素直になれない私を・・・

ハル

第1話 初恋

「今日はどうされますか?」



ドキン

鏡越しから話をするカッコイイ男の人。



「えっと……決めてないんですけど……」



私は、今、髪を切りに偶々通り掛かった美容院に迷う事なく足を踏み入れた。



「決まってないんだ。じゃあ、パンチパーマとか、モヒカンとか?」

「えっ!? そ、それは困りますっ!」

「嘘、嘘。冗談ですよ。余りにも緊張されているみたいだから」




男の人は、クスクス笑い、私は色々と話をしながら髪を切って貰う。




「あの、彼女とかいないんですか?」

「えっ? 彼女? 残念ながらいないんだよね?募集中なんだ。立候補する?」


「えっ!?」


「犯罪じゃね?」




ビクッ

背後から別の声がした。



「どう見たって俺と同じ位じゃん! もしくはランドセル背負ってます位の年齢だろう? まだまだ、おしりのあおい小学生のクソ子供(ガキ)」



ムカッ

相手の一言に腹が立つ。




「あの……ちょっと良いですか?」

「えっ?」




ガチャガチャと私は手で探りハサミを手に取る。




「あっ! ちょっと! お客様、危ないですよ!」


「うわっ!」

「これでも中2なんだけど!?」



私はハサミを振り回し騒ぐ。




「14っ!? 嘘、嘘!? 絶対有り得ねぇーーっ!」

「本当です!」

「その証拠は?」

「……証…拠…?」



彼の一言にピタリと動きが止まる。



グイッと私の手を掴み、私が握っていたハサミをゆっくりと取り上げる。



「ハサミ振り回してんじゃねーよ! 危ねーな!」




「………………」



「兄貴、俺、買い物行って来る」

「ああ。南弥(なみ)は?」

「姉貴は、他のお客さんの対応してるけど」

「そうか。分かった」



私に喧嘩をうってきた人は、私の両肩を優しく掴み私を椅子に座らせた。



「………………」


「髪切りに来たなら大人しくしろよな。悪かったな……兄貴にもっと可愛くしてもらいな」



ドキン

そう言うと両肩をポン軽く叩く。




「ごめん、兄貴、仕事の邪魔して。じゃあ買い物行ってきます」

「ああ、行ってらっしゃい。気を付けてな」

「ああ」



男の子は出かけ、私は髪をカットして貰う。




藍葉 裕唯(あいば ゆい)。14歳。中2、

二人のカッコイイ異性に出逢い遅い初恋をした。


意外な欲張りな私。

若くマセた中学生の私がいた。





「裕唯、高校に入る前に髪切るの?」

「うん、切るよ。ウザったいし!」



今、話をしているのは、


親友の、狭山 希誉花(はやま きよか)




「だけど、何処で切ろうか迷ってんだ。私、拘りの美容院とか一切ないからさ」

「前に切った所は? すっごいイイ感じだったじゃん」


「あそこは……全然、名前も場所も分からなくて、偶々、通り掛かった店に入ろうって、一年前位にカットしてもらったからさー」



「そうだったんだ」

「うん。唯一、イケメン兄弟がいたって事位?」

「イケメンなら噂広まっててもおかしくないのにね」



「うん……確かにそうだよね?」

「案外、予約制かもね」


「あー」

「でも、イケメンだったらもったいないね」

「まあ、確かにイイ感じにしてくれたし、ただ兄弟でも正確が違い過ぎたのは記憶にあるかも」


「ハハハ……そうなんだ」

「うん、弟と思われる人に腹立つ一言われて一騒動起こした!」


「えっ!? マジ!?」

「うん、マジ!」




私達は色々話をする中、結局、近所の美容院にカットしてもらう事にし、入学式を迎えた。











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