フィルム写真
写真と旅行好きの夫を持つ女性の話です。
その男性はフィルムカメラを愛用しており、自宅に暗室もあるほどだそう。
そんな男性はある旅行先で落ちていたフィルムを拾ったという。女性は理解できなかったそうだが、なんと男性はそのフィルムの写真まで現像したという。
現像し終わって、しばらく男性は自身が撮った写真を眺めていたという。
そして、拾ったフィルムの写真を見てみた。
一枚目は、ほとんどぼやけていて、何があるかすらわからなかったという。
二枚目は、少しぼやけが無くなって、被写体が何かの石だということは分かった。
三枚目で、それが墓石だと知った。男性は人の墓石を撮るなんてひどいやつだと思ったという。
四枚目になって、男性は思わず小さな声を出す。墓石の名前が、自分になっていたからだ。
五枚目は右下から手が現れた。
六枚目になって、写真の七割を埋め尽くす黒い何かが映っていた。
七枚目では、それが誰かの顔だとわかる。
八枚目で思わず写真を投げそうになった。その顔が自分だったからである。
そのまま流して見てみるが、しばらく変化がなかったという。
変化が起きたのは三十四枚目であった。写真が全体的に赤く染まっていた。
三十五枚目になってその顔が苦しそうになる。
震える手で最後の一枚を見ると、真っ白だった。何も映っていなかったのである。
男性はそれをゴミ箱に投げ捨てたという。
しかし、男性はその写真をなぞるように、写真を見て三十四日目で交通事故に遭い、その次の日は生死の境をさまよい続けたが、翌日に亡くなったという。
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