クリスマスローズの求愛
一目で、恋に落ちました。その時からずっと一等愛しているのです。今まで見てきた世界が、全て貴女で埋め尽くされてしまいました。誰にも曲げられない強さを持っていて、誰にも合わせられない弱さを持っている彼女。その歪みが、私には誰より人間らしく感じられ、何より美しく感じられるのです。あの時から、貴女が頭から離れません。
この思いをどうやって伝えましょう。電話? メール? ああ、電話は駄目です。あの人子の声が聞こえるのはとても嬉しいのですが、きっと緊張してちゃんとした言葉が出て来ないと思います。それに彼女に聞かせられるような声ではありませんし、彼女の大切な睡眠時間を削ってしまいます。同じようにメールもだめでしょう。間違ってボタン一つで消されたら悲しいです。それに、文字数に制限があっていけません。それに何度も着信音が鳴らしては煩わしい事でしょう。
ああそうです。手紙にしたためる事にしましょう。
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと、ずっと届けましょう。
それで、この思いの一部くらい伝わるはずです。ああ、彼女は今何をしているのでしょうか。手紙は読んでくれているでしょうか。華奢な彼女はちゃんと食事をしているのでしょうか。ちゃんと睡眠を摂っているのでしょうか。心配で、心配で、仕方がありません。
そうです。彼女の生活を見守ってあげましょう。これで安心できます。彼女には幸せになって欲しいのです。「幸せになって」なんて。他人頼みの幸福では幸せになれないでしょう。他力本願な言葉は嫌いです。
今まではどうでもよかった己の命、折角だから一番好きな人のために使いたいのです。ですから、彼女に害なすものは全て全て排除しましょう。この規則と牽制にがらんじめにされた時代だからといって、愛しい人のために、躊躇いなど何の意味がありましょうか? 彼女の幸せを邪魔するモノには――地獄の制裁を。
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