1 銃声響く逃亡劇
1-1
お
人買いに
(だって、
一方的で
すすり泣きが
――ここは
客席は、
地下につくられたフロアには丸テーブルが並べられ、
彼らの視線の先は舞台の上。一人ずつ舞台に上げられていく「商品」たちを、司会役が競りにかけていくところだ。
男はいかに従順に働き、女は性的に役立つか。
耳を
……助けてと
泣いて同情を
だからリタは、
出せない声を
きっと、これから先も、こういう生き方はずっと――変わらない。
「さぁ、お次は本日の目玉。世にも
出ろ、と見張り役の男に背中を
「ほら、立て」
司会役は乱暴にリタを立たせると、スポットライトに照らされる舞台の中ほどに引きずっていき、顔を
あらわになった二つの色。
「ごらんください! 右は黄金、左は緑! 今はもう失われた、黄金の瞳を持つ娘です!」
おお、と低いどよめきが上がった。
「
「こいつは珍しい。本物か?」
「もちろん、本物の黄金瞳ですとも! しかもこの娘、口がきけないのでご主人さまに従順に仕えることができます!」
「
客席が沸いたが、リタはそのさまを
(黄金瞳……。ここに来てから、ずっとそう言われてる。そんなに珍しいの? この、変な色が……)
左右の瞳の色が
異質な瞳は、周囲の人間を
変だ。変な色。変な瞳。
言われるたびに傷ついていた瞳に、見ず知らずの他人が金を
(わたしなんか、なんの価値もないのに)
投げやりな気持ちでそう思う。
(……どんな相手に買われたって、ろくな人じゃない。せめて、ご飯くらいはきちんと食べさせてくれる人がいいな。
客席の
「――二千万!」
響き
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