Gさん、17歳、高校生、涙が止まらない

10/9  母親とともに来院。

     10/7日より、涙がぽろぽろと零れる状態が続く。左右どちらも。

     「悲しさや嬉しさなどの感情とは関係ない」と主張。

     当人は、次のように語る。

     「10/7に友人とともに映画を見に行き、そのときに感動して泣いた」

     その日、友人から、「目が潤んでいる」と指摘される。

     そのときから涙が多いことを意識しはじめる。

     10/7の夜には、感情と関係なく、涙が流れる状態に。

     それが現在も続く。


     診断:涙嚢炎。炎症による涙道の閉塞によって涙が排出されない症状か。


     おそらく、映画を観て泣いたときに目をこすりつづけ、

     涙道に炎症を起こした影響で、涙道が閉塞した。

     そのため涙腺から分泌される涙が行き場を失い、あふれだした。


     当人の目頭を押すと、濁った涙が逆流するのを確認。涙嚢炎の可能性大。

     

     目薬を処方し、様子を見る。


10/11  母親とともに来院。  

      当人、「まだ涙が止まらない」と主張。

      まぶたのふちがただれている。

      「涙が止まらない影響で、視界がぼやけて黒板が見えない」

      その旨を伝えるための学校への診断書を書く。

      引き続き、目薬を使うように説得。


      当人は落ち着いている様子だが、母親がイライラしている模様。

      母親に連れてこられ、この眼科に来たという。

      当人は眼科にくることに積極的ではない


10/20  母親とともに来院。

      「涙が止まらない」と主張。

      目薬の効果がないものと思われる。

      状態は悪化している。

      「目薬をちゃんと使用したか」と聞くと、「はい」。

      悪化した原因は不明。

      手術によって涙道を確保する必要がある。

      大学病院への紹介状を書いて、渡す。


10/23  大学病院から電話が入る。

      手術を実施することにしたとの報告。


10/25  手術がおこなわれる。


10/28  母親とともに来院。

      「手術後も、まだ涙が止まらない」と主張。

      涙道の炎症は収まっている。

      しかし、痛みがあり、発熱もある。37.9。

      原因不明。

      涙腺異常の可能性もある。

      涙腺異常と涙道閉塞を併発していたのか。

      大学病院で検査をするように紹介状を書いて、渡す。


10/31  当人から連絡が入る。大学病院には行っていない。

      「涙がとまった」という。

      10/30の夜、Gさんの母親がGさんの父親を殺害した。それ以来。

      「それまで、ママとパパが家の中でたくさん喧嘩していた」とGさん。

      「でも、視界がぼやけていて、喧嘩の様子がよく見えなかった」

      そう、話す。

      「ママがパパを殺すのも、ぼやけていて、よく見えなかった」

      涙の症状がなくなった理由は不明。

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