タカが旋回する

 時間のある日は、朝昼晩と散歩する。主婦でも、いろいろと忙しいから、毎日散歩できるわけじゃない。でも、時間を見つけると、散歩したくなる。


 今日もとくに予定がなかったから、朝昼晩と家の近くを散歩した。その三度の散歩の中で、ちょっと不思議なことがあったから、ここに書き残しておくことにしたい。


 まずは、朝の散歩のとき。午前8時くらいだったと思う。わたしがいつもどおりの川沿いの堤防を歩いていると、河原の上空でぐるぐると旋回しているタカを見つけた。タカって、あんなに旋回するものなのだろうか。そんな疑問を覚えるくらい、小さな円を描いて、ぐるぐると回っていた。わたし、タカが旋回している真下の河原になにかがあるような気がして、興味本位で、河原まで下りていった。


 タカがぐるぐると旋回しているところの真下の河原には、タカの死骸が落ちていた。なんとなく納得したわたしだった。きっと、仲間だったのだろう。この死骸への敬意みたいなものがあるのかもしれない。そう思って、帰宅した。


 続いて、お昼ごろ。午後3時ごろだったと思う。わたしはいつも、朝昼晩とまったく同じ川沿いの道を散歩する。だから、今日も、朝に歩いた道と同じ道を歩いた。そしたら、びっくり。朝にタカがぐるぐると旋回していた場所に、竜巻が発生していた。まるでぐるぐると旋回していたタカが発生させたかのようだった。その竜巻はじわじわと少しずつ動いていた。


 気になったけど、さすがに近づくのはやめておいた。怪我でもしたら大変だから。わたしは竜巻を遠目に見ながら、面白い偶然もあるものだなって思った。


 そして、晩。正確には夕方で、午後5時半ごろだと思う。わたしはまた同じ道を歩いた。そのときはもう竜巻はなくなっていたから、河原まで下りてみた。朝にタカの死骸があったところへ行ってみると、もう死骸はなくなっていた。わたしは、思ったんだけど、もしかして、竜巻に巻き込まれてどこかに飛んでいったのだろうか?


 ただの竜巻にそれほどの力があるとは思えなかったけど、はじめて見るくらいに大きな竜巻だったから、もしかしたらありえるのかもしれない。


 亡くなったタカをどこか遠くに運ぶために、ぐるぐると旋回して竜巻を発生させ、その竜巻に乗せて、遠くまで飛ばした?


 だとしたら、面白いけど、そんなことないよね。たぶん。

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