6-06 それはたぶん穏やかな朝の風景
6-06 それはたぶん穏やかな朝の風景
ドスン!
という衝撃で目が覚めた。
「んあ~っ」
ちょっと寝ぼけ目で確認すると俺の上に見事な太ももが!
色白で柔らかくて素敵な太ももだった。
太ももをさかのぼっていくとそこにはかわいいおしりがあって、その向こうには…
「サリアかよ」
昨日サリアと帰ってきて、彼女はそのままうちにお泊りだった。
別に何かあったわけではない。本当にただのお泊りだ。
ルトナは『やっちゃえやっちゃえ』とか言うがさすがにサリアの身分で婚前交渉とかありえない。
そこらへんは民族的な文化の違いで、獣人というのは基本的に肉食系でほしい男がいたら女の方が襲い掛かるとか普通にある。
というか男の方が礼儀正しくて男はただアピールするだけというのが基本だ。
人間の女性もそういうところはあり、いい男は逃がさないぞ。という向きはあるのだが、さすがに…のはずなんだが…
「しかし本気で外堀を埋めにきているな」
サリアはなぜか浴衣を着ている。
浴衣というのははだけるものだ。
「見事にはだけているな」
パンツは丸見えだし、胸の所もはだけていて形のいい胸がすごい自己主張している。
サリアの胸は大きい。
だが巨乳というわけではない。形がよくて張りがあって、寝ていてもつぶれたりせずにちゃんと自己主張している。
形もエロい。
サリア自身が小柄で細身でかわいい感じなので全体としてものすごくエッチな身体という印象だ。
思わず突っつきたくなるな。やらんけど。
年頃の娘さんにそういうことをしてはだめさ。
さて、と視線を転じるとクレオが同じように寝乱れた姿で転がっている。
乱れ過ぎで色々見えてはいけないものが見えそうで見えないで、いや、やっぱり見えてるな。
ルトナもいるがこいつはパンツしか穿かずに寝るからいいのだ。いつもエッチなのだ。
「しっかしいつの間に潜り込んだんだ? 昨日の晩は女子会とかやってたじゃん」
「ん~♡ 女子会のながれで乱入したの。他の寝床はいまいちだし…」
目を覚ましたルトナとキッス。
一応建物の改築(修復?)は進んで各自に部屋が作られている。ベッドなどもしつらえてある。客間もある。
だが獣人族は一つの大きな寝床で
なので寝部屋があって、俺とルトナはそこを使っているのだが、クレオは初乱入だな。
いやー、危ない危ない。
俺も身体が若いから結構ギンギンなんだよね。
寝ぼけてつっこんじゃったりしなくてよかったよ。
「あ~っ、おはよう兄さま~」
「え? あれ、ここどこ?」
二人とも起きだした。
「うんおはよう」
浴衣を治そうな、おっぱいがすごいフルフル揺れているよ。サリア。
そしてオッパイは小さくてもちゃんと揺れるのだな、クレオよ。
◆・◆・◆
穏やかな朝の風景である。
全員すでにきちんとした服を着ている。
その状態で食事中だ。降り注ぐ朝日に湯気を立てる朝食。きっとあこがれる者も多いだろう理想の朝の食卓。という感じか。
サリアはにこやかに。そしてクレオは恥ずかしそうにすまし顔で。ルトナはちょっと不機嫌?
「考えてみたら昨日ヤれなかった」
何をかは言うまでもない。
だが無視だ。
外を見れば子供たちが朝のお務めをしている。
礼拝堂の軽い掃除を兼ねた運動だ。
神殿の修復もほぼ完了し、住環境は劇的に改善した。
もう。壁のひび割れも崩れた屋根もない立派な小神殿だ。
精霊虫たちの働きに乾杯。
俺が入れている地代家賃のおかげで食べ物に困ることもなくなったし、たまには狩りで出たお肉をおすそ分けもしているし、近所のおばちゃん(かなり高齢)が手伝いに来てくれているので料理なども充実している。
ほんとはうちと一緒でもいい気はしたんだが、これはテテニスとルトナの反対でなしになった。
立場はちゃんと理解しないといけないし、獣人族的には氏族の分かれ目というのは重要らしい。
そこらへんはごっちゃにしてはいけないそうだ。
例えばテテニスが俺のハーレムに入ったりするとテテニスの養い子なのでチビたちもうちの氏族に入るらしい。
ルトナが狙ってる。
ほかには成長して群のリーダーである俺の配下になることで仲間入りとかね。
ここら辺は獣の群れだな。
視線を感じて振り向くとテテニスがじっとこっちを見ていた。
やっぱり仲間に入りたいのかな?
手を振っておこう。
◆・◆・◆
さて、学校である。
登校である。
「うう~、休みたい、だらだらしたい~」
なんて素直な王女様だ。でも…
「だめ、学校があるから王都に行かなかったんだろ? その学校を休んだら本末転倒じゃんか」
「う~う~う~…仕方ないからおんぶ」
本当に仕方ないな。
仕方ないのでサリアを背負って学校に、こら! 体をゆすっておっぱいをぐにぐに押し付けるな!
とりあえずぺちんとおしりをたたく。
「きゃは♡」
学園までは歩いて行っても大した距離じゃない。
その間サリアは楽しそうに俺の背中でジタバタしたりぐりぐりしたりしている。
本当に昔から変わらない。
まだまだまばらな道行く人が振り返ったりするがたぶん仲の良い兄弟に…
「サリアそろそろ降りなさい。もう十分でしょ? これ以上は王国の品位の問題になるわよ」
「・・・はーい」
ルトナとそんな会話をしてサリアが俺の背中からおりる。
ちょっと背中が寒い。
なんでルトナがいるかというと学園で講師の真似事をやっているからだ。いや、やるようになったからだ。
といっても先生みたいに授業としてではなく、クラブ活動の指導者みたいな立場かな。
ルトナとクレオは武術や剣術を、俺は魔法のレクチャーなどをしている。
毎日じゃないけどね。
「でも十分って何が?」
「うーん、やっぱり気が付いてないよね。子供のころからの流れだからね」
「「ねーーーっ」」
? なんね?
「つまり、サリアとの結婚式はいつにしようかって話よ?」
「え? なんでそうなるの?」
ほんとになんでそうなるの? そんなことしてないでしょ?
「いやいや、サリアをおんぶして、しかもおしり触ってたでしょ」
いやいや触ってませんよ、おぶってたんだから支えるのは仕方ないのでは?
あっ、たたいたか。でも…
クエスチョンマーク乱れ飛びな俺にルトナが説明してくれた。
つまりサリアはそろそろ妙齢の女性だ。
成人まであと一年あるけどね。それでも淑女として扱われる年齢になった。
例えばサリアが男と散歩していたという状況があれば、将来的にお婿さんか? みたいな話にはなる。話題にならざるを得ない…立場的に。
「うう、言われてみれば…」
「一緒に歩いていただけで男女の仲が疑われるし、腕を組んでいたら深い仲だと思われるし、おんぶとかしていたら、もう、人前で交尾をするようなものでしょ」
いやいやそれは暴言だ。
だがうかつだった。確かにおんぶで密着しておしりに手を回していたら…
「はい、もう私のお嫁の貰い手はないですよね。責任取ってくださいね…」
やられた! orz…
「ディアちゃんは小さいころからサリアのこと抱っこしたりおんぶしたりしてたから全然気にしてなかったけどね…
もちろんそういう流れをを知っていたから黙っていたけどね。
これでサリアは第二夫人決定ね」
「はい、よろしくお願いします」
こ… まった…
「えー、えっと、クラリス様とか…」
「あっ、母は大丈夫です。ここにいる間に絶対既成事実を作るようにって言われてますから。今のおんぶ作戦も母が考えたんですよ。
後は現実に結ばれてしまえばOKです」
くっ、あの女王、自分の娘になに吹き込んでんだ。
《いやいや、女というのは怖いものでありますよ。一度この男! と思い定めたら逃げ切れる男はまずいないであります。
男は女に夢を見るから割と簡単に引っかかるんでありますよ》
モース君が精霊のくせに詳しい…
「くそ―…かわいい妹だと思っていたのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ、だまされたー」
「残念、妹じゃなくてただの女だったね。これで本格的にディアちゃんハーレム計画がスタートだ」
ルトナがにっこり笑った。
◆・◆・◆
さて、学園について、サリアを学園に放り込み、魔法のクラブ活動までまだ時間があるので校内を散歩だ。
やたらでっかいからまだ全容が把握できていないのだ。
サリアのことに関してはもういい。あきらめた。
だが成人するまでは、ちゃんと話がまとまるまでは絶対に節度は守らせよう。
そんなことを考えながら歩いていたら人通りの少ないあたりにきてしまった。なのにその陰に人間の反応。
これは覚えがある。
帝国の勇者だ。
しかも女の子二人。
つまり生駒祥子さんと…上月流歌さんだ。
上月流歌だ。大事なことだから二回言っとく。
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