死への依存

梅内 悠那

死への依存

私は今、1番大切で大好きだったはずの人の目の前に立っている。

彼は私が想像していたより人に好かれていて沢山の人が静かに眠っている彼を見て涙を流していた。

でも私は、何も感じなかった。涙ひとつでなかった。

いろんな場所に一緒に行こうねとか一緒に死のうねとか沢山話したのに。

結局は口先だけの約束。




私が彼に恋をしたのは小学6年生の冬。

最初は何の感情もなかった。ただのネットの人のはずだった。

でも、気付いたら私は彼に好意を抱いていた。

「高校を卒業したら誘拐するね」「いいよ、待ってるね」

「いつか一緒に死のうね」「いいよ」

彼が本気だろうが本気じゃなかろうが私には関係なかった。

私には彼しか居なくて、彼と会うために彼と一緒に死ぬために生きていた。

だから、彼が居なくなったら私は死ぬつもりだったし彼がいない世界で生きている意味なんてないと思ってた。

そのはずだったのに私は、先に死んでしまった彼に対して何も感じない。

私は、一緒に死にたかったはずなのに、、、。

私はすぐに別の人に好意を抱いた。

その人も一緒に死のうと言うと「いいよ」と答えた。

その人は「好きな人が出来たから」と言って私を振った。

でも私は、少しも悲しくも苦しくもなかった。

別にその人に何かをされていた訳でもない。普通に楽しくお付き合いをしていた。


だけど、残ったのはまた死ねなかった、という気持ちだけ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死への依存 梅内 悠那 @yuuna0614

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ