第10話
トモルは部屋をウロウロしていた。昨晩アシュガに言われたことが頭から抜け出さない。ミチルの吐血って俺のせいなのか、そのとっさに浮かんだ考えは妙に真実味がある。
「舟来たりし時のそれは俺だと言いたいのか奴は」
舟とは自分を指している、彼はそんな気がしてならなかった。
「だとしたら、俺はなんてことをしてしまったのだろうか」
トモルは思い立った。急いでアシュガに与えた部屋に行き、言った。
「アシュガ、一刻も早くミチルを助けてくれ、頼む。俺がお前に与えられるものはすべて与えるから」
アシュガは資料から顔を上げた。
「精進いたします」
アシュガは再び資料に顔を伏した。
★
アシュガはその日、ベットに横になっているミチルにこんなことを言った。
「ミチル、俺はミチルの病気を治すことができるかもしれない。どうしたい」
ミチルは即座に言った。
「治したい、治してとトモルとアシュガとアスターと一緒に暮らしたい」
アシュガは悲しみを帯びた声を出した。
「・・・・・・今夜はお休み。そうだ、アスターをこの部屋に呼んでもらおう」
「うん、呼んで。それからトモルも」
トモルも、とアシュガは心の中で反復した。
「わかったよ、トモル様に言うから」
___トモルはその言葉を聞き入れ、その晩からミチルたちと眠るようになった。
「お休み、ミチル良い夢を」
トモルはそう言い、眠りについた。
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