第175話/確かな解像度
吉田夏樹.side
私は朝早くから事務所で事務作業の仕事を終わらせ、会議室でスタッフとCLOVERの2ndシングルに向けて話し合う。
昨日、ライブについてファンにメンバーが報告したからこそ私は気合いが入っている。
CLOVERは人気アイドルになるために、走り続けないといけないのだ。
センターは梨乃に決まっている。二番手はみのりで、センターの梨乃に合わせた曲だとダンス曲になるけど、どのジャンル・テイストにするかを考えないといけない。
梨乃とみのりがメインだと大人っぽい曲も合うし、バキバキに踊るダンスナンバーもいい。2ndはとても大事なシングルだ。
トップ10に入ることは最重要事項で、この曲が売れなければせっかくの注目が薄れる。
2時間ほどスタッフ達と会議室に篭り話したあと、休憩時間を設け自販機に行き、甘いオレンジジュースを買う。
頭を使いすぎて脳が疲れている。本当はコーヒーが飲みたいけど、ここはちゃんと糖分を摂取しないと脳が動いてくれない。
CLOVERは今が正念場。名前を広め、CDが売れないと目指す未来が遠のく。
それに、同時期に高橋君とみのりが出演する映画「さんかくパシオン」が公開するし、何としても売らなくてはいけない。
アイドルとして女優として人気を得る。アイドルで女優として活躍する人は一握りだ。
どれだけ人気アイドルグループの子でも女優として活躍できている人は少ない。
今、みのりと梨乃は大手をかけている。流石に言い過ぎかもしれないけど、みのりと梨乃は必ず女優としても成功する。
あとは、CLOVERとして売れるだけ。みのりと梨乃は一握りの実績を掴もうとしている。
みのりと梨乃は事務所のバックアップ無しで、チャンスを掴んだ。これはとても凄いことで奏多先生のバックアップはあったけど、実力で役を掴んだ功績は大きい。
オレンジジュースを一口飲み、机の上に置く。やっと脳に糖分が回ってきた。
今日のスケジュールは午前中は私はスタッフとCDの打ち合わせで、メンバーは他のマネージャーと一緒に雑誌の撮影をしている。
午後からメンバーが事務所に来て、私と合流しみんなで新曲の打ち合わせをする。
メンバーにもどの路線でいきたいから聞きたいし、センターの発表をしないといけない。
まだ、本格的に動き出すわけではないけど下準備が一番かかる作業だ。
今日は何曲も曲のサンプルを聞き、みのりがセンターの時はロックテイストと曲が合うなぁと考えたりして私の夢が広がった。
今回は佐藤小春しか知らない松本梨乃のダンスを広めたい。イメージを覆し、テレビを見た人にあっと言わせたい。
チョコレートはエネルギーになりやすく、脳を活性化させる。スタッフとの打ち合わせが終わった私は自分のディスクでメンバーが来るまで、チョコのお菓子をポリポリと食べながら私は色んなアイドルのMVを見ている。
人気アイドルのMVなどは楽曲の参考になるし、勉強にもなる。そして、この人気アイドル達に新人のCLOVERは勝たないといけないし、勝つことが絶対条件だ。
糖分を摂取し終わった私は甘くなった口を塗り替えるため、ブラックコーヒーを飲む。これで頭もシャキッとした。
また、コーヒーを片手に資料を持ちながら立ち上がり、会議室に移動する。
そろそろ、みのり達が来る時間で色々と準備をしないといけない。だけど、今日の天気はとても良く窓から見える空が綺麗だ。
つい、真っ青な空に見惚れてしまうけど残っていたブラックコーヒーを飲み干し「よっしゃー」と言いながら気合いは入れた。
今日はメンバーに色んなことを伝えないといけない。美香がセンターから外れる。
でも、これは梨乃の功績が大きいから当然のセンターの入れ替えだ。
会議室の外からガヤガヤと沢山の明るい声がする。みのり達が来たみたいで、私は軽く頬を叩き、気合いを入れ直す。
これから大事な話し合いだ。CLOVERの未来の話し合いで、デビューシングルより最高のCDを作り出さないといけない。
常に更新していかなくてはいけないのはアイドルの宿命だ。これからもずっと、ずっと、人気を更新し、絶対に立ち止まらない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます