の日を迎えたのでした。おばさんから留守番を頼まれることは、結果的に少年に対しておばさんのランジェリーを使って密かにオナニーするチャンスを与えてしまったことになったのです。


 そのようなわけで、少年はおばさんの寝室でオナニーをすることがやめられなくなってしまいました。少年はいつも大好きなおばさんへの罪悪感を感じつつ、心の中でおばさんへあやまりながら、機会あるごとにおばさんのランジェリーを身に着けて女装オナニーを続けていたのでした。


 その後、少年は中学生になって、いつしか部活動も忙しくなり、少年の帰宅時間が遅くなるようになると、次第に、少年がおばさんの部屋に遊びに行く回数も減るようになりました。それでも両親の帰りの遅い日などは、おばさんの部屋で夕食をご馳走になる習慣に変わりはありませんでした。


 中学生になると、必然的に放課後の部活動も多くなり、生徒たちは特別の理由がない限り、いずれかの部に所属をすることになります。その少年は並みの体つきで、お世辞にもガタイが良いとは言えませんでしたが、何故か運動部の、しかも柔道部に入部しておばさんを驚かせました。少年の両親は特に驚きもしませんでしたが、おばさんの方が少年の体を心配したものです。


「しんちゃん、柔道なんて格闘技でしょ?危なくない?しんちゃんがケガをしないか、お姉ちゃん、心配だなぁ。しんちゃんは柔道とか、そんなに好きだっけ?」


 驚いたようにおばさんから柔道を始めた理由を聞かれた時、少年は少しはにかみながら言いました。


「レミねぇはドジだからな。いつも一緒にいるぼくが、レミねぇを守ってあげるよ……。だから、もっと体を鍛えて、ぼくが強くなりたいんだ。」


 可愛い甥っ子のそんな言葉に、おばさんが感激しないわけがありません。


「しんちゃん、嬉しい!お姉ちゃん、おっちょこちょいだから、お姉ちゃんを守ってね!」


 おばさんは、思いがけない少年の言葉に嬉しくなって、思わず少年に抱きついてしまいました。


「わ~かったから、そんな、ひっつくなよ!」


 少年は顔を真っ赤にして抵抗してしまいます。でも、可愛い弟と思っていた少年が、いつのまにか逞しい男に育っていたことを知って、おばさんも少し心がキュンとしてしまったかもしれません。


「……でも、無理はしちゃイヤだよ。しんちゃんがケガしたら、お姉ちゃん、泣いちゃうからね。」


 いずれにせよ、少年からそう答えられた時、おばさんは思いがけない言葉に感激で目を潤ませながらも、心から嬉しそうにしていました。


 そんなこともあり、少年が中学生となって会える回数は減っても、二人の仲は今まで以上に親密さを増していったように見えました。


 そんな忙しい部活動の中でも、おばさんの仕事の関係で、土日などの週末で宅急便が小荷物等を届けに来るような時に、少年はおばさんからよく留守番を頼まれ、喜んでそのお願いを引き受けていました。


 少年にはおばさんの仕事はよく分かりませんでしたが、何かのクリエイターのような仕事らしく、日頃から在宅ワークも多いため、色んなところから宅配で品物や資料が送られてくるのです。


 毎日のように行っていた小学生の時と比べて、部活動も始まった中学生になると、極端におばさんの部屋に行く回数が減りました。それでも、週末にはよく留守番を頼まれて、おばさんのマンションに行っていたのでした。


 このような経緯で始まった少年の変態的な下着女装オナニーでしたが、中学生になってもそれはやめることが出来ませんでした。


 男として守る宣言をした対象の女性、その下着に対して性倒錯した偏執的な性的欲望のはけ口にしていること自体が矛盾していることに理解が及ばない、まだまだ未熟な青い性感覚でした。それは間違いない変質者的行為であり、現実の社会では、そのような行為自体が立派な犯罪となりかねないのです。


 しかし、留守番を頼まれて、おばさんがお外に出かけてしまうと、いけないことをしているとは思いつつ、それでもその思いを我慢できない少年は、毎回のようにおばさんの寝室に入り、おばさんの下着が入っている箪笥の引き出しを開けるのが常となっていたのでした。


**********


 この日も、大好きなおばさんの良い匂いがするおばさんのベッドの上で、おばさんの清楚で上品なランジェリーを身につけて、体全体におばさんの香りに包まれて、…そして、大好きなおばさんの名前をつぶやきながら……、それはいつものことながら少年にとっての至福の時間でした。


 少年は、小学6年生の時に見てしまったあの時の光景を脳裏に描きつつ、あの時のおばさんと同じように左足の片膝を立てて、スリップの裾をゆらゆらと揺らめかせながら股間をスリスリしています。


 そして、あの時に見たおばさんのように切ない吐息をもらしていきます。生殖器での自慰行為を覚えてしまった今となっては、その切ないような吐息は、意図的なものではなく、自然と口から洩れてきてしまうのです。上半身もあの時のおばさんのように、胸をまさぐり、スリップのブラカップの中に手を差し込み、乳首をクリクリと指でつまんでいき、少年の吐息はいよいよ妖艶さを増していきます。


「はぁ……はぁ……ぁぁ……はぁ……はぁん……んんっ……。」


(レミお姉ちゃん、……ぼく、お姉ちゃんが大好き。……お姉ちゃんを抱きしめたい。お姉ちゃんとキスしたい。……お姉ちゃんの髪の毛の香り、きれいな指、大きい可愛い瞳、……お姉ちゃんの全部が大好き。……レミお姉ちゃん、……好き、好き、我慢できない、……どうしようもなく好きなんだ……。)


 妄想はいつしか、スリップ姿のおばさんから、おばさんの綺麗な指先でおちんちんをグリグリとされて犯されている妄想へと膨らんでいきます。


(どう、しんちゃん、ここをこうすると、と~っても気持ちいいでしょ~。)


「あん! ……レミお姉ちゃん……だ、だめ……そんなとこ……。」


(可愛いよ、しんちゃん、本当はもっともっとこうしてもらいたいんでしょ~。)


「い、いや……いけないよ……レミお姉ちゃん……ぁあん……。」


(ほらほら、お姉ちゃんはしんちゃんの気持ちいいとこは全部知ってるのよ~。ここがいいのよね~。)


「はぁん……やだ……レミお姉ちゃん……そ、そこ……あぁぁぁん……。」


 少年の妄想は尽き果てることがありません。妄想の中のおばさんはどこまでも優しく、少年の身体を愛撫して回ります。


 一方の少年は、まるで少女になったかのような可愛い声で鳴き喘ぎ続けます。ランジェリーという女性のインナーが、無意識の内に自らを可愛いように演出させる効果をもたらしているようでした。


「お姉ちゃん、……ぼくに、……キスして。……お姉ちゃんとキスしたいよぉ。」


(あらあら、甘えん坊さんね。いっぱいキスしてあげるから、さぁ、早く逝っちゃいなさいな。)


「お姉ちゃんの柔らかい胸に顔をうずめたい。……ぼく、赤ちゃんになって、お姉ちゃんのおっぱいが欲しい。」


(まぁ、おっきな赤ちゃんね、いいわよ、お姉ちゃんのおっぱいを好きなだけ吸ってちょうだい。)


 しかし、恍惚と我を忘れてオナニーにふけっていた少年は、迂闊にも玄関の方角から聞こえてきた物音に、まったく気づきませんでした。


 おばさんのシュルシュルしたスリップの上から、おばさんのパンティに包まれた自分のおちんちんをさすっている快感に完全に酔いしれていたのです。


「あぁぁん……レミお姉ちゃん……もっと……あん……ぼくのアソコ……さわって……いじって……はぁ……はぁ……レミお姉ちゃんの手で……グリグリして……ぁぁぁ……ぼくのアソコ……もっと……いじめて……」


 少年は夢中になって自分のモノをランジェリーの上からしごきます。もう少しで、もうすぐ逝きそうでした。同時に、少年の声も次第に大きさを増していきました。


「あぁ! あっ! あっ! 逝く! 逝きそう! レミお姉ちゃん! レミお姉ちゃん! レミお姉ちゃん!大好き!大好き!お姉ちゃん!大好き!」


 まもなく、少年にとっての破局が唐突に訪れます。少年が絶頂に到達するまさにその直前、少年は一転して奈落の底に叩きこまれる事態に直面することになるのです。

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