第6話 溢れる想い

それから数か月過ぎ ――――



私の初恋は渡辺君に対しての想いが更に強く、私の心は胸が張り裂けそうな程だった。




≪これが…恋…≫

≪溢れる想いで胸が張り裂けそうだよ≫




ある日の放課後 ―――




「ねえ、渡辺君って彼女いないんだっけ?」

「うん」

「好きな人は?」

「好きな人? いるよ」





ズキン

胸の奥が痛む。



「そ、そうなんだ」

「うん」

「告白しないの? 渡辺君カッコイイし告白すれば良いのに」

「カッコイイからって絶対にうまく保障ないから」


「えっ?」


「可愛いからとか美人だからとか見た目だけの判断の恋愛なんて、そう簡単にはうまくいかないと俺は思うけど? やっぱり相手にも好き嫌いあるから」


「でも…好きって言わなきゃ何も始まらないし変わらないんじゃ…」


「まあ」

「…ごめん余計なお世話か…」

「悠木…」



私は下にうつむく。



「私…何も分かってないね…好きな人とうまくいくと良いね」




私は顔をあげ、笑顔を見せた。




スッと私の片頬に優しく触れる渡辺君。




ドキン




「渡……」



渡辺君の顔が近付いて来る。



ドキン…ドキン…



静かに胸が波打つ中、加速していく。




と、次の瞬間 ――――




私の唇に渡辺君の唇が重なった。



ドキン…




「………………」



唇が離れ、笑顔を見せる渡辺君に胸が、ドキンと跳ねた。



「ファーストキス頂きました♪」



ドキッ

無邪気に言う渡辺君に再び胸が大きく跳ねた。



「悠木、すっげー分かりやすい反応するから、俺、夢中にさせられた♪」




そして、私の両頬を優しく包み込むように触れ、見つめられる視線に、私の胸はドキドキと加速する。



「俺の好きな人は…悠木 美冬。今、俺の目の前にいるお前だから」




優しく微笑む渡辺君の言葉に、ドキンと胸が大きく跳ねる。




「付き合おう」



そう言うと、もう1回キスされた。



ドキン




「可愛い♪ 反応が何もかも新鮮過ぎてマジヤバイんだけど」



私達は付き合う事になり、ラブラブぶりは言う迄もない。






付き合って約半年


恋ってドキドキして


心弾んで


胸ときめかせて


相手の事を好きって


心から思える


それが恋なんだって……




今改めて実感して月日が経つ





――― だけど ―――




最近


彼の様子が変


私に対して


普通に接しているのかもしれないけど


違うって気がするのは


私の気のせい?




私の気持ち押し付け過ぎてるのかな?



とか




色々な不安や心配が出てくる







――― そんなある日の放課後 ―――



「麻那人君」

「何?」

「悪い所あったら言って」

「えっ? どうしたの? 急に」


「私…何も分かんないし…初めて人を好きになったから…自分の事ばかり押し付けてるのかな?って……」


「…美冬…?」

「…だから…言って貰わないと分からないし…不安や心配ばかり過って……」

「美冬…じゃあ…言わせてもらうけど」

「うん…」



グイッと引き寄せる麻那人君。



ドキン




そして耳元で ―――




「何もないよ」



ドキン



「えっ!?」

「何もない!」



向き合う私達。



「麻那…人…君…」



そしてキスをし唇が離れると、すぐに唇が塞がれ長いキスをされた。



「どうしてそう思ったの?」

「…それは…」



私の言葉を聞く事もなく唇を塞ぎ、首スジにキスをされた。



「ちょ、ちょっと……麻那人……ここ学校……」



そう言う私の首スジにピリッと痛みがはしる。


そして至近距離で



「今度、そんな事言ったら襲っちゃうよ♪」



ドキン



そう言うともう一度キスをし、私の頭をポンポンとした。



ドキン



「何か良いね!」

「えっ?何が?」

「呼び捨て」

「えっ!?」


「俺は美冬なのに、美冬、麻那人君だから」

「あ…うん…」

「無理に呼んでとは言わないけど……麻那人って呼んで貰った方が俺的には良いかな?恋人同士だから」

「麻那人?」

「うん!それが良い♪」



≪そんな笑顔で言われたら……≫




「麻那人」

「うん♪」

「じゃあ、そう呼ぶようにするね」

「やったー♪」



≪可愛い♪≫




その日の夜。


お風呂からあがる私は首スジの所にある赤い印に目が止まる。




「あれ…? これ…」



私は放課後の出来事が脳裏に過る。



次の日も残っている為、私は髪をおろして行く事にした。





その日の学校帰り ―――



「どうしたの? 珍しい。髪型違うからドキッとしたんだけど」

「だって! 昨日、首スジに…麻那人が…」

「俺が何?」

「首スジキスした所…赤くなってるから」

「あー、キスマークだね♪」


「キスマーク?」

「そう。俺の彼女だから印つけておいた♪」



ドキッ



「だけど、美冬が変な事言うからだよ」

「だって…でも…それが赤くなってて…次の日も取れてなくて…髪をおろす方法しかなくて」

「クスクス」

「笑わないでよ…」

「ごめん、ごめん。美冬が可愛い過ぎて意地悪したくなるんだよ」


「もうっ!今度からはそのキスマーク…目立たない所にしてもらわなきゃ…」

「じゃあ体の関係にならないと他の所には付けれないよ。み・ふ・ゆ・♪」

「か、体のかんけーーっ!?」



私は一気に、かあぁぁぁっと体が熱くなったのが分かった。



グイッと私の肩を抱き寄せる麻那人。

そして、頬にキスをした。


ドキッ



「きゃあ!」



≪か、体の関係って…つまり…あの…あれ…だよね≫

≪男の子と…女の子が…裸になって…≫



詳しくは分からないけど、何となくでしか分かってなくて…



「………………」


「可愛い~♪」

「ま、麻那人……からかわないでよ!」


「好きなんだから意地悪したくなるのは当たり前じゃん!キスが要約、馴れてきた所なのに…体の関係になったら美冬、大変な事になっちゃうよ。それに…美冬はまだまだ沢山覚えなきゃいけない事あるんだよ」


「えっ?」



スッと人差し指で唇に触れる。




ドキン



「キスも今しているのだけじゃないから」




ドキッ


「ありきたりなキスだけじゃないから。そのうちしてあげるね♪」

「えっ? 」



おでこにキスされた。



ドキッ



「ま、麻那人……っ!」

「怒った顔も可愛いよ♪ 美冬」



私達は騒ぎながら帰るのだった。





だけど


この幸せは続かなくて


私に試練が待ち受けていた


恋愛経験の少ない私には


とても辛くて悲しい


試練が―――


























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