第135話/恋愛=×××
最近のお母さんは毎日のように笑顔で、いつも誰かと電話で話している。お母さんの口から聞こえてくるのは私の名前できっと、娘自慢をしているんだろう。
高橋君との映画が決まって以来、お母さんはいつも以上に私に優しくなり…
反吐が出る。これほど態度を変えられるとイラつくし、私はお母さんにとって自慢できる娘かどうかなんだと再認識させられた。
最近では夜遅くまで大学受験の勉強をする私に対し、仕事が忙しいから大学受験を辞めたら?と驚きの言葉まで言うようになった。
お母さんの中で勉強が取り柄の娘がアイドルとして、女優として活躍する娘に変換されている。
きっと、大学より芸能界の仕事をしている娘の方が優良の比重が重いのだろう。
だからこそ、私は大学受験を辞めない。負けず嫌いってのもあるけど、何よりお母さんを見返したいって気持ちが強い。
でも、よっちゃんに大学に受かったとしても通うのが大変になるよと言われた。
確かに今のスケジュールではとても大学には通えない。でも、通信とかあるし私は自分の決めた道を突き進みたいだけ。
よっちゃんのお迎えが来るまで、ソファーに座りながら携帯で漫画の電子書籍を読む。
事前の復習は大事だ。それに漫画が結構楽しい。演技の仕事をするようになって漫画を読むようになった私は漫画の面白さを知った。
ただ、やっぱり恋愛の話よりサスペンスやファンタジー系の話の方が好きだ。これは小説が好きだからという理由もある。
1ページを捲るごとに次はどうなるのかな?とワクワクする気持ちが好きだからだ。
私にとって恋愛は平凡でワクワクなどしない。三角関係などの話も恋愛に興味がないから感情が昂らないし、どうせ主人公とヒロインが結ばれるよね?と思っている。
恋愛系の話ほど結果が外れることがなく、だからこそハマれなかった。
そう言えば、梨乃は恋愛系の話が好きだと言っていた。美沙も恋愛系の話が好きで、一緒に恋愛映画を見た時、ラストで泣いていた。
この2人が結ばれるのは分かっているのになぜ、そんなにも感情移入が出来るのかな?
ラストなんて最初から分かりきっているのに。恋愛は王道・定番しかないのに。
今日の仕事は由香里との仕事で2人で雑誌の取材と撮影をする。来月のCDデビューに向けての意気込みや、私は初めての映画出演に対しての想いを沢山話した。
取材が終わった後に洋服を何回か着替えながら撮影をし、2時間後やっと終わる。
由香里とよっちゃんと3人で休憩がてらカフェに行き、私はカフェラテを買った。
また3人で車に戻り、のんびりしながらカフェラテを飲んでいると由香里がピアスを付けていることに気づいた。
「あれ?由香里、ピアス…」
「遅いー!結構前に開けたのに」
「えっ、そうなの?」
よくよく由香里を見ると髪色も変わっているし、化粧も少し大人っぽくなっている。
「進化してる…」
「大人っぽくなったって言ってよー」
「あっ、ごめん。雰囲気変わったね」
「へへ、そうでしょ」
笑うといつもの由香里だけど、大人としての成長を感じ改めてビックリした。
「みーちゃんもさ、髪切ったから雰囲気変わったよね。早月そのものだし」
「これぐらいの長さだとさ、髪洗うとき楽だね。もう、あんまり伸ばしたくないもん」
「うん。みーちゃんはこの長さが1番合ってるよ。今の髪型のみーちゃん好き」
ニコニコとした笑顔で私の髪を触り、私の顔をまじまじと見つめてくる由香里。
最近、由香里(美香)も梨乃同様距離が近いから戸惑ってしまうことが多い。
「みーちゃん、カッコいいね」
「ありがとう…」
「もっと、喜んでよー」
「そんなの難しいって」
いきなりカッコいいなんて言われたらどう返事したらいいのか思いつかないし、照れるからそっけない感じになってしまう。
「みーちゃんの顔ってずるいよねー」
「何、それ」
「魅力的ってことだよ。同性から見ても惹かれる顔をしてるから。みーちゃんは頭も性格も良いから更にずるいけど」
今日の由香里はどうしたのかな?めちゃくちゃ褒めてくるし、私を揶揄っている感じではないから上手く返事を返せない。
「みーちゃん」
「何?」
「友達とキスしたことがあるって言ってたけどどんな感じだった?ドキドキした?」
「(うぷっ)ちょっと、由香里!急に変なこと聞かないでよ」
由香里の当然の質問に飲んでいた少しだけカフェラテを吹き出してしまった。
「だってー、気になるもん」
「あんなの遊びなの。女子校あるあるって言ったでしょ」
「そうだけどー」
「こら、由香里。みのりをこれ以上、困らせないの」
「ちぇ。はーい」
運転をしていたよっちゃんが赤信号になった瞬間、後ろを向き由香里を叱る。
よっちゃんには感謝だ。このままでは由香里は更に行き過ぎた質問をしそうだった。
吉田夏樹.side
最近の由香里も美香も…梨乃も恋がしたいお年頃だって分かっているけど近場(みのり)で済まそうとしないでほしい。
芸能人の恋はどんな恋でもリスキーで、プラスになることがほとんどない。
それに、アイドルにとって恋愛は十字架だ。この重い十字架はリスク・我慢など色んなものがあり、アイドルはみんな背負っている。
だからこそ、100%祝福される恋愛がない限り全て背負う十字架になる。
アイドルの恋はリスクしかない恋で、妬まれ、激情され、私・俺が応援してきた時間を返せと嘆く人がいる。
この感情は身勝手な感情だけど本人からしたら本気だ。それほど、真剣に応援しお金を費やしてきた(貢いできた)代償を無碍にされたら怒るのは仕方のないことかもしれない。
アイドルの恋愛=人気が下落
面倒だね。本当に面倒。他人の恋愛なんてどうでもいいじゃんって言いたいけど、お金が絡んでいるから言えない。
お金が絡んでいるから仕方のないことと思わざるえない環境があるのがアイドル。
とりあえず今言えるのは、恋愛はいつでもできる。どうせ、特に女性アイドルは20代後半になったらほぼメインはソロ活動(女優・タレント)に移行する。
だからこそ、アイドルをやれる10代・20代前半までは仕事に集中してほしい。
やっと掴んだチャンスは今しかないし、逃したら終わりなんだ。
グループに所属するとスキャンダルは個人だけで済ませられるものではない。だからこそ、この道を選んだのは本人達なんだから、我慢するもの捨てるものが必要なんだ。
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