第7話

 結局、ミチルは起き上がることができなかった。


「アシュガ、ミチルの病気は」

「うるさい、いま調査しているところだ」


アスターに言われ、アシュガはイライラしたように資料を見た。ミチルの病気は原因がわからない限り、実のところ無理があった。


 アスターが出ていった後、アシュガは助手の名前を呼んだ。


「エニシダ、資料はまだか」


エニシダは茶色い髪を腰まで下ろし、こらみよがしでアシュガを見た。


「まだか」


 催促され、機嫌を損ねた様子で口を開く。


「原因が全くわからないのであれば、他に調査の方向を向けたらいかがでしょうか」


「他に・・・・・・?」


 エニシダはニッコリと笑った。


「ええ」



 その頃、ミチルの名を呼ぶ声があった。プラチナブロンとのしっとりとした長い髪を揺らして研究所のドアを叩く。


 アスターが器用に鍵を開けると、ドシドシと階段を上がって研究室を通り医務室へと入っていく。


「ミチル、いるの? 」


ガバッとカーテンを開けておかげで起きてしまったミチルを見る。彼女の名はヒメウツギ ミコ。ミチルの親友だ。


「ミコ、どうしたの」


ミチルは驚いてそれ以上言えなかった。


「どうしたもこうしたもないでしょうが」


両腰に手をやって、あきれたようにため息をついた。

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