第186話/リベリオン宣言
吉田夏樹.side
ハンバーグを食べ終わった後、みのりを家まで送り届け、私は音楽を流しながら少しだけドライブをすることにした。
みのりがハンバーグを美味しそうに食べるのを見て心から安心できたからだ。
私はみのりの目の下に隈があるのを知っていた。気づいていたのに何もできないなんてマネージャーとして失格だ。
それに映画のオーディションを受けれなかったし、みのり自身も悔しかったと思う。
今回、みのりが受ける予定のドラマのオーディションは指名があったぐらいだから、もしかしたらと思っている。
内容がGLだし、みのりは同性人気が高く、すでに鮎川早月人気がある。だからこそ、オーディションにみのりは指名されたのだろう。
みのりが受ける役の柚木天はみのりのイメージにピッタリだ。
役柄的には二番手だけど、ほぼダブル主演扱いになると思っている。この物語は2人の恋物語で、ほぼ2人のシーンになるはず。
きっと、鮎川早月でみのりのファンになった人は更にどハマりするだろう。
みのりの同性を魅了する魅力は梨乃や美香達を見ていたら分かる。
可愛いとカッコいいを混在させた魅力。みのりの努力もあるけど、誰が見てもモテるだろうという要素を沢山持っている。
頭が良くて、運動神経が良くて、この2つで十分チートなのに顔も中性よりで二重丸だ。
柚木天は帰国子女役だから、そこだけは不安があるけど大丈夫だろう。みのりは頭が良いから英語の台詞も上手くいくはずだ。
今はみのりの体調を考えると2ndシングルの作成とドラマのオーディションに重きを置いたほうがいいだろう。
本当はもっとオーディションを受けさせたいけどみのりは病み上がりで体が心配だ。
それにみのりはまた無理をしてしまう。暫くはレコーディング・MV・ジャケット撮影などが続くし、ダンスの振り付けもある。
みのりに無理はさせられない。何より…ドラマのオーディションに受かる可能性がある。
そういえば苅原絵里役は誰だろう?まだ、情報が回ってきていない。
一瞬、苅原恵理役もオーディションだったら梨乃にと思ったけど流石にこの役はマネージャーとして受けさせることはできない。
梨乃がみのりに本気で惚れているからこそ、自制が出来なくなりそうだし歯止めが効かなくなりそうで怖い。
でも、もしみのりが柚木天役に受かったら…梨乃は、、頭が痛くなる。
森川愛.side
苅原絵里(かりはら えり)
19歳、大学1年生
柚木天(ゆずき そら)
19歳、大学1年生
今日の撮影が早く終わった私はお風呂に入りながら漫画本を読む。ラブ・シュガーの私の役は主人公の苅原絵里で、相手役の柚木天役はまだ決まっていない。
絵里は普通の女の子で、天は見た目は可愛い女の子だけど、イケメン要素もありカッコよさも併せ持つ英語が話せる女の子だ。
柚木天はハイスペ彼女で…読めば読むほどこんな女の子いるの?と思ってしまう。
それにしてもこの漫画は読むだけで、顔が赤くなってしまう。普通、この手の話は相手側に彼氏がいたり、三角関係になる話が多いのに、この漫画は最初から最後までハッピーなラブストーリー。
少しだけハラハラな部分はあるけど、2人の絆は強く終始ラブラブで…恥ずかしい。
キスシーンが多いし…一緒にお風呂に入るシーンもあり、、どこまで原作に忠実に作るかになるけどドキドキしてしまう。
それに深夜枠のドラマだからこそ、攻めた内容を作れるし、私の殻も破れる。
役者は色んな役を演じてこそだし、ファンが知らない一面を見せられる。それに、似たような役ばかりはつまらない。
漫画の天の絵に触れながら天役は誰だろうと思い耽る。同世代の若手女優だと思うけど…出来れば話しやすい人がいい。
そして、こんな風に私も天とキスをするんだと考えると相性が良い人がいい。(何、言ってるんだろうね…恥ずかしい)
女の子の唇はどんな感じなのだろう?
男の人より柔らかいのかな?
そっと、自分の唇に触る。親指で下唇を下げ、また…漫画の世界に入り込む。
柚木天の唇が楽しみで口角が勝手に上がってしまう。私の知らない世界は私をワクワクさせ、ゾクゾクとさせる。
私は苅原絵里を完璧に演じて見せる。今年、20歳になるからこそ新しい森川愛を見せたいし、今までの私を打ち破る。
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