第182話/ゆらゆらと動く空
昨日、今までやってきたライブハウスでのラストライブが終わり、私達は新しく始まる2ndシングルに向けて走り出す。
次の日、私達は早速事務所に集まり、2ndシングルほデモテープを聞く。
ダンスナンバーのお洒落な曲調で、センターの梨乃にピッタリの曲で私達もみんな気に入っている。そして、今回は私は二番手になり美香や由香里を気になったけど、2人の態度が変わらないから安心した。
でも、私も立ち位置に拘らなくなった。どこにいても輝けると気づいたのだ。
みんな、ノリノリで曲を聴いている。そして、曲を聞けば聞くほど早くレコーディングをしたいし、ダンスを踊りたくなる。
MVもきっと最高の作品が出来るはず。よっちゃんがカッコよく作る予定って言っているし、梨乃のダンスが楽しみで仕方ない。
「あっ、そうだ。みのりと梨乃に言わないといけないことがあって…」
「何?」
よっちゃんが何かを思い出し、なぜか私と梨乃に困り顔をする。
「2ndから…カップリング曲も振り付けのプロに頼むことになった」
「そうなんだ…」
梨乃が残念そうな声を出す。私も心の中で「えっ?」とは思った。でも、やっぱりかという気持ちも強い。
私と梨乃が振り付けを考えるよりプロに頼んだ方が良いものが出来るし、私達がまたドラマや映画に出たらスケジュール的に厳しい。
「みのり、梨乃。今までありがとう」
「うん」
これも変革期。きっとこれからもっと変わっていく。少しだけ寂しいけど、悪いことではない。これもステップアップなのだ。
「あと、みのり。明日はオーディションだから7時に家に迎えにいくね」
「うん。ありがとう」
「美香と由香里も来週、オーディションだから練習を忘れないでね」
「はーい」
私は明日、映画のオーディションを受ける。内容は群青劇的な話。でも、正直自信はない。原作を読んだけど、私とイメージが違ってて…イメージは頑張れば近づけるけど、、
私はこれまで運良く続けて2作品も出演できた。きっとこれまでのようにはいかないの分かっているからこそ頑張らなければ。
落ちても私は何度もオーディションを受け続ける。アイドルもそうやってなれた。
演技の才能がある梨乃も落ちるぐらいなんだ。私は梨乃の何倍も頑張り、オーディションを受けないと受からない。
「レコーディングは明後日だから、みんな練習するように。一週間後にはダンスの振り付けも出来てるからダンスの練習に入るわよ」
「はーい」
よっちゃんはきっと誰よりも気合が入っている。「さぁ、今から雑誌の撮影に行くわよ!」と意気揚々で誰よりも元気だ。
4人でポーズを取りながらキメ顔をする。新進気鋭のアイドルとして私達は雑誌に載る。
きっと、この雑誌が発売されたらお母さんはすぐに買ってファイリングするだろう。
私の写っている雑誌を見ながら微笑むお母さんは子供っぽく…最近は仲が緩和している。
でも、今も大学受験に関して止められるから困っている。私の目の隈を気にして…
でも、この前受けた模試の判定はA判定でここまで来たら大学受験をしたかった。
受かったら美沙と同じ大学にいけるし、私の経歴に拍がつく。クイズ番組は興味がないけど、私の得意なのは歌と勉強だ。
それに、、このままCLOVERが順調にいくかなんて分からない。保険ではないけど、武器を増やした方がいいと思っている。
「次は2人づつ、ペアになって下さい」
カメラマンの指示に私と梨乃がペアとなり顔を近づける。ちょっとアンニュイな表情をしながら私はアイドル藍田みのりになる。
頭が痛いな…昨日はつい受験勉強を頑張りすぎた。でも、手を抜くことはできない。
私が得意なことを手を抜いてしまったら武器が減ってしまう。私の未来はまだ安定をしていない。だからこそ、頑張らないと。
頑張って笑顔を作り…撮影を私は乗り切った。でも、体は限界だったみたい。
私の体力の無さに嫌気がさす。私の体がもっと頑丈だったら、オーディション行けたのに…
昨日は衣装から私服に着替え、車に乗り込んだところまでは覚えている。
でも、目を覚ますと白い天井が見え…私の腕には点滴が刺さっていた。
この部屋は医薬品の匂いがして、私の横にはお母さんがいる。目が合うと涙を急に流すからビックリするじゃん。
私はようやく、状況を把握する。私は倒れたのだ。私の怠慢のせいで。
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