電車の話
私は電車が好きだ。乗るのも撮るのも。
乗るのが好きになったきっかけは高2のころ。仲良くしていた知り合いと一緒に電車に乗って、市街地の方へ遊びに行ったことからだろうか。
このとき私は、生涯で初めて電車に乗った。
吊革につかまってゆらゆら揺られるところ、次の駅に着く前のアナウンスが、冒険心に火をつける。
後に一人旅をするようになってからわかったのだが、目的地がまだ来たことのない場所だったり、遠いところだったりするほど、その気持ちは高ぶるらしい。
そのため、私は今でも遠くへ行くときは、電車をよく使う。
電車を使う長旅で格別だと感じるものは、電車の中での読書だろう。
次の駅のアナウンスを聞き逃さないように、耳に神経を集中させながら本を読む。そうしていると、かなり長く感じる道のりであったとしても、どこか短く感じてしまう。同時に、先ほどのワクワク感も失われないため、一石二鳥だ。
ただ、電車の中で本を読むときは、くれぐれも集中し過ぎないように。本を読むのに集中するあまり、アナウンスを聞き逃して、降りるべき駅を通過してしまうことがあるからだ。私もそれで慌ててしまったことが、何度かある。
撮るのが好きになったきっかけは、電車が学校の近くを通っていたためだろうか。
その電車が通る線路は、季節ごとにいろいろな表情を見せてくれた。
春には線路の脇に黄色い菜の花が咲き、夏は緑色のカーペットが敷いたかのように鮮やかな田んぼと、一面に広がる水色の夏空。秋には哀しい茜色に染まった夕日と、空を飛ぶ鳥たちの群れ。冬は田んぼ一面に広がる白い雪の絨毯。
私はその沿線にある農道を、登下校中自転車で走りながら、季節の移ろいを感じていた。また、その電車に乗っているときも、車窓からよく眺めていたものだ。
私はこの中を走る車両を一度撮ってみたいと思っていたが、結局撮れないまま終わってしまった。もし、機会があるのなら、その風景をしっかりとレンズに写したい。
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