第4話:スライムの種類
一年経って俺は六歳になっていた、その一年間はスライムの研究に没頭した。
指導役のテイマーは、もう少し強い従魔を従えた方がいいと言ったが、俺はスライムの面白さと奥行きの深さに熱中してしまっていた。
分裂した最弱のスライムの時には、最小の餌を与える事で変質させることが可能だと分かった。
統合して強力になった時には、大きな傷を与える事で強化させる事ができた。
可愛いスライムを傷つけるのは嫌だったが、俺の事を慕ってくれるスライム達は、自ら進んで戦い強化する道を選んでくれた。
「ガイラム様、鍛錬のお時間でございます」
自室に籠って夢中でスライムのお世話をしている俺に、武術指南役の騎士が声をかけてくるが、それを苛立たしく思ってしまう。
一分一秒でも長くスライムのお世話をしたほうが、武術の鍛錬をするよりも強くなれるのが、武術指南役は全く分かっていない。
まだ六歳の俺に激しい鍛錬をさせても、余計な筋肉がついて成長を阻害するだけで、なんの役もないのだと何度言えばわかるのだろうか。
「分かっている、だが私はテイマーとして強くなる。
領主となる私が実際に武器を振るうようでは負け戦だから、そうならないように統治や軍略を重点的に学び、武術は最低限にする」
俺がそう言い切ると、武術指南役の騎士が苦々しい顔をする。
相手はライオス辺境伯家の重臣で、家中でも強い発言権を持っているが、これだけは絶対に譲れない。
スライムを従魔とする事で、今まで使えなかった魔術が使えるようになったのだ。
昨日分裂して増えたベビースライムに餌を与えて成長させる事で、スライムを早く次の段階に進化させたいのだ。
俺の研究で分かった事は、スライムは与える餌によっては特殊能力を備えた個体になり、主人がその恩恵を受けることができるという事だった。
スライムに微毒を与えて変質させてから百匹を合体統合させると、毒を生成するビッグポイズンスライムになる。
ポイズンスライムを千匹集めて合体統合させるとヒュージポイズンスライムになるが、その次の段階には一万匹のポイズンスライムが必要だと思われるので、早急にベビースライムを成体にまで成長させたいのだ。
まあ、別にポイズンスライムに拘っているわけではない。
酸で変質させたアシッドスライムでも、薬草で変質させたポーションスライムでも構わないのだが、薬草や酸よりも毒をもつ草木やキノコの方が集めやすいので、数をそろえるとなると、どうしてもポイズンスライムになってしまうのだ。
「ガイラム様、そんな事ではよき領主にはなれませんぞ。
今日の事はライオス辺境伯閣下に報告させていただきます」
告げ口とは陰湿な事だな、こんなモノが重臣を務めているようでは、ライオス辺境伯家の将来がとても心配だ。
俺が当主になれなかったら、領民が酷い目にあってしまうかもしれない。
「スライムの種類」
ベビースライム :成体になる前にスライム
アシッドスライム :酸が強くなり消化能力に優れ酸弾を吐くスライム。
ポイズンスライム :毒を生成するスライム
ポーションスライム:薬草を食べさせてポーションを精製ができるスライム
ブロンズスライム :銅を食べて硬化したスライム
アイアンスライム :鉄を食べて硬化したスライム
シルバースライム :銀を食べて硬化したスライム
ゴールドスライム :金を食べて硬化したスライム
ビッグスライム :スライムが百匹合体した強力なスライム
ヒュージスライム :スライムが千匹合体した強力なスライム(予測)
ロードスライム :スライムが万匹合体した強力なスライム(予測)
キングスライム :とても強力なスライム
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