第14話 十四
何故、私がここに呼ばれたのですかと。
すると、そんなミミリィの疑問に答えるように、もう一人の人物がミミリィに話しかける。
ミミリィはその声に振り返る。
ミミリィの視線の先には、黒髪をオールバックにした40代くらいの渋いおじさんが立っていた。
服装は黒のスーツにネクタイを締めている。
服装は全体的に黒いのだが、胸ポケットに白いラインが入っている。
服装の左胸には金糸で刺繍された紋章が刻まれている。
服装の右袖には金色の腕章が巻かれている。
そんな服装の上から白いコートを着込んでいる。
年齢は50代前半くらいに見える。
身長は175cm前後、体形は痩せ型で、鍛え上げられた肉体をしている。
その人の名前はルーザス・フォン・グランツバッハ侯爵である。
彼はミミリィにこう告げる。
君の今後の身の振り方の話をしたいのだよと言うと、
隣にいたバルクス伯も同意するように言葉を紡ぐ。
それからしばらくして昼食が始まったのだけれど、私は食事に手を付ける事が出来なかったわ。
ただひたすらに周りの人達の話を聞くだけだったわ。
食事が終わった後も部屋に戻されてしまったわ。
私は部屋のベッドの上で横になりつつ考えるわ。
今日一日で起きた出来事を整理しないと頭がおかしくなりそうだったわね。
私はまず、今日の朝に目が覚めたら、いきなり見知らぬ部屋の中にいたのが始まりだと思ったの。
……うん、今考えてみてもよく分からない状況よね。
それで、部屋から出てみたの。そしたらメイド服を着ている女性がいたのよ。
しかも私と同じ歳ぐらいの子なのにしっかりと仕事をこなせているのが凄いなーって思ったんだっけ。
その後、私は彼女に案内されて屋敷の中を歩いていったの。
屋敷の中には沢山の使用人の人が働いていたのを見たの。
私はそんな光景を見ながら歩いている内に違和感を覚えたのよ。
(あれ? こんなにも使用人とすれ違ったかしら?)って思ってね。
だっておかしいじゃない、屋敷の主人が住んでいるはずの場所に誰もいないなんて。
だから、彼女に向かって聞いて見たの。
ここは誰のお家なのかしらと、そうしたらいとも簡単に教えてもらえちゃったわ。
(え、ここが誰かの家?)
そう思いながらも、彼女の後に付いて行ったの。
(ええ、確かにこの家はミミリィ様のものですよ)
そう言われても信じられなかったの。
確かに、この家の造りは立派なものだと思うけれど、
それでもこの大きさの屋敷を一人で管理するのは無理があると思うの。
それなら誰かが住み込みで働いているはずだわ。
だけど、この家に誰かが暮らしているような気配を感じないのよ。
それに、この広さの家を掃除するには相当な人数が必要なはずよ。
(えぇと、確かにそうですね)
私はさらに詳しく聞いてみる事にしたの。
一体誰がここで暮らしてるのかしら。
彼女は私に申し訳なさそうな顔をして、言いにくそうな感じで答えてくれる。
私は、その内容に驚いてしまったの。
まさか、そんな事になっているとは思わなかったから。
私は驚きつつも、何とか平静を装いながら、質問を続ける。
私は、どうして自分がこの場所に連れて来られたのか聞いて見る事にしたの。
私の質問に対して、また彼女が答え辛そうな顔をしてたので私は更に聞いてみることにしたの。
まさかさっきの会話で出てきた悪役令嬢とかいう存在を私に押し付けようとしているのかしら。
まあ、それはないか……と思いつつも一応聞いてみると、やはり予想通りだったみたい。
そんな事を考えていると、いつの間にか部屋に辿りついていたわ。
どうやら考え事をしている間に目的地に着いたようだったわ。
そう言えば、さっきまで一緒に居た女性は何処に行ったのかしら。
そんな事を考えていると、ドアが開かれてさっきの女性と一緒に誰かが入ってきたわ。
私は慌てて、起き上がって姿勢を正す。
そんな私の前に立っているのは、さっきまでの執事姿ではなく、
まるでどこかの貴族のような格好をした人だったわ。
私は、そんな彼の事をじっと見つめていると、彼が自己紹介を始めたの。
(初めましてミミリィ様俺はレイティスと言います)
(え?)
私は彼の名前を聞いた瞬間に固まってしまう。
(レ、レイティス?)
(はい、俺が貴方の婚約者のレイティスですが、どうかしましたか?)
(い、いえ、何でもありません。
ごめんなさい、ちょっとびっくりしただけですから気にしないでください。
改めまして、よろしくお願いします。
私の事はミミリィと呼んで下さいまし。
それと、出来れば様付けは止めていただけると嬉しいのですが?)
(分かりました。
では、ミミリィと呼ばせていただきます。
しかし、ミミリィは随分と落ち着いているので、驚かれるかと思っていました。
失礼かもしれませんが、ミミリィはもっと取り乱すかと思っていたものですから。
いえ失礼な事を言いました。お許し願います)
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