捜索と誘い出し 後編

黒い塊が完全に消えたことを確認し、倒れた警官の元に駆け寄ると

「俺は助かったのか‥?」と弱々しい声で語りかけてきた

「一応は‥、ただあなたはあの本体と繋がりができたから、あれの本体を駆除しない限りまだ本当の意味で助かったとは言えないけど少なくとも操られるような事はないよ」

「そうか、どこの誰かわからないけどありがとう」

「気にすることはないさ、仕事なんでね」

と談笑しつつ、

「呪身解呪、呪路封結」と唱える、すると警官の呼吸がより落ち着きを取り戻した。

「さっきより呼吸が楽になったけど何が起きたんだ?」

「怪物との繋がりに一時的に蓋をした、あんたの所在地を隠すのと逃げ場にされないようにね」

「そうか」

という返事を聞いていると救急車がやってきて、救急隊員が警官に近寄って処置をはじめる、すると

「主任この方一度心停止されていたみたいです」

心停止という予想外の言葉を聞きつい「心停止!!?」

という言葉を聞き動揺しつつも救急隊員に質問を投げかける

「心停止というのは、一度死んだということですか?」

「そういうわけではないですが、回復することができない1歩手前でした」

と処置をする救急隊員が答えると主任と言われていた隊員が問いかけてきた

「通報されたのはあなたでしょうか?」

「はい」

「どういう流れでこのかたを?」

「襲われているところを助けた形になります」

「ということは‥」

「おい!!西山!」

と主任隊員が声をかけると救急車の運転席から

「なんすか?主任」

「警察に連絡しろ」と指示を出し始めたので

手帳をだし「主任さん」

「はい?」とこちらを向く主任

「私は陰陽省の陰陽師で現在警察権限を持って捜査中のため、連絡は不要です。」

「それは失礼しました、しかし」

「少なくともこの方を襲った本体を倒さない限りは話が進まないのでとりあえずは心停止を一般人が助けたということにして置いてください」

「わかりました、そういうことであれば念のため警察病院に運ぶことにします」

「ご理解いただき助かります」

「おい、これから警察病院に搬送するぞ」

「だいぶ遠いですが?」

「その方がいい案件らしい」

「了解っす」

と言いながら、警官を処置した隊員は警官を搬送台にのせ救急車に乗る

主任も乗り込もうとしたので、

「主任さん、これを警官の荷物・財布・手帳に挟んで置いてもらえますか?」と結界顕現の霊符を渡す、すると主任さんが

「これは?」

「この警官が襲ったものから警官を守る物です」

「わかりました」と霊符を受け取り救急車に乗りこんで行った。

サイレンと共に救急車が発進していき、私は街灯と自販機の灯りの薄暗い場所に残された。

イヤホンで電話をかけると

「もしもし、あなたの癒しの山口です!先輩!」と明らかに職務中にそぐわない声が聞こえたので切ろうとするとなかなか痛そうなゴチーンという何かで叩いた音が鳴った後、(いた〜い)という声が遠のく感じで聞こえた後「どうしました?八雲さん」という堂坂さんの声が聞こえてきた

「堂坂さん」

「はい」

「警官が1人寄生されかけたようで、助けましたがかなりギリギリです。」

「八雲さんがですか?」

「いえ警官がです、警官の監視を頼みたいのですが大丈夫でしょうか?」

「大丈夫ですが、人選は警官の方がいいですか?」

「今回の一件を知ってる静岡県警清水分庁舎の方でしたら大丈夫です」

「わかりました要請しておきます。」

「お願いします」

と言った後通話を切り、車に戻る。

「どうするかな?こりゃ誘い出さないと見つけるのが難しいか」

と独り言を言いつつ、グーグルマップと睨めっこする。

誘い出すには当然誘い出すにふさわしい場所でやらないと深夜でも横入りを気にしないといけないのが難点となる。

と探していると三保の松原(清水海岸の側)が目に入る、適当に富士が見える場所でもあると調べたら出てきたので、

早速向かう。

15分後、

車を降り三保の松原に着くと適度に木が生い茂りつつ死角もそれなりにある場所で待ち伏せにはちょうどいい場所となっていたので、広めの場所に陣取りつつ

錫杖を三角になるように地面に刺し小さめの携帯椅子を置く

「虚空示現、隠行転生」と唱えると、錫杖を刺した空間が虫も何もいない28度くらいの外にいてちょうどいい耐えられなくもない気温になる。

そしてその場所から見える位置に簡易祭壇をたてて、短冊を取り出し指をかみ血で梵字を書いた短冊を藁人形に差し込みと小豆と塩と御幣を共に供える。

そして、グロッグの弾倉を入れ替え古い弾倉をケースに入れ祭壇等を入れていたケースを車に仕舞いにいくと同時に、三保の松原全体に人払いの結界を張っていいき、

そして錫杖を刺した空間に置いた携帯椅子に座り印を結び、誘い出すための術を唱えていく、

「磔磔好好、差退散生、歌山麓、天範疇空、九頭回想、牽牛淑女、北国街道、子女失神、十四名爆、州府家督、天地名爆、後方転生、名称天気、国衙嘲笑、伊東以西、国衙長軸、九九龍顕現、張昌爆、天声人語、誘炉護身」を108回繰り返して行く。

1時間後

時々どちゃ、どっちゃという音がなったり片足をひきづるかのような歩く音が遠くから聞こえてくる、すると祭壇の御幣が周りが無風なのに、激しく揺れていく。






後書き

いよいよ、次回怪物の寄生する本体と対決しますが、この怪物の宿主の描写は私がどういう感じなら憑霊されやすい状態になるかという点を追求しつつ友人のホラー体験談を題材にして作り上げましたので、人によっては生々しい部分もあるかもしれませんがその辺りはご容赦くださると幸いです。

またレビューや評価等してくださった方はありがとうございます、大変モチベーションになってます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る