第4話:貧民救済
「影龍、王都は以前からこんなに酷いことになっていたの?」
(はい、聖女ルイーズ、王侯貴族は民の事など全くかんがえていない)
「影龍の力で助ける事はできる?」
(王侯貴族や大商人が蓄えている食糧を奪って配ることはできるが、そうすると表立った戦いになる。
絶対に勝てるが、そんな争いは聖女ルイーズの望みではないだろう。
大量に狩って備蓄してある食料を配って与える事は可能だから、それが一番争いにならないだろう)
「だったらそれでお願いするわ」
影龍は聖女ルイーズの命を受けて直ぐに動いた。
聖女ルイーズを慕って集まった影達にも伝え、王都にいる貧民に聖女ルイーズが炊き出しをすると人間に伝えさせた。
寝たきりの者達や死にかけた者達は、影達に憑依させて食べ物のある場所まで移動させて、喰い力を与えることにした。
「聖女ルイーズ様、料理は私達がやらさせて頂きます」
集まった貧民の中で動ける者が率先して料理を始めた。
料理に使える道具も燃料もほとんどないなかで、何とか工夫して料理をした。
乏しい燃料に聖女ルイーズが魔力を加えて、長時間火力として使えるようにした。
その火を使って魔獣の肉を焼いたり煮たりした。
影龍達が集めた食材なので、どうしても魔獣肉になってしまう。
影龍が狩った魔獣肉は強大過ぎて、とてもこんな所に出せる魔獣ではない。
だが比較的弱い影が集めた魔獣なら、何とかここでも使えた。
「聖女ルイーズ様、ありがとうございます。
久し振りに肉を食べる事ができました」
比較的元気な貧民が、オークの焼肉を貪り食っていた。
そこら辺から集めてきた鍋やフライパンを熱して、そこに切り分けたオーク肉を乗せて焼いたり、オーク肉の塊に木を刺して焼いたりした。
ごみ箱に捨てられていた石のように固くなったライ麦パンを、オーク肉と一緒の鍋に入れ水を加えて肉入りパン粥にした物は、弱った貧民に与えられた。
「お前らこんな所でなにをしておる、うっ」
警備の兵士が炊き出しを発見して取り締まろうとしたが、影が直ぐに気絶させた。
影が人を殺す事はなかったが、情け容赦なく叩きのめした。
警備兵が帰ってこない事で、徐々に待機兵も調査に現れたが全員気絶させられた。
聖女ルイーズも影龍も大事にしたくはなかったが、飢え死にしかけている難民を食べさせる事を優先させたので、警備兵を気絶させるしかなかった。
だがそのお陰で、朝までかかったが、貧民全員にお腹一杯食べさせる事ができたし、死にかけていた貧民を普通に歩ける程度には回復させる事ができた。
「私と一緒に王都から出ていきたい人はいますか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます