第13話 あなたが・・・好き・・・

ねえ神様


勇気をくれますか?


ねえサンタさん


このプレゼントを


彼に渡せますか?




ねえ天使は


舞い降りますか?



幸せと奇跡


起こさせてくれますか?



意地張りで


強気で


素直になれない私に



素直になれる魔法をかけて下さい!



たった一言の言葉を


正直に伝えたいの



『あなたが…好きです…』







「すみません。もう閉店……あら? 裕唯ちゃん」

「…瑠惟…いますか?」

「ええ」




そこへ――――



「姉貴ーー、夕飯」




ドキーン

心臓が飛び出す勢いで大きく跳ねた。




「兄貴は裏切って飯食ってる」



そして、振り向き私に気付く瑠惟。




「裕唯じゃん!どうしたの?」

「瑠惟、あんたが店閉めて来てねー。それじゃ、裕唯ちゃん、またね」


「…はい…」





そして口パクで


『頑張ってね!』と言ってくれた。



≪…お姉さん…≫



私は小さく頷いた。




「じゃあ、ご飯、お先~」

「クリスマスケーキ残しておけよ!」

「知らなーい」

「姉貴の奴。で? 何?」


「………………」


「裕唯?」

「…あの…あのね……」

「何?」

「…き…なの…」

「えっ?何?」



私は歩み寄りプレゼントを渡す。



「何、これ!俺のバースデープレゼント? んなわけねーよな?お前、知らねーもんな?じゃあ…クリスマスプレゼント?でも…渡す相手間違ってねーか?こういうの恋人同士で交換するものだろう?友達で交換ってやつ?だとしたら俺持ち合せねーし」



「私にとって…あんたは…友達じゃなくて…恋愛で…」


「えっ?」


「えっと…だから……ごめん返事はいらない!」



私は帰ろうとする。



グイッと腕を掴まれた。



「はあぁぁっ!?それ意味ねーじゃん!」

「と、ともかく…私……これ以上無理っ!やっぱ駄目だ!向いてない!ごめんっ!帰るっ!」




私は掴まれた腕を振り解き店を飛び出した。




「あっ!おいっ!ちょ、ちょっと!待っ……裕唯っ!出かけて来るっ!すぐ帰るからっ!ケーキ残しといてっ!」




後を追って来る瑠惟。





「あの二人どうなると思う?」

「さぁな…神様しか知らないだろう?」

「クリスマスだし奇跡起こるかもよ~?」

「奇跡ねぇ~。でも…青春だよな~?」

「確かに。若さの勢いってやつ?」








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