第174話/最高のロストワン

吉田夏樹.side


まだ出会ったばかりの頃はあんまり垢抜けてなくて、手のかかる子達だったのに今は立派なアイドルになり、私は涙を流す。

ここのライブハウスは私も沢山の思い出がある。私のライフワークに入っていたし、、


でも、梨乃が言っていた通り区切りは大事だ。区切ることで後ろに下がれず、前に進むしかない。決して切り捨てたわけじゃない。みのりの言葉を借りるなら私達は変わらないといけないのだ。絶対に。


まずは2ndシングルを作り、売り上げを出さないといけない。デビュー曲が3位という素晴らしい数字を頂いたからここで終わるわけにはいかないし一発屋なんて嫌だ。


次の曲も必ずトップ10に入ることが絶対条件。だからこそ、グループ人気・個人人気に火をつけないといけない。

CLOVERには起爆剤が必要だ。既存のファンだけではなくCLOVERを知らない人達がCLOVERを知るきっかけが。


一番、手っ取り早いのが売れる曲、流行る曲で人気を得ることだけど、私はこれだけでは弱いと思っている。CLOVERは先にメンバーが知られ、グループが知られていった。だからこそ、この流れを大事にしたい。


みのりが出演する映画が10月に公開される。この映画がヒットすればみのりの人気と知名度はまた確実に上がる。

ドラマも最終回に向け、少しづつ視聴率が上がっており、評判も評価もずっと上場で手応えを感じている。


でも、みのりも今の映画の仕事が終われば女優としての仕事はないし、これから沢山のオーディションを受けていくことになる。

クイズ番組にも出ないし、私としてもみのりはバラエティーより演技の方で行きたい。


みんな、まだ先行きは不安定だ。暫くは2ndシングルの作成とアルバム作成にかかるけど、間で女優の仕事をゲットしたい。

特に梨乃…梨乃を人気女優にするため私は何がなんでも頑張る。才能を無駄にしない。


CLOVERが売れるための起爆剤

梨乃が変わる起爆剤


この2つを起爆剤を私は探している。この起爆剤が手に入れればCLOVERを人気アイドルにまっしぐらだ。これはただの直感だけど、私の第六感でもある。


だけど、起爆剤は衝撃が大きい分…気をつけないといけないこともある。リスクがついてくるのだ。衝撃が大きければ大きいほど、ハイリスクがついて回る。


起爆剤はプラスとマイナスの関係。マネージャーの私はしっかりどんなリスクが付いてくるか読み取り対処しないといけない。





田中/奏多みどり.side


私はずっとCLOVERに助けられてきた。藍田みのりちゃんと出会え、人生が豊かになり毎日が楽しくて仕方なかった。

今の私の心境は親鳥から小鳥が巣立つ気持ち。CLOVERは空に羽ばたくのだ。


そうだよね。ここは暗い地下だもんね。大空に羽ばたきたくて頑張ってきたもんね。

私もこれからももっと一生懸命に応援する。私の推しは一生、藍田みのりちゃんだ。


だけど、涙が止まらないよ。嬉しい気持ちと切ない気持ちが混在している。

出会った頃より綺麗になったみのりちゃん。今もまだ映画の撮影中かな?映画、楽しみにしてるね。必ず見にいくから!


私の描いた漫画「彼女はちょっと変わっている」に出演してくれてありがとう!鮎川早月役はみのりちゃんを想いながら描いたからめちゃくちゃ嬉しかった。


奏多みどりとして、漫画をもっともっと頑張る。ドラマの続編、映画化を叶えてみせるから!だって、ドラマの反響が作者にまで届いてるよ。ファンが沢山待ってるよ。


ドラマ「彼女はちょっと変わっている」は私の宝物だ。最終回を迎えた後、DVDが発売されたら飾るようと見るようで2つ買うね。

そして、ライブもこれから絶対に参戦する。チケットが取りにくくなるかもしれないど、何がなんでもチケットを取り応援する。


私はCLOVERのお陰で、みのりちゃんのお陰で変われた。今度はCLOVERの変革期。

私達ファンはどこまでも着いて行くから!


「みのりちゃん、大好きー!」


私は思いの丈を声に出す。ちょっと恥ずかしかったけど、みのりちゃんが私の方を見ながら微笑んでくれた。

私は何度でも落とされる。恋に落ちるなと一緒で沼に落とされ最高の気分だ。


アイドル最高!!!

CLOVER最高!!!

みのりちゃん最高!!!


私は藍田みのりにぞっこんで、これからもハマり続ける。これが私の最高の人生。

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