第5話
やはりなにかを感じて振り返ると、あの女がいたのだ。
「おい」
「ああ」
二人同時にそう言うと、女を見るのをやめて歩き出した。
頭の中ではいろいろな想いがぐるぐると回る。
あの女から感じる不気味さや恐怖。
俺にはもうあの女は女子高生なんかじゃなくて、人外の化け物のように思えていた。
卓也もおそらく同じだろう。
暑くもないのに額に汗をかいている。
そういう俺も同じく汗をかいていた。
学校まで二人ともいつもよりも早足だった。
「どうした、けんかでもしたのか?」
休み時間に同級生からそう聞かれた。
俺と卓也はいつも二人でおしゃべりをしているのに、今日は二人とも自分の席から動かず、黙ったままだったからだ。
「いいや、そんなことない。けんかなんかしてないよ」
俺はそう答えた。
同級生は「そうか」とだけ言った。
その日の放課後、俺は卓也と一緒に学校を後にした。
帰りもいつも卓也といっしょなのだが、その日はいつもと違っていた。
俺の家まであと少しのところで、俺はそれまでに何度となく感じたなにかを感じて振り返った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます