第34話
薫は、何処からともなく取り出したペットボトルのお茶を飲んで、話を始めた。
「それじゃ、モンスター討伐による報酬と魔石の件でしたね」
「そうだったね。ぜひ詳しく教えて欲しい」
薫は、話し終わったら自宅で休憩する旨を伝える。今井をはじめとした連中は、同意した。彼らとしても、新しく入手した情報は望外のモノだったので、あまり薫を刺激しない事にした。相手は高校生であり、多数の大人に囲まれているのだ。相当なストレスを薫に与えている事を、優秀な彼らは失念してはいなかった。
「さっきもちょっと話しましたが、モンスターはレベル5毎に得られるSP量と魔石に違いがあるんです」
そう言うと、薫はポケットから魔石を2種類取り出した。本当は、空間収納から取り出したものだ。
「こっちがレベル5以下がドロップする魔石です。10SPに変換する事も出来ます。そして、こっちがレベル6からレベル10以下がドロップする魔石です。20SPに変換可能です」
薫は、魔石数個を今井たちに渡して、質感や見た目を観察させながら、話を続ける。
「モンスター討伐で得られるSPと、ドロップ品の魔石は同価値でSPに変換できるのです。モンスターを討伐すれば、レベル11から15以下は50SP、レベル16から20以下は100SP、レベル21から25以下は300SP、レベル36から40以下が1万SP入手できます。魔石も同じです。レベル26から35は不明です。あっ、それを見ても分かる通り、色や大きさは変わりますよ。現在、僕が確認した最高レベルのモンスターはレベル36のオークです。もしかしたら、レベル37以上で獲得SPに変化があるかも知れませんが」
「おお、すごい情報だ」「魔石も含めれば1体で2万も可能」
「強いモンスターほど多くのSPが獲得できるのか」「この魔石、何かに利用できないものか」「こんなに詳しく調べた彼はどれほど強いんだ」
薫は「魔石は上げる」と言い残し、密密話をする彼らをそのままに、自宅へと入って行った。
薫が視界から消えたあとも、彼らはしばらくその場で話をしていたが、数人を残してそれぞれに散会していった。
自室でベッドに寝転んだ薫は、近場にいるモンスターのレベルを確認し始めた。当然、両親に教えたダンジョンは省いている。
どうやら、個人宅でも床下収納などでなく、ちゃんとした地下がある家がダンジョンになった場所では、レベル11から20のモンスターが出現するようだ。
薫が見つけたモンスターは、レベル19のハーピーだ。その姿は、一言で表せば鳥人間。可愛い女性の顔と豊満な乳を除けば、奇麗で長い羽根と羽毛に覆われている。手はなく翼と一体となっており、足は鉤爪と野性味に溢れている。
狭い室内では、逆にモンスターの動きが阻害されそうだ。ハーピーは顔と乳がよくても、手がなく鳥脚に嫌悪を感じる薫にとって、おかずとはならなかった。
薫はハーピーを倒す事はせず、ダンジョンコアを探し当てて討伐した。今までに討伐してきたダンジョンコアよりも、気持ち大きくなっている感じを受けた薫である。
ドロップ品は同じコインと宝箱。こちらも気持ちおおきくなっているようだ。
鑑定結果は、マナコイン(小+)と迷宮核の宝箱(小+)だった。
マナコイン(小+)は、マナコイン(小)の上位互換であるようだ。効果は、小と同じくHPMP+100他全ステータス+50。魔物に与えると、魔物を1レベル強化する事ができる。ただし、最大レベル25まで。使用可能上限8枚。
薫はニヤニヤと自然と表情が緩んだ。今回は入手するたびに限界の8枚までさっさと使用する事にした。前回のように貯めて失敗する事がないように。薫は学習するのだ。
迷宮核の宝箱(小+)は、家族が帰って来てから開ける事に決めた薫である。
ステータス画面を開き討伐結果を確認すると、SPが20万P、スキルポイントが75P入手出来たようだ。
SPの獲得量は2倍になったが、スキルポイントは1.5倍とショボイと感じた薫であった。ショボイと感じるのは、薫がダンジョンにも入らずモンスターさえも倒さずに、ダンジョンコアのみを簡単に討伐しているからであり、実際はダンジョン内で戦闘や罠に気を配りながらダンジョンコアを目指すので、かなり大変なのだ。
しかし、薫は安全圏から横になったままダンジョンコアを討伐しているので、大変さなどこれっぽっちも理解できないのだ。
それから、薫はモンスターレベル11以上20以下がいるダンジョンコアを次々と討伐していった。地図スキルを使い、地下のある家でダンジョン化している場所だと、ほぼ該当レベルのモンスターがいた。
ダンジョンコアは、鑑定してもダンジョンコアとしか表示されないので、モンスターで判別するしかない。ダンジョンコアの見た目はほとんど変わらないからだ。
討伐10個目で、ようやく薫のレベルが21へと上昇した。
すると、ステータスの上昇値が1.2倍になっている事に薫は気が付いた。レベル1からレベル20までは1.1倍だったが、今後は1.2倍になるようだ。勿論、薫は大いに喜んだ。
薫は、従来のダンジョンコアをいくら討伐しても、レベル21へ上がる事はなかっただろうと、なんとなく思った。
キサラギ・カオル(15)
【種族】 新人族
【Lv】 21 new
【職業】 現創師ランク3
【状態】 健康
・HP 3972/3972 new
・MP 3972/3972 new
・腕力 1605 new
・頑丈 1605 new
・器用 1605 new
・俊敏 1605 new
・賢力 1605 new
・精神力 1605 new
・運 1605 new
【スキル】
・空間拡張レベル3
・空間収縮レベル3
・瞬間移動レベル1
・生気中上昇レベルMAX
・全能力中上昇レベルMAX
・千里眼レベルMAX
・地図レベルMAX
・用心レベルMAX
・情報偽装レベルMAX
・回復力上昇レベルMAX new
・魔物調教レベルMAX
・清浄レベルMAX
・全状態異常耐性レベルMAX
・全属性耐性レベルMAX new
・全属性魔法レベルMAX new
・回復魔法レベルMAX new
・支援魔法レベルMAX new
・威圧レベルMAX new
・音声拡張レベルMAX new
・練達の悟りレベル8 new
【固有スキル】
・スキル改造レベル3
・スキル融合レベル1
【EXスキル】
・究極空間収納(∞)
【称号】
・生還者 ・大物殺し
・迷宮核討伐者(初) ・初級到達者
【所有スキルポイント】 31P new
お昼になったので、薫はリビングで従魔とともに昼食を摂る事にした。
本日のメニューは、庶民の味である牛丼だ。売買システムから購入したものだが、文句なく旨い!
特に、淫魔のリリスは、牛丼が一番のお気に入りとなったようだ。まさかの特盛りつゆだくを、6杯も完食してしまった。ケフッと可愛いげっぷをし、膨れたお腹を擦る従魔たち。見た目が可愛くても、従魔たちにおっさん臭さを感じてしまった薫であった。考え方を変えれば、それだけ薫に対して隔意がないとも言える。
それから薫は、SNSへ情報をアップする事にした。その内容は、飲む傷薬とモンスターのレベルにより獲得できるSPと魔石についてだった。
迷宮化防止結界の詳細は、敢えて上げなかったのではなく、単に薫の上げ忘れである。
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