第10話

トモルは部屋をウロウロしていた。昨晩アシュガに言われたことが頭から抜け出さない。ミチルの吐血って俺のせいなのか、そのとっさに浮かんだ考えは妙に真実味がある。


「舟来たりし時のそれは俺だと言いたいのか奴は」


 舟とは自分を指している、彼はそんな気がしてならなかった。


「だとしたら、俺はなんてことをしてしまったのだろうか」


 トモルは思い立った。急いでアシュガに与えた部屋に行き、言った。


「アシュガ、一刻も早くミチルを助けてくれ、頼む。俺がお前に与えられるものはすべて与えるから」


 アシュガは資料から顔を上げた。


「精進いたします」


 アシュガは再び資料に顔を伏した。




 アシュガはその日、ベットに横になっているミチルにこんなことを言った。


「ミチル、俺はミチルの病気を治すことができるかもしれない。どうしたい」

 

 ミチルは即座に言った。


「治したい、治してとトモルとアシュガとアスターと一緒に暮らしたい」


 アシュガは悲しみを帯びた声を出した。


「・・・・・・今夜はお休み。そうだ、アスターをこの部屋に呼んでもらおう」

「うん、呼んで。それからトモルも」


 トモルも、とアシュガは心の中で反復した。


「わかったよ、トモル様に言うから」


 ___トモルはその言葉を聞き入れ、その晩からミチルたちと眠るようになった。


「お休み、ミチル良い夢を」


 トモルはそう言い、眠りについた。

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