「暗躍」
……………σ(^_^)
そうと決まれば、ゆっくりしている時間は残されていない。
すぐに片づけると家を出た。しかし、琴梨ちゃんの身を守るという目的も、
元よりそう上手くいくはずもなかった。どうせ事象に踏み込んで危険に晒されるというのなら、最初から私に同行させるのが正しいとも思ったが、むしろ自分の危険に道連れにしているといった方が正しかったようだ。
…一頭の牛がいた。
「……牛?」
常識人の琴梨ちゃんは、遠目に見える大き目のシルエットに目を丸くする。否が応でも興味を引き付けられるその存在に、うっかり近づこうとでもすれば、命は無い。
「待って、近づかないで」
制止する。参ったなあ。例の影響があるにしたって、ここまで頻繁に出るとは思わなかった。今日だけで一体何回目撃すればいいのよ。……しかしそうなると、琴梨ちゃんに近くに居られると対処しづらい。
「琴梨ちゃん。回り込んで一人で目的地に向かって。心配しなくても大丈夫だから」
「…はい!」
エンカウントのパーセンテージに関しては、私が囮になることで下げられると考えれば一人で行かせることも悪くはないはずだ。…しかし、そろそろ自分の心配もするべきか。ついさっきも不可思議を鋏に押し付けたばかりだ。目の前に相手が居るというのに、もう逃避は続けられない。
――――――――――—――――――――――――――――—
……………ℵ
こつんと革靴をアスファルトに擦り付けると、硬い音がする。リズミカルに重ねれば、心もそのように。罪人を裁くには、適切な心持ち。自分の存在を違う層へと送って不確実にすれば、彼らからも見られない。楽しいですねえ。
扉を開けると、ターゲットの背後まで踏みよる。
「どうも。いい朝ですね。心地の良い朝です」
小声でそっ…と話しかける。
「………⁉」
「貴方はしてはならない事を行った。ここで行いを終わりにするのです、真理を受け入れて罰を受けなさい」
「……なん…」
「ユゥヴリーチド…ジエンド」
「うぐっあ……うわあああああああああああああっ‼」
【 つづかない 】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます