「私の住むこの街」
……………σ(^_^)
父の意向により私が住んでいるこの街には、四年前…つまり、父が失踪してから、異変が起こっている。…ひょっとすると言うまでもないのかもしれない。
いったい何があったのかはわからない。
結果的に父は姿を消した。
結果的に街に化け物が産まれるようになった。
齋兜風に言うならば、ただ、それだけだった。
対策のためにやって来た斥納罹刻師匠が唯一の手掛かりだったが、しかし父は彼に何も知らせなかったようだ。なんとなくわかる。
しかし六月の初頭から、大きな動きがあった。
不可思議事象の観測数…言ってみれば出現頻度が格段に上がったのだ。
昨日現れた個体数は二。日常的に私達が観測しうる不可思議事象が一体か、もしくはゼロの日もあるのに対し、複数体現れるというのは異例の数字である。そして、その不可思議の力量も平均のそれから増しつつあるように感じるのも不安を煽られる要因のひとつだ。
その日私はいつも通り、不可思議によって行方不明となる人を抑制するため、パトロールをしていた。
不可思議事象が人を襲う条件は、「縁のある人が不可思議事象となること」と「その人が不可思議事象を知っている」ということだ。知っているだけであれらと縁があることになり、日常的に遭遇するようになる。だからという訳では無いが、パトロールのルートは大抵人目に付きにくい場所を通ることになる。
誰かに不可思議を見られでもすれば、次はその人が襲われる事になる。
そして、町の中学校の下にある坂を通る時だった。
「珍しいわね、ここまでくっきりと人間の形をとった不可思議は」
間違いだったらちょっと恥ずかしいが、そういう時には既に私は確信していた。
なぜなら目の前に現れた人間のことを、知っていたから。
「…おかげさまでね」
普段眼鏡を掛けている彼はそう言うと、ぐいと眼鏡を額まで上げ同時にこちらへ間合いを詰めてきた。
距離を取って携帯電話を取り出す。私がやり合える相手ではない。———
『塑斗河だって…? わかった、すぐに向かう!』
「…ひょっとしなくとも怪和崎先輩ですか? 」
「ええ。それまでなんとか君に殺されないようにしなくちゃいけないわね」
「なんかやだな、女性に手を上げる人間だと思われてるなんて」
「もう人間じゃないでしょ?」
「ふふ、そうですね」
すると塑斗河はどこからともなく打ち刀を持った。
「……。」
紙切れでは戦えない…。
「…まあ、なにも殺そうって訳じゃないんですよ。実は」
話がしたくって、と。
「…理解したわ。私達の不可思議事象への対応についてね?」
どうやら塑斗河君は、鋏と一度戦いたかったらしい。武器を持たない私には、どうやらその件について知らせておきたいという目的のためだけに現れたようだった。
—————
そしてまもなく鋏は来る。
「群遊肆刀!」
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