サイクリングの話

 ツイッターやブログを読んでいる人は知っているかもしれないが、私はサイクリングを趣味としている。


 きっかけは小5のころ、自転車で近所を散歩したことがあった。そのとき、車の中から眺める景色とは違うことに新鮮さを感じたことから、ハマってしまった。


 高校生のときに自転車登校を始めたので行動範囲が広がり、短くて4~8km、長くて20km以上は走るようになっていた。今でもそれは変わらない。


 初めてこれを聞いた人は大半は目を点にして、「浅野くんよく走れるね」と驚嘆の声を漏らす。私自身それほどのことでもないと思っているが、他人から見ると大そうなことらしい。


 自転車で長距離を走る私でも、苦戦したことが2つある。


 1つはきつい山道を登ろうとしたことだ。


 気分転換に遠くへ行ってみようと、畑と住宅街が広がる中、山の手前にある町の中を自転車で走ること1時間。山の麓にある神社の鳥居の前を通り、青葉の茂る木々のトンネルの中へ入る。


 青葉のトンネルを抜けた先は阿賀野市。この山を越え、阿賀野入りを果たしてやるという意気込みでペダルを漕ぐ。


 坂の傾斜は最初緩やかだったが、ペダルを漕ぐごとに急になっていき、木々も深くなってゆく。同時に、空気がきれいで涼しく、鳥のさえずりが聞こえる心地よい場所へと入っていった。


 登山気分で山道を走っている途中、かなり傾斜が急に感じたため、無理だと感じた私は、山を迂回するルートから市境を越えることにしたのだ。


 登るときのペダルは重かったが、山を下るときは軽くなっていたので、ペダルを漕ぐ必要もなくなっていた。


 かなりの速度で山を下る。体感的には時速30キロはゆうに超えていたかもしれない。


 走っているときに巻き起こる風が、汗で濡れたシャツに吹きかかり、爽やかで気持ちよかった。



 2つ目は、同人イベントの視察に行くために、会場の朱鷺メッセを目指したときの帰りのこと。


 この日は朝早くに自転車を出し、信濃川を下るように、ランニングやジョギングをしている人を追い抜きながら、堤防の上にある川沿いの歩道を走る。川風と自転車を走らせるときに起こる風が心地いい。


 信号もほとんどなく、普段通学している時分よりも涼しかったので、快適にペダルを漕いでいくことができた。そのため、友達と約束していた時間より早く目的地に到着してしまった。


 時間ができたので、一人で近くの名所に行ったり、昼食をとったりして約束の時間までの暇つぶしをした。 



 視察が終わった。


 本当の地獄はここからだった。20数キロもある距離をまた走らなければいけないのだ。


 私は行くときに通った道を再び走る。


 ずっと立ちっぱなし歩きっぱなしだったせいか、行きのときの軽快なスピードは出ない。どうしても鈍足走行になってしまう。おまけに行きのときよりも日射しが強く、暑い。


 堤防を出たときには陽は西へと傾き始め、空を紅色に染め上げる。


 このとき私の足はパンパンになり、ペダルを漕ぐだけでもやっとになっていた。家に着いたときは歩くのさえも億劫だった。


 家に帰った後、夕食を食べてお風呂に入った。視察に同伴した友達に「お疲れ様」とメールを送り、早々に布団の中へ潜り込む。


 案の定次の日は筋肉痛。この日体育の授業がなかったことが幸いだったが、太ももが痛んでいるという最悪の状態で、自転車登校する羽目になってしまった。


 自転車で遠くに行くときは、次の日のことも考えて乗ろう。

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