第4話 初めての下着女装

 夜もふけて、おばさんと少年はそれぞれ寝入りました。


 少年もおばさんの部屋に泊まるのは久しぶりでした。以前、まだ体格そのものが小さい時はおばさんのベッドでよく一緒に寝ていましたが、最近はおばさんのベッドじゃ窮屈だからと、自分からソファに寝るようになっていました。


 少年はパジャマ代わりに体操着を中に着込んで来ましたが、風邪をひくからと、おばさんが自分の上下のトレーナーを貸してくれました。それは、ふんわり柔らかで肌触りが良く、おばさんの良い香りに包まれて、少年は気持ち良く安らかに寝入りました。


 そして、深夜……。


 トイレに起きた少年はバスルームの前を通り、その隣のトイレに行きました。既に雨も止んで静かな室内に水洗トイレの排水の音だけが流れました。


 そして、少年がトイレで用を済ませた帰り、何の気なしに覗いたバスルームの前の脱衣場・洗面所の中、藤の蔓で編んだ丸籠に何か白いものが引っ掛かっているのが見えました。なんとはなしに脱衣場に入った少年は、その白いものをつかみ出しました。


(……あ!……。これ……。)


 それはおばさんのスリップでした。それが、薄暗いあの雨の時、おばさんが着ていた下着だと分かると、急に少年のおちんちんがまたズキズキと疼き始めました。まさにあの時と同じです。先程は罪悪感にまでとらわれた程の嫌な感覚だと思ったものでありながら、既にこの時、少年には止めるにも止められない、どうしようもない状態になっていました。


 少年は、そのスリップをまじまじとよく観察してみました。全体に美しい光沢を放っている純白の生地ですが、サテンではなく、伸縮性のあるポリエステルトリコットの生地で、滑らかに柔らかい気持ちの良い手触りの生地でした。胸元に清楚なレースがふんだんにあしらわれて、裾にもバラ柄のような花が連続しているレース生地がほどこされています。上品で清楚な、おばさんのイメージにぴったりのスリップです。


 この時もまた、少年は無意識に股間に手がいきました。廊下によつん這いで覗き見していた時には、目の前で見ているものがあまりに衝撃的過ぎて、自分の身体の異変にまではあまり気付きませんでした。でも、改めて気づくと、今の自分のおちんちんがあまりにもいつもと違っているではないですか。まるで棒のようにまっすぐで、なんだか緊張したかのように固くなっています。そして、無性にそれを触らざるを得なくなり、そして、触っていると不思議と気持ちいいのが少年にも次第に分かってきました。


(どうしちゃったんだろう?ぼくのおちんちん、なんでこんなに腫れているのかな……どこにもぶつけてないし、そういうんじゃないみたいだけど……病気?じゃないよね。……痛くはないし……、なんか変な気持ちに……。)


 自分の身体の変調に気づいてはいても、それでもどうしてもスリップをさわることがやめられません。


(この下着、すごく柔らかくて気持ちいい……お姉ちゃんの香りがする……いい匂いだなぁ……。)


 おばさんのスリップは、おばさんの優しい香りがして、少年はそれだけでもたまらなく幸せを感じてしまいます。おばさんのスリップを手に持ち、頬擦りしていると、その柔らかいスリップの生地が、とても気持ちいい感触であるのがよく分かり、次第に少年はそれを着てみたくなりました。


(ゴクリ……。)


 少年はいけないことをしているかもしれないという緊張感で、思わず唾を飲みこみつつ、上半身のシャツを脱ぎました。そして、裸になった上半身で、スリップを頭からストンとかぶりました。初めてのスリップの優しく柔らかい感触と、おばさんの良い香りに全身を包まれ、少年は至福の気持ち良さを身体中で感じていました。


(あぁぁ……、気持ちいい……。)


 少年は、なぜかあの時のおばさんの様子を思いだしながら、スリップの上から身体をまさぐっていました。胸元や裾のレース柄を指先でなぞり、お腹や脇腹、太股を、柔らかいトリコット生地の上からシュルシュルとなぞっているだけで、それだけで少年の身体はジンジンする程の気持ち良さが込み上げてきます。


(あぁぁぁ……なんて気持ちいいんだろう……、そうか! お姉ちゃんもさっきは気持ちよくなっていたのかも知れない!……病気じゃなかったんだ!……良かったぁ、……ぼくも、……気持ちいい……。)


 少年はスリップを身にまとうとともに、洗濯籠の中にあるおばさんのパンティを手に取り、おばさんの匂いが一番する場所に鼻を近づけます。そこは、パンティのクロッチという女性の一番デリケートな部分を守るために生地が二重になっているようでした。そのクロッチの内側の生地は、何かで汚れているようですが、それはオシッコでもウンチでもなく、そういう汚物臭のするものではありませんでした。


(お姉ちゃん、大人のくせにお漏らししちゃったのかな? でも、オシッコとは違うみたいだし……?)


 しかし、何かは分からなくとも、少年はそのクロッチに染み付いたものさえいとおしそうに鼻にあてて、クンクンと気持ち良さそうに匂いを嗅いでいました。少年は大好きなおばさんのものは何でもいとおしい気持ちになってしまうのです。


 少年はいつのまにかトレーナーを脱いで、トランクスをも膝下までずり下げていました。一方で、少年のおちんちんが、スリップの生地を持ち上げるかのように、上を向いて固く伸び上がっていました。少年はそれが何を意味するかも分からないながら、触っているうちに、そうすることが気持ちいいということが分かってきました。そして、スリップの上からおちんちんを触り、なぞり、つかみ、しごき、握り、いろいろなことをして、気持ちのいい動作や場所をひとつひとつおぼえていきました。


(しゅこしゅこ……シュッシュッ……しこしこ……。)


(あぁぁぁ……麗美お姉ちゃん……大好き……お姉ちゃんの匂い……いいよぉ……お姉ちゃん、お姉ちゃん、大好き……。)


 少年は、今度はおばさんのパンティの両端を両手でつまんで顔の前で広げました。スリップと同じような真っ白い伸縮性のある生地です。フロントに水色やピンクの色糸で上品に刺繍がしてあり、まるでおばさんそのもののように清楚でエレガントなパンティです。


(トクン……トクン……トクン……トクン……。)


 少年の心臓の音が身体を伝わり少年の耳にまで聞こえてきそうです。


(可愛いパンティだなぁ……これを穿いてみてもいいかなぁ……穿きたい……穿きたいよぉ……お姉ちゃんと一緒になりたい。)


 少年は、パンティをしばらく見つめたあと、おもむろにそのパンティに自分の脚を通しました。既に自分のトランクスは膝からもずり落ちていました。そして、ゆっくりとパンティを腰のところまで引き上げました。


 何をもって一緒になりたいのかという少年の真意は分かりません。ずっとおばさんの側にいたいという意味なのか、下着を通しておばさんと一体化したいという意味なのか、恐らくは少年も深く考えずに思ったことで、どちらの意味もあるのでしょう。


 ともあれ、少年はおばさんと同じスリップ姿の可愛い女装少年になりました。


(お姉ちゃんのパンティが、……ぼくのタマタマをキュッと押し当てて、……おちんちんもお姉ちゃんの可愛いレース刺繍にピッタリ押さえられて、……すごい、全部がジンジンして……とても気持ちいいよぉ。……おちんちんがこんなに気持ち良くなるなんて知らなかった。……おちんちんを触る手が止まらないよぉ。)


 少年のおちんちんはパンティに押さえられて上を向いています。そして、おちんちんの棒状の形をパンティ表面に浮き出しています。おちんちんの裏筋、尿道が表に現れた格好となり、そこを上下にこすると、少年はまるで身体に電流が走ったようなビクビクする気持ち良さを感じるのです。


(シュッシュッ……シュッシュッ……しこしこ……)


(あぁぁぁ……お姉ちゃん……気持ちいいよぉ……あぁぁん……手が……手が止まらないよぉ……。)


 少年はかつて味わったことのない至福の快感の中にいました。しかし、……。


(!!!)


 それは何の前触れもなく、唐突に訪れました。今日のおばさんの部屋を覗いた時に感じたものに似たような尿意が、今度はその時よりも猛烈に激しく少年を襲ってきました。


(ああ!どうしようどうしよう!オシッコ、漏れちゃう!さっきしたばっかりなのに、なんで急に!?間に合わない!)


 少年はパンティを急いで脱ごうとしましたが、到底、間に合いませんでした。まったく、待ったなしの猛烈な尿意でした。そして、パンティを脱ぐ間もなく、パンティを脱ごうとした動作でおちんちんに生地がこすれたそれだけで、少年はオシッコ?を漏らしてしまったのです。


 しかし、それは少年にとって衝撃的でした。『漏らした』という表現が不適当に思えるほど、それは勢いよく放出されました。しかし、それはジョロジョロと出るオシッコとはまるで違います。それはまるで手押しポンプ式のシャンプーかリンスのように、そしてそれを何回か押し出したかのように、ビュッビュッビュッと何回かに分けておちんちんから勢いよく噴き出したようでした。そして、おちんちんにかぶっている皮から溢れ出たオシッコ?がタラーッと粘性を持ちながらしたたり落ちてきたのでした。


(!)


 しかし、そのおちんちんから出てきた液体が、少年が毎日のように排泄しているオシッコとは似ても似つかないものであることはひと目見ても明らかでした。そのことが更に少年を驚かせました。


(ええ!……これ、なに?オシッコじゃない!)


 オシッコのような明確な液体ではなく、それがしたたり落ちた様子からも分かるように、非常に粘性の強いドロドロしたようなものでした。まるで、先に例えたシャンプーやリンスのように白濁してドロッとした物体ですが、シャンプーのような良い香りからはほど遠く、何か青臭い不思議な匂いをしていました。


(どうしたんだろう? ……ぼくは変な病気にでもなっちゃったの? おちんちんから膿みたいなものが出るなんて、絶対、病気だ! ……病院に行かないと死んじゃうんだろうか……。)


 更に、その直後、それまでの不思議な興奮の気持ちが急速に萎えて、それに代わり、とてもいけないことをやってしまったというひどい罪悪感に再び襲われてしまいました。少年はすぐにおばさんのスリップとパンティを脱ぐと脱衣籠の中に戻しました。そして、自分のおちんちんから出たオシッコではない不思議なものをテッィシュで懸命に拭き取り、最後に水洗便器から流し去りました。


**********


 トイレから水を流すジャーッという音が再びしたことで、おばさんはちょっと目をさましてしまったようです。


「しんちゃん、トイレ……? 」


 半分、寝ぼけたようなおばさんの声が部屋からしました。


「うん、おしっこしてきたよ、……おやすみ。」


 おばさんにばれちゃったろうかと、あわてて少年はソファに戻り、毛布をかぶりました。まるで、何か悪いことをして逃げ去り隠れるように。もっとも、おばさんの下着でイタズラをしたという事実は、本当にそれが悪いのかどうか、少年にもよく分かりませんでした。でも、男の子が学校にスカートをはいて行かないことと同じように、自分がやったことは普通じゃない変なことなんだという恥ずかしさは理解できました。


 それでも、おしっこじゃない白い膿のようなものが出たことの方が、今の少年にとっては恐怖だったかもしれません。病気かもしれないけど、おばさんには言えませんでした。それに、おばさんの下着でイタズラしたことがバレると、おばさんに嫌われるんじゃないかと思い、おばさんには何も言えません。


 一番少年にとって不思議だったのは、あんなに夢中になってやめられなかった下着遊びでしたが、よほど罪悪感にさいなまれたものか、あっという間にその気がなくなってしまったことでした。もっとも、それは意味が違いましたが、その時の少年にはまだ理解ができていませんでした。


**********


 おばさんはベッドに横たわりながら無表情に天井を見つめていました。水洗の音で目が醒めてしまったのでしょうか?


 ドアの向こう側、廊下を少年がパタパタとリビングの方向に行く足音が聞こえてきました。その音を聞き、少年がリビングのソファーに潜り込んだ様子を察すると、静かに彼女は目をつむりました。


**********


 少年は、その日からしばらくして、おばさんのあの雨の日のことを思い出して何度かおちんちんがずきずきすることを経験し、また、同じような白く濁ったドロリとした液体がおちんちんから出てくることを体験もしました。


 おばさんだけでなく、学校の同級生の女の子にエッチなことを考えたりするとおちんちんがずきずきするのも分かってきました。そして。おちんちんをこすったり触ったりするととても気持ちよくなってそれが出てくること、そして、それを出すと急におちんちんのずきずきがおさまり、自分のエッチな気持ちもストンとなくなることが分かりました。


 中学にあがる頃には、それが病気でもなんでもなく、オナニーという自慰行為であることも知り、それが普通の当たり前のことだということが少年にも理解できました。少年はもう漠然とした不安感に襲われる必要もなくなり、十代の旺盛な性欲をもて余すことなく、毎日のように大好きなおばさんのことを思ってオナニーをするようになりました。


 つまり、それが少年にとっての初めての射精、『精通』というものでした。


 しかし、少年にはちょっと不思議な性向が仕上がってしまったようです。あの雨の日、スリップ姿でオナニーしているおばさんの姿が目に焼き付いてしまい、それが少年のあるトラウマ? となってしまったのです。


 あの雨の日から1年も経たずに少年は中学生になり思春期を迎えて異性を意識するようになります。中身はたいして変わらないのに、少しは大人になったような、そんな気持ちに本人もなるようです。そのためかも知れませんが、小学生のような素直さでおばさんには飛びついたりは出来なくなり、少し恥ずかしそうな顔を見せるようになりました。

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