第27話 そして、少女の逆襲
(これまでのあらすじ……)
愛するおばさんとの辛い別れを経て、大人の階段へ一歩を踏み出した少年の前に気になる少女が現れます。少年は中学生活の中で、次第に少女への思いを募らせ、そして、少年の告白を受けてふたりは同じ歩みを始めます。しかし、少年には少女には言えない淫らな性癖がありました。ある日、ふたりはいつものように放課後の時間を少女の部屋で過ごし、少女が買い物に行った隙に、とうとう少年の悪い性癖が出ました。少女の下着をあろうことか盗んだのです。そして遂にその少年の性癖が少女の前にさらされる時が来ました。しかし、少女の反応は少年の想定を飛び越え、少年は少女の勇気に気おくれしながらも少女の下半身に抱きつきます。しかし、興奮に我を忘れた少年はやり過ぎて少女から突き放され、その際に少女は思いがけず少年のモノを見てしまいました。少年はそこで少女にカミングアウトしました。その少年の正直な吐露に応えるかのように、少女は少年のモノに献身的に奉仕をしました。そして少年は至福の内に果てたのです。
**********
とうとう我慢できずに、射精をしてしまった少年でしたが、虚脱状態からふと我に返ると、自分の目の前にうずくまる少女のことが心配になりました。
結果的とはいえ、自分の精子を、よりにもよって少女の口の中に、目一杯、出してしまったのですから。少年は、アダルトビデオで見たことはありませんでしたが、成人漫画で見た知識で考えても、ちょっと普通にはあまり良い行為じゃないんじゃないかと、今更ながらに少女にしてしまったことを危ぶんでしまいます。
「だ、だいじょうぶ? ……ごめん。」
すると、少女は顔を上げてニコッと微笑みました。しかし、少年がホッと安堵する間も与えずに、少女は少年の首に両腕を回して、少年に体当たりするかのように飛び込んで来ました。その勢いに、少年はパンツを脱いだフルチンのまま、後ろに倒れ込みました。
「うわぁ~!!! 」
(しんちゃん! お返しだぁ~! )
倒れこんだ少年に対して、少女はいきなり強引に唇を合わせてきました。少年にとっても、少女にとっても、それは唐突な初めてのキスでした。
「!!! 」
しかし、ふたりの初めてのキスの味は、レモンの味でも、フルーティーな香りでもありません。生臭いザーメンの味だったのです。少女は、自分の口の中に吐き出された少年のザーメンを、そのまま少年に口移ししてあげたのでした。
「うわっ! ……な、なに! ……ぐわぁ~!!! 」
少年はあまりの生臭さにのけぞってしまいました。
「どう? 自分のお味は? 」
少年のあらがいようのない、いたずらっぽい笑顔で少女が微笑みました。少年は困ったような顔になるしかありません。だって、それを少年は結果論として少女に飲むことを強いたわけですから。
少年は、この精液を今更吐き出すのも少女に対しては非常に失礼なような思いになり、気持ちの悪い青汁の更に十倍以上気持ちの悪い得体の知れない物を飲み込んだように、これ以上はない情けない顔をして、自分の物を自分の中に戻したのでした。
(自分のザーメンを自分で飲むバカがここにいた~!……こんなのを、女の子に飲ませるなんて、最低のバカだ~!……マンガなんか信じちゃだめだ~!……うっ、うげぇ~!)
一方の女の子はというと、誰も喜んで飲むような人はごく僅かでしょうが、男の子ほどではないかも知れません。それは当然ながら、ザーメンの味という意味ではありません。そこには、当の相手である男性への好意というトッピングが、わずかに女性側の許容限度を下げているにすぎないのでしょう。
少女は、口に残ったザーメンを一気にゴクリと飲み込みました。
(ん~、美味しくはない~、言っちゃえば、まずい! でも、しんちゃんの子供がここにいっぱいいるんだよね。……これが、子種なんだね。……これが、わたしの中に入ったら、しんちゃんとわたしの子供が出来るんだよね。不思議~。)
そして、少女は再び……。
「ひどいよ~。……ん? ……んんん、……♡♡♡」
少女は、今度はゆっくりと少年の首に腕を回し直し、少年も少女の背中に腕を回して少女を抱きかかえました。少女は口の中に残った少年のザーメンをすべて飲み込んで綺麗にしてから、改めて少年と唇を重ね合わせました。
「どお? ……今度はわたしからのお口直しだよ。」
いたずらっぽい少女の笑みに、少年は答えようがありませんでした。
「ん? ……ん、うん。」
もはや、頭をかいてうなずくしかありません。しかし、少年はすぐに少女へ改めてのお願いをしました。
「もう一回、ぼくから理恵子にキスをさせてもらっていい? 」
少女は頬を赤くして返事をしました。
「……うん……いいよ。」
少年は今の二回の不意打ちのキスとは別に、少女に改めてキスをお願いしました。少女は静かに目をつむります。
すると、少女のピンク色の唇が少年の視界の中でどんどん大きくなってきました。少年は爆発しそうな気持ちを静めながら、少女に近づきます。
どんどん少女の顔が近づき、次第に少女の息遣いまでが分かるようになり、更に少女の甘い香りが強くなり……そして、ふたりの唇と唇がゆっくりと接したのでした。
少年は自然に少女の背中に腕を回して少女を抱きしめました。少女は右手を少年の胸に添え、左腕を少年の腰に回します。
きっと、二人には一生忘れられない、この三回の連続キスでした。少年は、唇を少し動かし、改めて少女の唇を軽くハムハムしました。少女もまた、軽くハムハムして返してきます。ふたりの唇はお互いに相手の唇を求め合います。
「んん……。」
少女の吐息が鼻から漏れてきます。同時に少年の鼻からも。唇を重ねたまま、少年は少女の背中に回した腕で少女を引き寄せ、更に強く抱きしめました。少女の甘い香りが更に少年の鼻腔にまとわりついてきます。
「んんん……。」
少年の抱擁を少女は嫌がらず受け止めてくれました。少年は少女の背中を優しく何度も何度もさすります。少年の胸板に少女の柔らかい胸の膨らみが感じられます。
「んん……んん……。」
少女は少年に応えようと、唇を何度もハムハムして少年の唇の感触に応えました。その反応が少年にはとても可愛くいとおしく思えました。
長い長いキス……舌を入れたわけでもない、ただ唇と唇を重ね合わせただけの単純なキスでした。
しかし、少年のあそこは再び大きくなってきました。でも、そこで少年は唇をようやく外しました。最初の二回のキスとはまるで違ったようで、受け身のキスをした少女の瞳はとろんとうるんでいました。
「理恵子……可愛いよ。……ぼくの大好きな理恵子。……ぼくだけの大切な理恵子。……理恵子、愛している。」
少年は更に四回目のキスをしました。今度は軽く。チュッと、可愛い音を残して。
「ごめん。これ以上、キスをしちゃうと、……また、我慢できなくなりそうだから。……でも、ありがとう。」
少女はまた耳たぶから首筋まで真っ赤にして答えました。
「……うん。」
しかし、可愛いウブな少女を演じたと思いきや、頬を染めたまま、顔を上げて、ニカッといたずらな笑みを浮かべました。
「もお、しんちゃんの変態!わたしの背中をさすってブラジャーとスリップを撫でてたんでしょ。分かってるんだから!」
少女からの笑顔の抗議に、少年はまたいつものように頭をかいてしまいました。それは不可抗力というものでしたが、実際、少年の心理的には当たらずとも遠からずというところでしたから……。
もちろん、その抗議は、これ以上ない幸せな気持ちに浸っていた少女の、明らかな照れ隠しでした。少女は少年の手を取るとニッコリ笑います。
(女心、分かんないよね、しんちゃんのにぶちん!しんちゃんのバカ!……でも、……嬉しい。……しんちゃん、大好き! )
少女にとっての最初の二回のキスは、たとえ初めてのキスとはいっても、彼女にとってはイタズラみたいなものでした。
でも、三回目に少年から望まれたキスこそが、少女にとっての本当のファーストキスと言えるものでした。そして、そのキスによって少女は最高の幸福感を味わうことができたのでした。
しかも、少年が少女に言ってくれた「大好きだ」という言葉、「ぼくだけの大切な理恵子」という言葉、そして、初めて言ってくれた「愛している」という言葉とともに、少年からの深い愛情を実感して、涙が出る程に嬉しかったのです。
**********
少女がキッチンとトイレに行っている間、少年は部屋の中に取り残されていました。その間につらつら考えてみると、少年は、結果的に少女の勇気ある機転に救われたことに思い至りました。
つまり、本来ならば下着を盗んだことが発覚した時点で、二、三回、頬をひっぱたかれて、更に絶交宣告の上で部屋を叩き出されても仕方がありませんでした。ところが、少女が勇気を振るって少年の思いに応えてくれたお陰で、少年は救われたのです。
少年は、かつて、心から愛しく思った初恋の人を思い出しました。まさにあの時と同じでした。少年は、優しく聡明な女性から、再び、救われたのでした。
(なんだろ……絶体絶命が助かった上に……とっても美味しい思いができたような……一生分の運を使い果たしてたりしないよな……。)
それに、思いがけない形で念願の理恵子との初キスをすることができた少年でしたが、それは少年にとっても一生忘れられないものとなりました。それに、少年としても改めて真面目にキスができたことで面目も施したし、少女に対してもこれ以上ない幸せを与えることができました。
でも、やはり最初のキスは強烈でした。これからの将来、オナニーだろうがセックスだろうが、少年が精子を吐き出す度に、その匂いはすべてこの少女と共有している思い出につながっていくのです。
(やべっ……精子の匂い……トラウマになりそ……。)
それは、少女の計算ではないでしょうが、改めて女性の強さとしたたかさとして、少年には感じられたのでした。
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部屋のドアが開いて少女が入ってきます。
「しんちゃん、コーヒーを入れてきたよ。前にしんちゃんも認めてくれた『ポイズン』も、また買ってきたから。」
少女はまるで何事もなかったかのように、いつものような雰囲気を取り戻して部屋に入ってきました。
(さっき、あんなこと、したばかりなのに。女の子ってすごいなぁ。)
少年は改めて女の子の強さを感じるとともに、それがとても不思議に思えました。しかし、引きずることもなく、逆にそこでも少年は救われたような思いになったのも、事実です。
二人は、それ以前の普通の時間を取り戻したかのように、いつものような学校やお店の他愛もない話しをして、残る時間を愉快に過ごしました。
**********
「それじゃ、また、明日」
玄関のドアノブに手を掛けて扉を半分開いた状態で、少年が少女に声をかけました。少年は、少女から「また明日」という再会の言葉をもらうことで、今日の出来事への許しを乞おうとしていたのかもしれません。
……でも、この時もまた、少女は少年の予想を遥かに超える反応をしました。
「ちょっと待って、……これ、しんちゃんにあげる。」
少女はそう言って、少年にも見覚えのある少女愛用の巾着を、後ろ手にした背中から出して、少年の手に持たせました。
(え? これなに? )
少年が驚いて唐突な心の叫びを上げている間に、少女は平然と次のセリフに移行しました。
「じゃあ、また明日ね。」
そう言って、少年が心の余裕を取り戻す間もなく、少女はイタズラな笑顔で無邪気に手を振り、別れの儀式の時間が過ぎ去ってしまいました。
少年は驚きと疑問を残したまま、ドアを閉めざるをえませんでした。
**********
少年は、家に帰るまで、その途中でその巾着を開けることはしませんでした。あける勇気が湧かなかったのです。
(もし、理恵子からの別れの言葉が入っていたらどうしよう? )
(別れをほのめかすような何かが入っているのじゃないだろうか? )
(僕は、理恵子に恥ずかしい思いをさせてしまったのじゃないだろうか? )
(いやいや、別れ際の感じはそんな風じゃなかったし……。)
(……でも、女心はなかなか分からないって言うから、油断できないと……。)
そんな漠然とした恐れがあり、とても中を見る勇気が出ませんでした。
こんな一人で考える時には、だいたいがろくなことを考えないものです。すべての思考がネガティブなベクトルを示し、一方で、自分はそれだけのひどいことをしたのかもしれない、どうしたら良いだろうかと、自責の念が頭の中でグルグルして混乱するばかりでした。
**********
自宅の部屋に戻り、少年は巾着を前にしてしばらく悩んでいましたが、意を決して巾着の袋を開けました。中にはやはり驚くべきものが入っていました。
巾着の中には、あの時、少女のタンスから自分が抜き取ったスリップと、他にも2枚のスリップが入っていました。他の2枚は若干くたびれていたり、ほつれが1、2箇所あるもので、古着として処分するつもりのものだったと思われました。
不思議なことに全部スリップばかりで、恐れていた手紙やメモ書きのようなものはありませんでした。少年はそこでようやく安堵することができたのでした。
しかし、そこに込められた少女からの無言のメッセージに、少年は一晩中、悶々とすることになります。
(これ、……くれるってことで……いいんだよね。……ひょっとしてあれか……ひとりで寂しかったら、これでオナニーしろってこと? ……て、ことは……うわぁ、やっべぇ~! マジ変態の烙印! )
でも、スリップはあげられても、女の子にとってやっぱりパンツは恥ずかしいのかなと、少年は自分で勝手に納得もしました。
実は少女のタンスから抜き取ったパンツ2枚は、スリップよりも奥の、カバンの更に奥に押し込まれていたので、少女も気づかないようでした。
(あとで、パンツの枚数が合わないとか、怒られたりしないかな……絶対にばれないわけないよな……いやいや、あいつカンが鋭いし……おれ、すぐ顔にでるし……今更、戻せないよなぁ!……『あ、理恵子、玄関にこれ、落ちてたよ』……ぐあ~~~~~!そんなん不自然過ぎる~~!ばればれじゃ~~~~ん!あ~~~~、ど~しよ~!)
そう悩みながらも、結局、その夜も少女のパンティとスリップで少年はオナニーをしてしまいました。
……なお、パンティについては、後日、しっかり少女からお灸を据えられたことは言うまでもありません。
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