第181話/未来へTRY

Kiss Me Kiss Me

貴方を手に入れる魔法を使うね


ハッとするほどキレイになって

貴方を振り向かせる

本気にさせてみせる


Kiss Me...



ライブが最高に楽しい。メンバーのみんな、歌も踊りも完璧だし、ファンのみんなも最高の盛り上がりをしている。


楽しくて、楽しくて、楽しくて…

泣かないって決めていたのに目が潤んでしまう。私は心の底からアイドルが大好きだ。


みんなも私と同じ気持ちだよね?楽しくて、楽しくて、泣いているんでしょ?

私も楽しくて泣いちゃいそう。感情が昂ると涙腺が弱くなるから困るよね。


みんな、ありがとう。沢山私達の応援をしてくれて。私達の名前を呼んでくれて。

これからもずっと一緒だよ。私達は必ずトップアイドルになるから着いてきて。


「みんなー!大好き!」


歌が歌い終わった後、私は思いの丈を大きな声で放った。心からの本音だ。

美香も由香里も大きな声で「大好きー!」と言い、梨乃は恥ずかしいのか照れくさそうに小さな声で「大好き」と言っていた。


私は息を整え、一度軽く深呼吸をする。そして、真剣な目でファンのみんなを見つめ…


「それでは最後の曲になります。恋と嘘はCLOVERの初めてのオリジナル曲です。私達にとってとても大事な曲で…なので!一緒に盛り上がって下さい!」


私達は、最後の締めの曲をメジャーデビュー曲の「Kiss Me」ではなくCLOVERのインディーズ時代の代表曲の「恋と嘘」に決めていた。この曲からCLOVERは始まったのだ。


美香がセンターでポーズを取る。この曲は始まりの曲。だからこそ、終わらない。

次のライブは2000人規模のライブ!次は3000人!次は5000人!そして、10000人!


夢は大きく!!!

言葉にして!!!

声に出して!!!


私達は人気アイドルになってみせる!絶対に人気アイドルになるから待ってて!





みんな…笑顔だね。だって、ここでのライブは最後だけど始まりでもあるから。


「ありがとうございました!!!」


深くお辞儀をしながら今日のライブに来てくれたファンのみんなにお礼を伝える。

最後はみんなで盛り上がれたから良かった。みんな笑顔で最高のライブで締めくくれた。


顔を上げると拍手までしてくれて、改めてCLOVERの一員になれて、ファンのみんなと出会えて良かったよ。

みんながいたから腐らずにアイドルを続けられたし、負けずにやってこられた。


最後にメンバーみんなで手を繋ぎ、上に上げ、今日一番の大きな声で「またねー!」と言う。これは次に会う約束。





手を振りながらファンのみんなを見送りして、私達は力強く抱きしめ合う。

また、大好きー!と言い合い、やっと大量の涙を流した。区切りだって、変革だって分かっているけど熱い想いが溢れる。


「みんな、、頑張ろうね」


「うん!!!」


私の言葉にみんな元気よく返事をしてくれてCLOVERのメンバーは頼もしい仲間だ。

次はもっと大きなステージで笑い合いたいし、嬉し涙を流したい。


美香と由香里がよっちゃんの元に走っていく。よっちゃんも大泣きしており、「よっちゃんー!」と駆け寄っている。


私は梨乃と抱き合った。これまで色んなことがあった。梨乃にグループを辞めると言われた時は本当にしんどくて苦しかった。

梨乃、、考え直してくれてありがとう…


梨乃がいたから私は頑張れたよ。

梨乃のお陰でCLOVERが頑張れたよ。


CLOVERに変革期をもたらしてくれたのは梨乃で、2ndシングルは私はリーダーとして梨乃を支えると決めている。


「梨乃…ありがとう」


「急にどうしたの?」


「梨乃がいてくれたから頑張れたよ」


「私もだよ…」


「これからもよろしくね」


「うん」


私は恵まれている。梨乃、美香、由香里と同じグループになれて良かった。

よっちゃんがマネージャーで良かった。みんながいたから私は頑張れた。


私はアイドルが好きだ。大好きだ。アイドルは私の夢で私の人生の全部。

勉強を頑張ったのもアイドルになるためで、アイドルは私の力の源。


「みーちゃん!りっちゃーん!」


「うわぁ、美香。危ないって」


美香が私達に飛びつくように抱きついてきたから私達の体がふらついた。でも、美香はお構いなしに私達に抱きつく。


そして、由香里も「あー!美香だけずるいー!」と言いながら私達に抱きついてきて、私達は笑い合う。年齢はバラバラだけど、私達はワンチームで強力な絆がある。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る