第4話 素直
「あの……俺と友達からで良いのでお付き合いしてください!」
「えっ?」
「お願いします」
私は彼・希早良 榴介(きさら りゅうすけ)君。16歳と付き合う事にした。
正直、瑠惟の存在もあった為、忘れる為に付き合おうって……
だけど、気持ちに嘘ついて彼と付き合うのは凄く胸が痛い。
私は、素直に自分の想いを伝えた。
気になる人がいたんだけど、彼には彼女がいるから、今、忘れようとしているんだと……
それに対して彼は言った。
「そうか……分かった。それでも良いよ」
「本当に良いの?辛いかもしれないんだよ」
「大丈夫。俺、裕唯ちゃんが笑顔でいられるなら良いから」
「榴介君…」
「裕唯ちゃんは好きになってくれないかもしれないけど、一緒に過ごせる時間があればそれで良いから」
ある日、榴介君と出かけた日。
「裕唯ちゃんって明るいし、性格サバサバしてるよね?」
「良く言われるけど、でも結構キツイ性格してるでしょう?」
「いや、良いと思うよ。恋愛とかって自分の想いが大切な訳だし、どんな子でも好きだったら、その人を想う事が大切だと思うよ」
「榴介君…」
「だって、そこで冷めちゃったら本気じゃない気がしてならない。俺的には」
「…そうか…」
私は本当にこれで良いのかな?
そう思った瞬間だった。
自分の想いは
まだ整理がついてなくて
別の人がいるのに
彼とこのまま付き合うなんて
凄く胸が痛かった
1日を楽しみ彼・榴介君と別れた後、私は歩道橋でぼんやりしていた。
「夕日に浸って面白い?」
ビクッ
驚くと同時に振り向く私。
ドキーン
胸が大きく跳ねた。
「…瑠…惟…!?」
「すっげー、偶然じゃね? 久しぶり。1ヶ月ふり位だな」
「…そう…かな…?」
≪1ヶ月?そんなもの?≫
≪もっと長く感じる≫
「今日…彼女と初めて喧嘩した」
ズキン
胸の奥が痛む。
≪彼女の…話…≫
「喧嘩しちゃったんだ。瑠惟、意外と性格キツイもんね?ムカつく時、多々あったし」
「うるせーな!人の性格にケチつけるなよ!そういうお前も負けてねーぞ!」
「私は私! あんたはあんた!」
「まーな」
「そんなブルーにならないで謝っちゃえば良いじゃん!男なんだから」
「男だって謝るのって何か嫌じゃん!?」
「どっちが悪いの?」
「えっ?…それは…」
「ハッキリしなよ!」
「…俺…」
「じゃあ謝んなよ!丸くおさまるじゃん!」
「だってさぁ~…嫌なんだも~ん」
小さな子供みたいにイジケる瑠惟。
反則だ!
「イジケても無理!とにかく謝りなよ!」
私は帰り始める。
「裕唯ちゃ~ん♪」
私の後を追う瑠惟。
「甘えるなっつーの!」
「母性本能擽るっしょ?」
「あのねーー」
≪コイツ、クールな部分ある割には≫
≪何故か、こういう事するんだよなぁ~≫
「ねえ瑠惟、彼女にもそういう事するの?」
「いやしないな!見せてないかも」
「…瑠惟の中で同級生以外の恋愛は存在しないの?」
「ない!年上とか年下って事だろう?」
「うん」
「同級生が良いかな?恋人同士なら出来る限りの曝け出したいじゃん?嫌な所とか弱い所とか沢山知って貰って好きになってもらった方が良くね?」
「じゃあ、瑠惟は、今の彼女、喧嘩中だけど! 今カノに全部曝け出してるって言える?」
「えっ?…それは…」
「謝れないって事はさ、まだ出し切れてないって事でしょう?」
「お前…痛い所つくなぁ~」
「事実じゃん!とにかく謝りなよ!恋愛出来るだけ良いじゃん」
「えっ?」
「私は…多分…長く続かないかな?私だったら謝って貰った方が良いよ。だって自分悪くないならさ謝る必要ないわけだし、瑠惟自信が悪いって言うなら謝るべきだよ」
「じゃあ、俺に勇気頂戴♪」
足を止める瑠惟。
「は?何が勇気頂戴よ。私に言うなっ!自分の事なんだから!」
私も足を止めた。
「ええーーっ!」
「ええーっ!じゃないの!」
私は再び歩き始める。
グイッと腕を掴み、私を背後から抱きしめた。
≪えっ!?≫
ドキーン
突然の出来事に私の胸は大きく跳ねた。
「る、瑠惟っ!」
「勇気貰う」
「ば、馬鹿っ!」
「少しだけ…このままでいさせて…」
私の胸はドキドキと加速する。
ズルいよ…
私は瑠惟が……
それなのに…
反則だよ……瑠惟…
抱きしめた体を離す。
「頑張って謝るわ!」
「う、うん…」
瑠惟は帰り始める。
私はすぐに動けないでいた。
「裕唯?」
瑠惟は足を止めた。
「帰んないの?」
「か、帰るよ!」
私は瑠惟の隣に駆け寄る。
「ねえ、瑠惟」
「ん?」
「瑠惟はさ、自分の告白した相手に心残りの人がいた時、その時は諦める? それともその事を分かってる上で付き合う?」
「えっ?……それは相手の気持ち次第だから何とも言えねーけど…少しの可能性…賭けてみるかもしれねーな…?」
「…そっか…」
「例え相手に好きな人がいたとしても…もしかすると振り向いてくれるかもしれないって。どうして?」
「聞いてみただけ」
「ふーん…」
私達は話題を変え帰るのだった。
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