第3話 インスタ蠅とは呼ばないで

 神出鬼没の、おっぱいギャル。

 これが、わらびさんの町内での「公式」ニックネームになりました。

 彼女はまず、シーパルピア商店街のあちこちで、写真や動画を撮り、インスタグラムやユーチューブに投稿し始めました。悲しいかな、再生数は、全く伸びませんでした。同じ映像をニコニコ動画にアップすると、結構コメントがつきました。けれど、商店街そのもののコメントは全くつかず、また、わらびさんその人への応援でもありません。バストの大きさをひたすら称える視聴者ばかりです。

 どーして、こう民度低いの。ガキが。

 スマホとにらめっこをしては、毒づく日々が、続きます。

 おっぱい、おっぱい、おっぱい。

 日頃からネタにし、自慢もしている胸ですが、さすがのわらびさんも「あーしには、これっきゃないってこと?」と結構へこんでいました。しかし、裁判所は、既に辞めてしまった身です。いつまでもへこんでないで、映像収益化を目指さなくては、なりません。彼女は開き直って、今度は上半身、水着のビキニトップだけで、シーパルピア巡りをしました。ちゃんと服を着ていたときと、全く同じ場所を、同じ構図で映して歩いたのに、動画は10倍以上の再生数になりました。

 事情を知ったてれすこ君が、彼女にアドバイスしました。

「わらびちゃん。これ、いいネタになるよ」

 彼女は、2つの動画を編集しました。普通のTシャツのときと、ビキニトップの時を並べた動画を、投稿したのです。同じ動画でも、これほど再生数が違うのだ……と宣伝すると、彼女の動画は、ちょっとの間、ちまたの話題になりました。けれど、ツイッター等で、ちやほやされる日は、長続きしませんでした。某アイドルさんの熱愛発覚でテレビが過熱報道すると、たちまちわらびさんは「過去の人」になってしまいました。

 以上の経験を踏まえ、わらびさんは悟りを開きました。

 おっぱい。

 上半身はまるっと裸。左手一本で胸をしっかりと隠した姿で、再度シーパルピア巡りの動画を撮影したのです。編集後、トータル15分になる動画撮影を目標としていたわらびさんですが、最初の30秒ほどで、女川交番のお巡りさんに、逮捕されてしまいました。

 彼女をもらい受けに行ったてれすこ君に、わらびさんは言い放ったそうです。

「隠すところは、ちゃんと隠してたし。警察の、横暴っ」

 罪状をちゃんと言えば、公然わいせつ罪、ということになります。けれど、わらびさん本人の言う通り、現行犯逮捕されたわけではなく、「補導」されて、交番でみっちり1時間弱、お説教を食らった……というのが、真相のようです。

 てれすこ君は、女川交番前の中華料理屋「三秀」で、彼女にギョーザとエビチリとビールをおごると、この目立ちがり屋の親戚に、みっちりと半日、説教をしました。交番のお巡りさんに引き続いての説教に、さすがの元気娘もうんざりしたようです。降参したわらびさんは、てれすこ君に約束しました。

「わーった。もう、おっぱいをまるっと出すのは、止める。でも、そんなら、最初の約束通り、もっとインスタ映えする場所に、連れていってよ」


 我が海碧屋の工場は、女川から一駅上った浦宿駅裏、踏切を渡ってすぐのところにあります。「工場」という語感から、想像できるような建物は一切なく、プレハブ小屋に掘立小屋が立ち並び、ごちゃごちゃした資材置き場のような印象です。敷地の半分は、従業員用のマイカー置き場、トラック置き場、そしてフォークリフト置き場になっていて、こちらは結構埃っぽいです。道路沿いに面したプレハブの一つに、唯一電気がいっていて、ここが、いわば本社建物です。

 わらびさんを案内してきたてれすこ君が、自ら冷蔵庫を物色し、オグラの水ようかんと麦茶を供しました。私はフォークリフトのグリースアップをしていたところで、油脂臭いのを、謝りました。

「てか。早速だけど、社長さん。最初の約束通り、インスタ映えしそうなところ、案内してよ」

 写メだけしておいて、やり逃げはよくないよ……と、わらびさんはテーブルに頬杖をついて、言います。

「シーパルピア商店街と、女川駅中温泉、ゆぽっぽは?」

「お巡りさんに目をつけられるくらい、何度も動画はとったし」

「北浦や五部浦の、小さな漁港とかは? 結構、風光明媚でしょ?」

「景色を売りにして、再生数を稼ごうと思ったら、高いカメラがいるよ。スマホじゃ限度があるって」

 都会から来た観光客が、懐かしさやレトロな風情、そして自然と一体化した港町に良さを見出す……というのは、なにも女川だけの専売特許ではありません。

「でも、サンマ船見学、今は難しいかな。時期が悪い。ぼちぼち、出港していく時期なんですよ」

 そう、時は七月半ば、北海道の花咲港沖では、すでに秋刀魚漁が始まっていて、大型漁船から順に、三陸の秋刀魚船も出港し始めていました。獲れたサンマは近場の漁港に水揚げするのがセオリーなので、漁場が南下して来ない限り、インスタ映えするような、大漁旗を掲げる漁船は、期待できません。

「うーん。じゃあ。深谷さん、早起きは得意かな」

「低血圧だけど。何か、いい絵が撮れそうなら、がんばるよ」

「そう。じゃあ、明日の朝三時に、この工場に集合ってことで、どうかな?」

「どーかなって、さあ。それって、朝って言わないし。草木も眠る丑三つ時じゃん。てか、幽霊とか妖怪とか、妖しげなモンでも、撮るの?」

「いや。イカ・トラック」

「イカ・トラック?」

 ミニスタンという種類の漁船があって、ここ石巻地方では、もっぱらイカのたぐいを水揚げしています。水揚げされたイカは、中型の水産ダンプトラックにて、各々の漁港から魚市場へ陸送されます。年に二回だけ、ミニスタン解禁日と終了日だけは、宮城県じゅうの水産イカ・ダンプトラックが、石巻魚市場に集結します。ようするに、セリは、ここだけで開催されるということです。

 トラックは、朝の四時に、トラックごと重さをはかる、スケールという重量計に、順番に乗っていきます。それで、この順番待ちのトラックを撮影に行こう、と私はわらびさんを誘ったのでした。

「たぶん、今まで、この縦列を写真で撮ったり、動画撮影したりした個人ブロガーもマスコミもないと思います。ま。百聞は一見に如かず。とりあえず、明日にでもロケハンしてみるってことで」

「なーんか。つまんなさそうだけど」

「スケール開始前、三時半ころには、120台くらいのトラックが、直線一列に並んで待機してるんですよ。日本最長の船着き場を持つ、石巻魚市場でしか、できない芸当です。水産トラックは、標準が一台あたり8メートルちょいの長さで、車間距離を入れると、だいたい2キロほどにわたって、ずらーっとイカ・トラックが一直線にならぶんです。デコトラって言って、電飾でピカピカになったトラックもあります。なかなか、壮観ですよ。最後尾からだと、いくら目を凝らしても、先頭が何をしているのか、分からないくらいで」

 これらイカ・トラックの荷台には海水が張ってあり、イカがぷかぷか浮いているほか、中には、エチゼンクラゲのような、大型のクラゲのブロックが入ってもいます。トラックの運転手さんたちは、スケールの待ち時間、ノンコという長さ1mくらいの手鉤で、このクラゲとりをします。

「ミカン箱くらいの大きさの、ゼリーというかゼラチンのブロックをとる仕事ですね。なかなか面白いんで、知合いのトラック屋さんに頼んで、このクラゲとり体験っていうのは、どーでしょう?」

「うーん。面白そうだけど。却下」

 その、一斉終結の日まで待っていたら、生活費が尽きて、干上がってしまう、とわらびさんは言いました。

「第一、朝3時なんて、起きられないし」

「うーん。仕方ありませんねえ。じゃあ、オーソドックスに、女川魚市場での、朝のセリ参加っていうのに、しておきますか? こちらは、朝6時過ぎの出発でも、大丈夫ですよ」

 わらびさんは、なおもわがままを言いました。

「見学コースから、遠目に映像を映すだけじゃ、他のユーチューバー以上の絵になれないしぃ」

「私、60人くらいにしか許可されてない、女川魚市場の朝セリの買受人の免許、持ってますよ。鑑札付の野球帽はさすがに譲れませんけど、助手ってことなら、入場できないことも、ありません」

 津波後は、魚市場に関する衛生規則が厳しくなってきています。入場者は全員がなんらかの許可証が必要で、衛生長靴(白に限る)の着用が義務つけられています。ただ、買受人に限れば、とりあえず、いくらかはお目こぼしがあるのです。

「んー。そんなに言うなら。いっちょ、やってみようかな」

 こうして、ようやく話はまとまりました。

 それから、せっかく浦宿駅まで来たんだし……と、わらびさんは、我が工場見学を申し出ました。

 ポリエステルのロープや亜鉛コートの盤線、そして耐候性の黒モッコなど、工場には仕掛け品資材があちこち並べられています。一見狭く見えますが、その実、敷地は800坪もあります。工場従業員さんたちとダベったり写メしたりしながら、わらびさんは最終的に、トラック用の車庫兼整備場にたどりつきました。正面は幅1.8m、高さ6mのシャッターが、2つ並んでいます。奥行は15m、まさに大型トラックを整備するためだけに設置された、建物です。中には何ら敷居がなく、がらんどうです。運送会社やバス会社等にいけば、珍しくもない代物ですが、わらびさんには新鮮に映ったようです。

 大津波を境に、この車庫にお似合いの大型トラックも、手放してしまった顛末を、私は語りました。大型車庫にギリギリ入る大型トラックを想像してか、わらびさんは、何か興味をそそられたみたいでした。

 どうしても、シャッターを開けないと出し入れできないトラックを出し入れするときに限り、この、正面シャッターは開けることになっています。

「中、見たい。ダメ?」

「ダメ」

 しかし、わらびさんは、ダダをこねかたが、たいへん上手な女性です。

 見学させてくれなきゃ、トップレスで、この工場案内の動画を撮影投稿すると、脅しました。「彼女、本気でやりそうです」というてれすこ君の進言で、私はしぶしぶ見学許可をしました。

 車庫兼整備場の側面中央には、なんの変哲もないべニア合板の安っぽいドアがついていて、私たちはそころから、わらびさんを招きいれました。

 明り取りの窓は薄汚れていて、目が慣れるまで、少しだけ時間がかかりました。

 彼女は、ハッと驚きました。

「ねえ。てれすこのオジサン。これ、なによ」

 てれすこ君が答える代わりに、廃タイヤを腰掛けにして、小豆バーをかじっていた老人が、返事しました。

「見りゃ、分かるだろ。ロボットだよ。乗用ロボット。海碧6号だ」

 わらびさんは、高さ3メートルの人型ロボットを凝視しながら、私に語りかけてきます。

「社長さんって、こういう趣味がある人なんだあ。ガワは、どっから見ても冴えないオッサンだけど、少年の心、持ち合わせてまーす、みたいな?」

 私は苦笑して、答えました。

「少年の心も何も、純粋に、新しい商売をしようと思って、組み立ててるんだけどね」

「総合運動公園で、ちびっ子向けに、ロボットショーをやるとか」

「そういうのでも、ないんだけどね」

「これ、乗れるの?」

 私の代わりに、小豆バーのおじいさん、通称「船大工」さんが、答えます。

「乗れる。でも、動かねえ。モックアップだから」

「モックアップって、なに?」

「実物大の模型のことだ。てか、姉ちゃん、あんた、誰だ」

 てれすこ君の親戚で、女川に写真を撮りにきた旨、私は船大工さんに教えました。

「そうかい。言っとくが、ここで見たことは、誰にもしゃべっちゃ、いけねえぞ。てれすこ君の身内でも、しゃべったら、容赦しねえからな。部外秘だ」

「なんなのー。いったい」

 船大工さんの言葉を引き取って、てれすこ君が、まず彼女に釘を刺します。

「わらびちゃん、これ、本当に企業秘密なんだよ。裁判所勤めしてた君なら、分かるよね。口外法度」

「ふうん。ロボット作りの秘密基地、かあ。これこそ、インスタ映えしそうだけどお」

「困るよー」

「でもさ、てれすこのオジサン。これ、いつまでも秘密にしておくっていうたぐいの秘密じゃ、ないでしょ。いつかは、どこかでお披露目するんじゃないの?」

「海碧屋さん」

 てれすこ君に助けを求められて、私は答えました。

「そうだね。じゃあ、あと一カ月くらい、黙っててもらいますか」

「えーっ。せっかくのネタなのにぃ。じゃあ、しゃべらないから、せめて事情だけは、教えてよ」

「女川に一週間も滞在していれば、自然に知れることなんですけどねえ。水産関係の半官半民の社団法人が主催になって、今度、女川でコンペがあるんですよ」

「コンペ?」

「そう。申込資格は、女川に本拠を置いている法人で、しかるべき技術や資本を有する者。テーマというか、コンペのお題は、ズバリ、大規模自然災害後の漁場のすみやかな原状回復。ようするに、津波のあと、様々な震災ゴミで海の中は汚れるわけで、その掃除の方法について、競争しましょっていう、コンテストです」

 現在、我が社を含めて三つの法人が、この公募に申込をしています。

「ウチでは、この乗用ロボットを使って、その掃除に参加しようっていう算段なんです」

「なんか……その……実用的じゃないっていうか、ネタに走りすぎっつーか。本当に、このロボット、動くの?」

「乗用ロボット自体は、もう、そんなに珍しくない……というと語弊があるけれど、技術的な意味では既にできてるモノなんです。水道橋工業のクラタスだの、トヨタのifootだの、そういう有名どころ以外でも、ちらほらある」

「その……コンペの賞金って、どれくらい?」

「プロジェクトにかかるお金を、まるっと融資してもらえることになっています。それが、賞金の代わり。ウチなら、このロボット作製費用と、運用に必要な機材の代金って、とこですかね」

「へー。じゃあ、何百万、何千万、もらえるんだ」

「とんでもない。何億って単位ですよ」

「えっえー。社長さんって、実は、すごいお金持ち?」

「全然。ロボットの作製資金は、この工場そのものと、自宅を担保に銀行から借りたものです。正直、ウチの企画が採用されないと、夜逃げしなくちゃならないかも」

「社長さん、実は、バクチ好きなタイプ?」

「いえいえ。ウチ以外の申込をしている法人、二つありますけど、どちらも水産に全く関係のない団体なんですよ。海碧屋は、漁師そのものじゃなくとも、首までこの業界にどっぷり浸かっている、プロですからね。勝算は大いにあると踏んで、賭けてみることにしたんです」

「ふーん。ちなみに、ライバルって、どういう会社?」

「会社じゃなくって、NPO法人、ですかね。一つは『丸の内りばあ・ねっと』っていう、震災後に来たボランティア組織です。東京や大阪でボランティアしたい人を募集して、被災地に引っ張ってくるっていう仕事をしていた組織です。団体のトップも幹部もみんな、津波後に、この町に来たひとたちでね。ウチでは接点がないもんで、詳しくは知らないけど、人集めが本業であって、海事関係の仕事は、やったことがないんじゃないかな。もう一つは、『め・ぱん連絡協議会』。こちらは、地元有志のグループだけど、やっぱり水産関係者は入ってないという」

「はい、はい、しつもーん。土木関係の会社とか、建築関係の会社の応募って、なかったの?」

「土木建築関係の会社、女川には6社ありますけど、どの社も海上工事が専門っていうわけでは、ありませんから。上下水道が得意だったり、道路舗装専業だったり。いくら近場で工事仕事の入札があっても、技術的にできないって分かったら、あえて手を出さないのがセオリーみたいですね。有名な例が、架橋、橋を架ける工事かな。女川では、技術を持った会社が皆無だったから、結局全部、町外の会社が仕事をとっていったって、聞いたことがあります」

「へー」

「それに、現実的に、復興工事の時期は、目の回るような忙しさで、海中清掃みたいな、普段やってないようなイレギュラーな仕事に手を出すヒマはないだろうっていう、経営判断もあったみたいですね。たとえば道路にアスファルトを舗装するような仕事一つとっても、大津波後は、何十キロっていう距離になるわけで。普段、数十mとか言ってるのとは、スケールが違いますから。資金繰りから人集めまで、苦労のほどは学習済みだから、あえて、手探りの仕事には手を出さないって、ことなんでしょう」

「ふーん」

「ま。普通の経営者としては、堅実な判断です。ゼニになるかどうか分からないのに、わざわざチャレンジするほど、経営的には困らないだろう、と」

「でもさ。だったら、2011年の大津波のときは、どー始末をつけたのさ?」

「外洋の部分は、浚渫とか、海浜での工事を得意とする会社が請け負ったんじゃなかったかな。台船が入れそうもないところは、確かボランティアのダイバーの人たちが、潜ってたはずです」

「なら。次回も、そういう人たちに頼めば、いいんじゃないの?」

「人の善意をあてにアグラをかいてたら、人間がすたりますよ。今回の公募をかけた第三セクター、『海洋プレート災害監視団』も、前回の津波に配慮して……と募集の前書きでは、そのへんの説明はしています。業務に従事した潜水従事者には、きちんとお手当を払うべしってね」

「それなら。わざわざロボットを持ち出す意味が、ますます分かんない」

「ははは。ロボットをコンペに持ち出そうとしてるのは、たぶん、ウチだけですよ」

「コンペをわざわざする意味あるのかなって、聞いてるの?」

「たぶん、スピードアップのためでしょう。もちろん、いち早く漁業を再開するっていう大義名分もありますけど。本音は、津波の犠牲になったご遺体の回収、みたいなところもあるのかもしれません。捜索が早ければはやいほど、沖に流されたりする前に回収できるっていう……行方不明扱いのまま、ホトケ様もいないのに、お葬式した家も、少なからずありましたから」

「ふーん。……湿っぽい話にしちゃって、ゴメンなさい」

「いえ、いえ」

 船大工さんの手を借りて、わらびさんは、結局モックアップとともに写真を撮りました。許可が出るまで、絶対インスタには載せない、と、てれすこ君は彼女に再三約束させました。

「もー。てれすこのオジサン、しつこいなあ。親指をカッターで切って、血判でも押そうか?」

 私は彼女の殊勝な心掛けに感心して、言いました。

「写真公表を先伸ばししてもらう代わりに、ツイッターでつぶやけそうなネタをあげましょう。ご遺体で思い出したんですけど。2チャンネルで、見つからないご遺体は、結局サメの餌になっちゃったんじゃないのっていう不謹慎な書き込みが、あの震災直後、いっぱい見かけたんですけど。実際に、漁師さんや魚屋さんに聞いた話では、おそらく、サメではなくタコだろうって」

「タコ?」

「他の魚介類は皆目獲れなかったのに、タコだけが豊漁だったんですよ。さらに、言えば、身を掻っ捌いたら、中から人間の髪の毛が出てきて……」

「ぎゃーっっ。そんな話、いらないっ」

「ま。とにかく秘密保持だけ、よろしくお願いします」

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