1-5
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「警戒していた割に、あっさり頷いたな」
マーサとリタを下がらせた後、サイドボードの
リモンチェッロは飲み口は軽いが、アルコール度数はそれなりに高い。
疲れているだろうリタが眠るにはちょうどいい酒だが、エミリオには物足りなかったのだろう。グラスを出したエミリオは、
「俺、もっとごねるかと思ってたわ。マフィアなんて嫌だとか怖いとかさあ。なんかもっと色々あるだろ。ビビる要素が」
「今まで、あまりいい扱いを受けてこなかったみたいだね。感情に
「なんつーか、達観してるっつーか、
エミリオが
事前の情報では喋れないということはわからなかったが、アルバートにとってはかえって都合が良かった。口の
「気がついた? 彼女、きちんとマナーの教育を受けているね」
「あ? あー、なんかちまちまメシ食ってると思ったけど」
「ゼノンたちは
慣れない
育ってきた背景が見えず、黄金瞳とも相まって、
「……調べるか?」
エミリオは目をすがめて問うたが、
「いや、いい。興味はあるけど、別に何か隠しているわけでもなさそうだし」
アルバートにとっては、礼儀作法の勉強をさせる必要がなさそうで手間が省けた、という程度だ。もとより、アルバートは自分の結婚相手に興味がない。
グラスに口をつけると本題に入った。
「……それで? あの後、ゼノンたちはどうしたんだ?」
「あー……
「まあ、たった三人で乗り込んできたとは思わないだろうしね」
この船はロレンツィ家の息がかかっている。いくら頭に血が上っているとはいえ、無策で船の中までは追ってこられないだろう。ロレンツィ家側が味方を大勢船に待機させている可能性があると考えるからだ。
だが、ネザリエ地区を仕切っているゼノン一味の縄張りに、敵対するロレンツィ家が現れ、派手に
おそらく、別の方法でカルディア島まで追ってくることは簡単に予想できる。
「陸路の方は?」
「見張らせてる。カルディアに入ってきて
「ああ。しばらく泳がせておけ。一
淡々と話すアルバートのグラスに、エミリオが追加で酒を注ぐ。にやにや笑いでカチンとグラスを合わせられた。
「
「……そうやって笑ってられるのも今のうちだよ。僕が結婚したら、次はこぞってきみの方に縁談が行くと思うけど」
「俺はジジイ共の孫娘なんかとくっつくのはごめんだぞ」
「じゃ、そうなる前に、きみもどこかで調達してくるんだね」
戸惑いと警戒心が
アルバートが求めているのは、従順で、
大人しく言うことを聞いていれば生活の保証をしてやるのだから、リタにとっても悪い話ではあるまい。
(さて、どうしたものかな)
色恋も、
相手の思惑を読み、
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