第4話 恋の予感
それから数か月が過ぎ、私達は高校2年生になる。
私はぼんやりとしながら桜並木を歩いていた。
その途中 ―――
ドキン
私の胸が大きく跳ねる中、ざわつく。
「……渡辺…君……?」
私はぼんやりと桜の木を見つめる渡辺君に目が止まり駆け寄る。
「渡辺くーん」
振り向く渡辺君。
もう少しの所で、ガクッと体のバランスが崩れた。
「きゃあっ」
「うわっ! 馬鹿っ!何して……」
ドサッ
私は渡辺君の胸の中にスッポリとおさまるように倒れ込んだ。
ドキーン
私の胸が更に大きく今迄にない高鳴りがあった。
「大丈夫か?」
「う、うん……」
顔を上げる視線の先には至近距離で私を心配する様子で見つめている渡辺君の姿に私の胸は、またドキンと跳ねた。
見つめ合う私達。
するとそこへ――――
「二人して何、朝から見つめ合ってんの?」
と、世吏ちゃん。
私は慌てて離れ後ずさりをする私。
――― 次の瞬間 ―――
ガクッとまたバランスを崩す。
「きゃあっ!」
「悠木っ!」
グイッと腕を掴まれ、クルリ半回転し、背後から抱きしめるようになり、私の胸がドキッと跳ねる。
「何してんだよ……危ないな」
「ご、ごめん……」
耳元で囁かれるように言われ私の胸はドキドキ加速していく。
身体中が
かあぁぁぁっと熱くなっているのが分かった。
「いつから、そんな関係になったの?」
「ち、違……」
世吏ちゃんは走り去る。
「世吏ちゃん!」
「相変わらずだなぁ~、悠木」
「ああ」
「だけど、結構良い雰囲気じゃなかった? お前ら」
「そう? でも偶々だから」
「そっか。今年は悠木に春来るのかな?」
「来ると思うよ」
「やけに自信有り気じゃね?」
「彼女にマジ恋宣言!」
「えっ?」
「悠木の色々な姿見てると……そうなってもおかしくないかな? と思ってさ。俺が悠木に振り回されそうだから……そうなると、やっぱり俺が悠木に近付いて色々と仕掛ける訳だし」
そんな中、世吏ちゃんは二人に声をかけ、私達4人は一緒に登校した。
そして、クラスは私達4人は一緒になり、2年生になり、17歳を迎える今年、私の心は恋の予感がもしかするとある?
「じゃあ、クラス委員、放課後頼むぞ!」
「はい」と、渡辺君。
――― その日の放課後 ―――
「雑用って……ありえないんだけど?」
と、渡辺君。
「仕方ないよ」と、私。
そう私達はクラス委員に抜擢された。
『真面目たからやり遂げてくれそう』
そういう理由が多く、私はダントツ一位に選ばれた。
渡辺君は
『クラスをまとめてくれそう』
『親しみやすい雰囲気だから』
そんな理由が多く私達は選ばれたのだった。
「17年目、恋の予感はありそう?」
ドキッ
突然振られ胸が大きく跳ねた。
「えっ? あっ……どうかな?」
「まあ、悠木の事だもんな? そんな質問されても本人でも分からないからなぁ~」
「そうだね」
「まあ、何でも相談にのるよ。俺で良ければ」
「うん」
私達は雑用を済ませ帰る事にした。
帰っている途中、ふと公園に目を向けるとキスをしているカップルを発見した。
「あっ……」
と、言うと私は目をそらす。
「何?」
「……公園」
「公園? あー、二人の世界ってやつだね。周囲見えてないからね……悠木?」
私の顔をのぞき込む渡辺君。
「お顔真っ赤かだよ」
クスクス笑う渡辺君。
「し、仕方ないでしょう?」
「可愛い~♪ 正に純情? 本当、新鮮だよな! ぎゅうってしたくなる」
「えっ?」
ふわりと優しく抱きしめられた。
ドキンと胸が大きく跳ね、ドキドキ加速していく。
≪まただ≫
≪渡辺君に対して……これって……?≫
私は今迄に感じたことのない
胸のざわつきに戸惑う
だけど私はまだそれが恋だと
気付いていなかった
抱きしめられた体が離れる。
「悠木、本当に大事にしてくれる相手を探した方が良いだろうな」
「えっ?」
「俺みたいな奴」
ドキンと波打った。
「渡辺君…そういう人?」
「えっ?」
「大事にしてくれる人?」
「えっ!?そう断言して言われると自信がないけど……」
「……でも好きだったら、その人の事を一途に想い続けるものじゃないの?」
「それは……まあ……」
「……ごめん…私…」
「確かに悠木の言ってる事は間違っていないよ。好きだったら一途に想い続ける事は大切だよ。だけど……男女問わず他に気になる人とか好きな人出来たら……結局、人は別れる時もあるから」
「だったら……恋愛は良いものじゃないね…」
「えっ?」
「私も……そういう風に色々と経験して成長していくのかな?」
「悠木……」
私は微笑む。
~ 渡辺 麻那人 side ~
彼女の笑顔はどこか切なかった
彼女の心(ハート)は
硝子細工のようにもろくて
きっと儚い
傷付けてしまうと
こわれて
消えて
なくなるような気がした……
そんな彼女の純粋な心の中に
俺は吸い込まれるように
惹かれていく……
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