Night Saddest Extension 【ニヒスカ第一章】

「彼女の行方」

……………σ(^_^)

「…じゃあ、琴梨ちゃん。陸酉さんについて、今ではどう思ってる？」

「…ん、さっきも似たようなことを聞かれた気がしますね」

「そうなの？」

「ああー、いえ、…大したことじゃ無いですけど、他の人にも相談してるので、同じようなことを聞かれたかもなーって」

「———まあ、必然かもね。…諦めるか、それでも追い続けるか。危ないかもとは思うんでしょう？　どうするつもりなの？」

「もちろん、諦めたくないです」

まあ、そうでしょうね。そう易々と引き下がれはしないだろう。…ならば、どうするか…。私が掛けてあげられる言葉は、何か。

「……あ、あと」

私が、多少間を開けて思案していると、ふと付け足した。

「『リラスター』…って、聞いたことありますか？」

———‼　どこで聞いたのよ、その名前⁉　…何とか誤魔化すしかないか。

「うーん………。どうしてそんなことを聞くの？」

　いったい何があってその単語を知ったのか、経緯の説明してもらう必要がある。質問に質問で返すのは不本意だが、仕方あるまい。

「…えっと、他の人にもナミちゃんについて相談してるって言ったじゃないですか、」

「言ってたね」

「その相談相手の一人で、ちょっと根暗な感じの男の子がいるんですけど、」

「うん」

「ナミちゃん捜しの途中でたまたま会っちゃって、事情聴取がてら何か知らないか聞いてみたら結構有力なことを教えてくれまして」

「…その子の名前は？」

「藤岡齋兜くん、ですね」

わーお、このタイミングで出会っちゃいけない人に出会っている…

「知り合いなんですか？」

「…うん、まあね」

彼のことだから、そりゃあもう、出し惜しみなく教えてくれたことだろう。…ひょっとすると、道場の場所まで暴露していそうだ。

「そうなんですね。…まあ、それで…、あの、藤岡くんが何でそんな事を知っているのか気になったからなんですけど」

「うん」

「後を付けたんです」

「えぇ…」

まあ、そうなるのも仕方ないのかもしれない。とはいえその後どうなったのかは容易に想像できる。

「その後、「リラスター」を使う所を目撃してしまった、のね？」

「そうなんですかね？」

「え？」

「その、……何がなんだかわからなかったんですけど、先輩だと分かりますか？　リラスター」

「……リラスター…。言葉の意味だけなら、『再び錆びるもの』。それだけなら分かる。それ以上を知りたいのなら、自分で行動するしかないわね。何なのか、それを追及しようとすること、それが陸酉さんを追い続けることと同義であると言っていいはずだわ」

事象への誘導とも取れるかもしれないが、あくまで決定権はこの子にある。

「…わかりました！　ありがとうございます。やっぱり、藤岡くんが教えてくれた場所に行ってみようと思います」

「待って。私も付いていく」

「え、でも、ここまで先輩を巻き込む訳には…」

「何となく、危ないって事は分かるでしょ？　琴梨ちゃんの身の危険を守る事くらいは私にも出来るから。二人で行こうよ」

「…いいんですか？」

「遠慮しなくていいよ。命の危険がある行動に独りで行かせるのは、寝ざめが悪いから」

「…えっと、じゃあ、ありがとうございます！」

素直にも、受け入れてくれた。よし……なんとか、…出来るかもしれない。