第38話 遂に理恵子と結ばれる
(これまでのあらすじ……)
愛する麗美おばさんとの辛い別れを経た少年は中学生活の中で思いを募らせた理恵子と愛を育てますが、高校3年の春、理恵子は遠く異郷の土地で不慮の事故死を遂げた。その前後、理恵子の死に責任を感じる少年の前に朱美が現れますが、少年は心を閉ざし朱美と別れます。その後、受験勉強に集中する道を選んだ少年の前に現れた後輩の朋美は、少年へお守りをプレゼントしましたが、そのお守りはかつて理恵子からもらったお守りとうり二つでした。その偶然に驚きつつも、理恵子と朋美の二人からのお守りを手に少年は大学合格しました。その後、聖バレンタインに少年のもとへ合格祝いに駆けつけた朋美を、一旦は突き放そうとした少年でしたが、その熱意に心を動かされ、朋美にこれまでの経緯を語るのでした。そして、朋美は不慮の死を遂げた理恵子に思いを遂げさせてあげるため、自らの身体を投げ出します。
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中村朋美は右手を差し出し、少年はその手に左手を乗せました。そのまま、少女は少年の手を取り少年を立ち上がらせます。そして、立ち上がった少年の背中に手を回し、その胸に顔を埋めました。
「しん……ちゃん。」
少女はちょっと遠慮気味に、理恵子が呼んでいたのと同じように少年の名前を呼びました。その声に、少年は驚き少女の顔を見返しました。
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少年の胸元から、上目遣いに少女が微笑みかけます。
(しんちゃん、ただいま。……ずいぶんと待たせちゃったかな? )
少年はそこに確かに理恵子の姿を認めました。理恵子は1年前と変わらぬ可愛い笑顔で、少年の胸元から顔を上げて、にこやかに少年を迎えてくれました。
(そんなことない、おかえり。……理恵子にまた会えて、ぼくは本当に嬉しい。)
少年は微笑み答えました。しかし、その瞳は涙に潤んでいました。
(理恵子、ぼくは約束通り、童貞のままだ。今日こそ、ぼくはきみとひとつになりたい。心からそう願っている。)
(しんちゃん、嬉しい。)
慎一は優しく理恵子に口づけをしました。1年ぶりに触れあう少女の唇は、以前とまったく変わらず、柔らかく温かい唇でした。
長い長い口づけの中、慎一は理恵子のブレザーを優しく後ろへと送って脱がし、ベストの脇ファスナーをゆっくりと上げていきます。そして、ベストの中に右手を差し込んで、ブラウスの上から優しく理恵子の乳房に触れました。
少年は壊れやすいはかなく弱いものを扱うかのように、ブラウスの上から乳房を撫でささえます。乳房の柔らかい質感が、しとっと少年の手のひらに伝わります。
すると理恵子が微笑みながら、めくりあげたベストの中のブラウスのボタンを外し始めました。そして、ブラウスの上から乳房と戯れる少年の右手を、ブラウスの中へといざないます。
(好きにしていいよ、しんちゃん。)
そう言って、理恵子は自分の乳房の上に慎一の手のひらを置きました。慎一は幸せそうな笑顔で、右手を理恵子の左の乳房に遊ばせ、理恵子の胸元に唇を、舌を、這わせていきます。
(あぁぁ、理恵子……ぼくはどれだけこの瞬間を待ち望んでいたことか。)
(わたしも、ずっとこの時を夢見ていたの。きっと、しんちゃんがわたしを迎えに来てくれると信じていたわ。)
(そうだね。ぼくは随分と遠回りをして、いろんな人に迷惑をかけて、逆に理恵子を待たせすぎたようだ。……ごめんね。)
(ううん、しんちゃんが迎えに来てくれたから、わたしはそれだけで十分。しんちゃんはちゃんと約束を守ってくれた。……おぼえてる? 『しんちゃんとわたしがひとつになるのにふさわしい時と場面が絶対に来る。一生、忘れられない、ふたりの最高の思い出になる時が来る。』と約束してくれたこと。)
(もちろん、おぼえているよ。きっと、今がその時だ。)
(うん。わたしもそう思う。)
ふたりは何度も何度も飽くことなく、執拗に唇を重ね、舌を絡めあい求めあいました。どれほど長く、身体を重ね唇を求めあっただろうか。理恵子は慎一から身体を離しベッドに横たわりました。
(しんちゃん、来て。わたしの中にしんちゃんのをちょうだい。)
(でも、まだ早くはないかい? )
少年も経験はありません。未熟な童貞の若者にありがちな、いわゆる前戲というものが必要ではないのかという、偏った意識に過度に支配されているのです。
(しんちゃんは優し過ぎたの。きっと、相手のことを考えすぎて、優しく、気持ちよくさせたいと頑張り過ぎたの。)
少女はニコッと慈母のような温かさで言葉を続けます。
(もう、頑張らなくていい。しんちゃんが、今、欲しい、と思う時に好きに入れて。……大きさはしんちゃんの愛情の大きさ、固さはしんちゃんの愛情の強さ、柔らかくなったのはしんちゃんの思いやりの優しさ。だから、わたしはそのすべてが大好き。)
理恵子の言葉は、まるで慎一が朱美との逢瀬で最後の肝心な時に勃起できなかったこともすべて知っているような内容でした。しかし、理恵子との再会で喜びにうち震えている今の慎一には、それは大したことではありませんでした。
(痛くはないかい? )
(愛しあう痛みは、幸せの痛み。愛する人と結ばれたことを感じる喜びの痛み。人は誰も、親の深い愛情の中、血の海から産まれてくる。だから、赤い印は愛情の証なの。)
大人びた理恵子の答えに少年はやや新鮮な驚きを感じました。
(驚いたな。理恵子に詩人の才能があったとは知らなかったよ。)
理恵子はいたずらな微笑みをしながら答えます。
(ふふっ、愛する人を思う時、女の子はみんな詩人になるんだよ。それに、たとえどんなに愛撫をしても、それがたとえどんなに巧みでも、愛する人との口づけに勝るものはない。しんちゃんとの口づけが、わたしには最高の愛撫なの。)
そう言うと少女は身体を開きました。
(さあ、しんちゃん、……来て。)
(うん。)
慎一は理恵子の求めるまま、理恵子と身体を合わせました。慎一は自分の愛情の高まりを体現している己れのものを、少女の膣口にあて、ゆっくりと中にその半身を入れました。そして、再び理恵子に折り重なり唇を重ね合わせます。
(う……んん……優しいね、しんちゃん。……いいよ、もっと……きて。)
少年は頷くと、ゆっくりと奥の奥まで入れていきます。理恵子の胎内の柔らかく温かい肉に包まれて、少年は今までの自慰とは比較にならない優しく温かで下半身がとろけてしまいそうな官能に酔いしれてしまいそうでした。
(うん……んんん……。)
理恵子と慎一は向かいあった手と手をぎゅっと握りしめ、理恵子が堪える痛みを、慎一もまた、握りしめた手のひらに感じ、受け止めていました。
理恵子は慎一のものを受け入れた喜びに一筋の涙をこぼしました。慎一はその真下に破瓜の痛みに必死に堪える理恵子の顔を見つめました。相手の気持ちよさとの引き替えに、自分の痛みにこらえる理恵子の姿が、慎一にはとてもいとおしく感じられました。
(大丈夫? )
(平気。……今、しんちゃんがわたしの中に入っている……しんちゃんをわたしが包んでいる……わたしのお腹にしんちゃんを感じている……それが、嬉しくて……。)
理恵子の瞳には、その嬉しい思いをあらわすかのように、涙の跡が残っています。
(しんちゃん、好きに動いていいよ。しんちゃんに、わたしで気持ち良くなってほしいの。)
慎一は理恵子に微笑み返して頷くと、ゆっくりと腰を動かしました。
(んっ……んんん……はん……。)
理恵子は頬を朱に染めて、喜びの痛みに堪えています。理恵子は可愛い眉間に小さなシワを寄せ、目をつむり、唇を引き結んでいました。
一方、少年の律動も次第に強くなり、少年は腰をしっかりと理恵子の股間に強く押しあてたまま、子宮の奥の奥を探し求め、その姿勢のまま再び理恵子を抱き上げるように強く抱きしめ、唇を重ねます。舌を絡め、唾液を吸い、上下ともにひっしと結び付きを深めていったのです。
理恵子との口づけは、理恵子が言った通り、慎一に極限の官能をもたらしました。いやが上にも大きさを増した少年のものは理恵子の子宮の奥壁にまで届き、理恵子は遂に堪えかねるかのように歓喜の声を上げました。
(あぁん! ……しんちゃん、……あぁ! ……だ、だめ、……変になっちゃいそう! ……しんちゃん! ……しんちゃん! しんちゃん! ……好き! 好き! 大好き! ……しんちゃん! 愛してる! 愛してる! )
(理恵子! ぼくも、ぼくも、愛してる! ……ああ! あっ! ……いく! いきそうだ! ……理恵子! 理恵子! 理恵子~! )
いよいよ、慎一の絶頂を迎えるその時が訪れようとしていました。そして、その時が……。
(あぁ! ううっ! ……。)
慎一の律動が加速したと思いきや、一瞬、慎一の腰が強く理恵子の股間に打ちあてられたまま、その場で停止しました。慎一も理恵子も、ふたりながらピクピクと震えています。
そして、慎一は改めて理恵子を抱きしめて唇を重ねました。初めは短く軽めに3回、そして、普通に1回、その次はお互いに首に手を回して長く濃厚に舌を絡め、唾液を吸い合います。
(ありがとう、しんちゃん。ようやくしんちゃんと結ばれることができた。嬉しい。)
理恵子は、慎一の心までてろけそうな笑顔で答えました。
**********
(良かったね、慎一くん、理恵子さんと結ばれて。)
(本当に良かったわ、しんちゃん。ずっと心配していたのよ。)
慎一に語りかける聞きおぼえのある二人の女性の声がします。
(土屋さん! それに、……レミねぇ! )
そこには土屋朱美と麗美おばさんがいました。ふたりとも純白のスリップ1枚を身につけて、神々しい美しさに慎一には見えました。理恵子も、その二人が来ることを分かっていたのか、嬉しそうに慎一を見つめています。慎一と理恵子は起き上がり、ふたりを迎えます。
ベッドに腰を掛けるふたりに対して、朱美と麗美のふたりはその前に立って優しくふたりに微笑みかけています。
(土屋さん、ぼくはいつもきみにひどいことばかり……。)
慎一は頭を下げて、心から素直に朱美に謝罪をしました。
(まったくよね、わたしにも責任をとってほしいな、女として恥をかかされたまんまじゃ、たまらないわ。)
朱美は苦笑しながらも、決して、慎一を非難するような口調ではありません。そこに慎一は救われた思いを感じました。
(ありがとう、土屋さんのその率直な言葉に、何度ぼくは救われ、勇気をもらったことか。今こそ、そのすべてにぼくは素直に感謝できる。ありがとう、……朱美。そして、本当にぼくは朱美を愛している。)
(理恵子さんの前でそんなこと言うもんじゃないわ。ねぇ、麗美さん。)
しかし、当の理恵子も麗美と目を合わせて微笑みます。
(それに、レミねぇ、きっとぼくが思ってる以上にレミねぇには一杯心配をかけて、たくさん悩ませていたんだよね。ごめん。)
麗美おばさんに向き直った慎一は、再び頭を下げました。
(しんちゃん。あなたはもっと自信をお持ちなさい。あなたの優しさに、わたしたち、みんなが救われた。でも、そのあなたの優し過ぎる気持ちが、かえって自分を苦しめた。もう、ゆっくりとして、力を抜いていいのよ。)
麗美は慎一の前に進み、慎一の頭を両腕で優しく抱きあげました。慎一は麗美のふくよかに柔らかい胸に顔を埋め、昔を思い出して感極まってしまったのか、いつしか涙にむせんでしまいました。
(レミねぇ……ひっく……うっう……。)
麗美は慎一の頭を優しく撫でつけます。
(いつまでも子供みたいなしんちゃんね。だから、優しいの。……でも、これからは強い優しさを持ってね。ひとりでも生きていける強さを。そして、大切な人を守れる強さを。)
慎一は麗美の胸元から顔を離し、麗美の顔を正面に見つめ返してしっかりと答えます。
(うん、わかった。ありがとう。……麗美、いつまでも、愛しているよ。)
慎一の隣から肩を寄せてきた理恵子が、安心したように柔らかい笑みを浮かべて話します。
(しんちゃん、……しんちゃんの回りには素敵な良い人達がいっぱいだね。実はね、中村朋美ちゃんもわたしの近所の子で、小学校から一緒に学校に行っていたから、わたしはよく知ってるの。だから、わたし、安心した。……しんちゃん、朋美ちゃんは良い子よ。彼女のことを大事にしてあげてね。)
慎一には初耳でした。朋美からもそれは聞いていませんでしたが、慎一には今更驚くことではありませんでした。
(理恵子、ありがとう。でも、いつまでもぼくのことばかり心配しないでいいよ。もう、ゆっくりとおやすみ。)
理恵子はゆっくりと微笑み頷き、朱美と麗美もまた笑みを交わして頷き合いました。
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