第2話 恐怖の瞬間

「俺と付き合って下さい!」

「えっ?」



入学して数か月、


藍葉 裕唯。16歳。


突然の告白された。



「ゆっくりで良いので、お願いします」




≪そこそこイケてるし≫

≪付き合ってみようかな?≫



顔で選ぶのは失礼だと思うものの取り合えず付き合ってみる事にした。




――― でも ―――



「ごめんっ! 君、マジ可愛いけど……これから先も付き合う自信ないから悪い!」



突然の別れを告げられた私。



≪可愛いけど……って…彼も顔だったんだね≫



お互い様だったようだ。




「いや、良いんだけどさ…ちなみに私の悪い所って?」


「悪い所?性格かな?」



グサリと胸に刺さる一言。




「ごめん…性格は…無理…かな? 他には?」


「友達みたいな感じ? 性格、サバサバしてる感じで友達としてなら良いけど、恋人としては…ちょっと…」


「そっか…」


「いや、別にそれでも良いと思うし君は悪くないと思うよ。君みたいな子も良いっていう人いるだろうし」


「分かった。ありがとう。今迄付き合ってくれてサンキュー」



私は、その場から走り去った。




「私…フラれるのは慣れていないんだよね~。ここまでショックだったとは…告られてフラれるって事は……告ってもフラれるって事あるって事だよね……」


「はあぁぁ~~」



私は大きく溜め息を吐いた。





――― ある日 ―――



「私とお付き合いして下さい」

「悪い! 俺、好きな子いるんだ」

「えっ?」




≪嘘だ!≫

≪好きな人いないって言ってたじゃん!≫




色々と探って好きな人に告白したあげく見事にフラれてしまった私。



「だから他当たってくれ!」



そう言うと足早に私の前から逃げるように走り去った。



「何で? どうして? いないってしかも逃げるように走り去られてる……」


「………………」


「いないって言ってたくせに……どうして?」




私彼に何かした?


全く記憶にない


噂で嫌われてる感じ?


腹立だしい中、帰るしかなかった






ある日の事。



「裕唯、あなたも学校帰り気を付けて帰るのよ」



母がリビングにいる私に食事の支度をしながら言ってきた。



「えっ?」

「最近、女子校生の誘拐事件が相次いでいるみたいよ」

「ふーん……女子校生なんて知れてんじゃん! 山程いるし、平気平気」

「裕唯っ!」



私はリビングを後に去る。



「もう全くあの子ったら!」




そんなある日の事。



「ヤッバー! 友達と夢中で時間忘れてカラオケ歌いまくって日が暮れちゃったよ」



そんな私は、一先ず家に連絡した。




「うん、ごめん…すぐ帰る」



私は友達と別れて帰る事にした。




「すみませーん」



一台の車が私の横に止まり、声を掛けられる。




「ちょっと道に迷ってしまって大通りに出たいんだけど、夜道だから道分かり辛くって」


「じゃあ何処かで適当に止まったら? つーか車泊しなよ!あんた車だし」


「そういうわけにはいかなくて。駐車禁止で警察に捕まっちゃうから、道案内してくれないかな?」


「………………」




グイッ

私の手を掴みナイフを突き出した。



ビクッ

私は肩が強張る。



「乗ってもらおうか?黙って言う事聞きな!」

「じょ、冗談……きっつー。それ偽物でしょう?」




ザクッ

制服のリボンが切られた。





次の瞬間―――



ドカッ

相手は殴られ、車は走り去る。



ドサッ

転びそうになる私を支える人影。



「大丈夫ですか?」


「………………」


「……あ…あの…」

「犯人は、そのうち捕まるだろう? 車のナンバーと車種警察に突き出したし」

「…あ…ありがとう…ございます…」


「しかし、あんたも気ぃ強いな? つーか、命知らず? 命取りになってもおかしくねーぞ!」

「…そうだね…」


「大丈夫か? 送ろうか?」

「…平気…サンキュー…正直、マジ怖かったんだよね? それじゃ」

「待てよ!」


「………………」


「怖かったら、尚更、一人は……」

「良いからっ!」



私は走り去った。




「危険過ぎだろう? 大丈夫かな?」





強気な事言って本当は凄く怖かった


涙もこぼれそうになった


どれだけ意地張っても


女の子は女の子


本当は寂しがり屋で


抱きしめてほしかったりする


素直になれないのは


優しくされた時に


大丈夫って…………


嘘ついてしまう


自分がいるのだから ――――





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