出会いと腐れ縁 前編

まだ正式に陰陽師として働く前の大学院生時代に、遠方に出かけていた際にナマナリ状態になっていた山口とその山口にボコボコにされていた、人間の姿に顕現していた西洋かぶれの淫魔と腰を抜かしたおそらく彼氏らしき男性と出くわし、そのナマナリと対決し山口からナマナリを分離させようとした際、誤って断ち切りの術で山口の足の動脈を傷つけてしまい殺し掛けてしまった、その際山口にボコボコにされていた淫魔が取引を持ちかけてきた、「ねえねえ?そのままだとある程度までは治るだろうけど、その女もう意識を取り戻さないかもよ?」「あん?淫魔が何いうとんねん?」「淫魔って言っても私女の淫魔だから、力以外は体の作りは同じだよ?」「どうする?あんた間違いなく強いけど殺人になるよ?私は消えてなくなるし残るのは、死にかけの女性と男性のアンタだけ」「けど私の命を使えば、何もなかったことにできる」「‥」「ならお前に誓約をかけて、お前の魂自体を体の一部に置き換えるそれならお前が主導権を握ることもない」「そうしたら私の意識はなくなるだろうけどその代わりこの子ただのど変態になるかもよ?」「どういうことだ?私を体の一部として使うってことは、淫魔の特性が出る子は出るから」「ちっ」「うわー露骨ねえ」「分かった仕方ねえな」「どうにもならんか」「腹はくくった?」「ああ」

「淫魔お前の真名は?」「われ桜姫月詠(サクラヒメツクヨミ)なり」

「サクラヒメツクヨミに問う、あなたは自身の自我と命を対価にしこの娘を救うと誓約するか?」「われこの娘に心からの謝罪しこの娘の命を救い終生この娘の力にならんことを誓約する」と淫魔が叫ぶ「お前!」「甘かったねw」

「ちっ」(くそ、厄介な誓いを立てられた仕方ない)

印を結び頭に流れる言葉を歌う「その道に、月日はあれど、晴れゆきて力は沸ける月の輝き、命とは、大火の蝋燭ぞその日は天命にてぞ尽きるものなり、人のよは光と闇の海原ぞ大火の蝋燭その海原渡る、日の絵火のと戊己かの絵辛、命とは燃ゆる大火の蝋燭ぞ、天命尽きるその日まで尽きることを知らぬ者なり」「五行相剋し五行奏上となす、魂魄符君(コンパクフクン)」印をきりて両手を淫魔と山口に向け手で水をすくうように閉じるすると、淫魔に首輪と腕輪が付いた瞬間淫魔が粒子のように消え、山口の肉体に吸い込まれていった。

すると、山口の動脈の傷はどんどん塞がり、顔色が元に戻っていった

ただそれ以外にも、クラクラするような優しい香りが微かに漂い始めと肌艶が異様に良くなっていったようにも思う、「はあ、下手に人助けしてまさか人を殺しかけて死にかけの淫魔に人生救われるとはな‥」とため息をしながら思考していると、山口の流した血の塊が宙に浮いているのに気づく「うん?まさか!」そう

分離したナマナリが、山口の体の一部になった淫魔の残滓に反応し鬼の形にかたどりはじめる、「淫魔に反応したかクソ」周囲を見渡すと淫魔の残した荷物に何枚かの小銭が見えたので掴み、横たわる山口の周囲に星の形になるように並べる「五行が守護し五行で維持す五方布陣」と唱えるすると、星形に並べた小銭から光の線が出て小銭同士を結ぶ。「これで本人はいいや」即にいう結界である。

「さてさて、この鬼はどうしますかな」とポケットを探ると飴があったので袋から出し、頭に流れた言葉を出す「恨むなよ、人を恨まば穴二つ、誰もが苦しみ沼にハマるる、その沼は本来の幸を逃すもの、幸とはすなわち恨まぬことぞそうすれば新たな幸と神の守護与えられ幸振るものぞ」と唱えつつ、自分なりのイメージを描きながら、血で象られたナマナリの口に飴を入れると

ナマナリの角が溶けるように無くなっていき、山口の顔に戻り「ありがとう」というと蒸発するかのようにナマナリは消滅し、男の周りにその煙がまとわりついたあと消えた「邪気の残滓はない、消えた?納得してくれたか?」と安堵していると男が、山口の前に近づき「さえ?大丈夫?」と体に触れよう近づいた瞬間嘔吐した「なんで急に」「おそらく、あの鬼が成仏する際に縁切りの呪いを残したんですよ」と男に語りかけると「なんだよそれ!?」とキレ顔で反抗してくる、「この女性が幸せになるにはあなたがいるとダメだと思ったのでは?」「あなたこの女性以外に何又かかけてるでしょう?」「そんなことしてねえよ」と反論する男に真顔で、「嘘ですね、それなら嘔吐の症状は出ないはずですし寒気も感じないはずだ」と返すと、図星だったのか「なんでわかるんだよ?」「単純です、想いが本物ならこの呪い意味はないですから」「今隠したでしょう?おそらくもうこの女性にあなたは近づけなくなりますし、この女性もあなたの記憶も無くなります。」「どういうことだ?」と問いかけてきたので「ナマナリは元はこの女性の一部この女性の潜在意識があなたを否定したという事実がその呪いです、この呪いは相手の想いが本物であるなら害はないんですよ一切、本命の女性なら問題ないんです最悪浮気しててもね、だがあなたは嘘を吐いたそれによって呪いが発動しあなたは、嘔吐しそしてこの女性がそばにいるだけで寒気が止まっていない」

「おそらくあなたは、この女性との記憶はなくなりこの女性に興味も示さなくなります、そしてこれから女難に見舞われるでしょうそれはあなたが招いた不始末です」「おそらくこの出来事も思い出せなくなります」というと又嘔吐したので印を組み「心身気入迷眠」と唱えると男は意識がなくなって倒れたので、近くのアルコール自販機の横にもたれかけさせ、ビール缶を数本買い男の蓋を開けて男の服や‘頭にかけ、そこらにおいてから脈と呼吸だけ確認し女性の元に戻ると、

女性が起き上がりこちらを見ていた「終わったんだ?」と問いかけてきたので、「ああ、で?乗っ取った感想は?」と皮肉まじりに淫魔に問いかけると「大丈夫よ淫魔の根源となる力を最後に使い果たしてアンタに喋りかけてるから、乗っとりにはならない、この子がビッチにならない限りねw」「そうか、まあいい」「あの鬼の呪いでしょ?分かってるわよおそらく私の力を封ずる形でうまく作用するから安心なさい」「そうか、わかった」「ただ用心なさい、力を無くしたとはいえ人の世に残ってはいけない入れ物は残ってるわよ悪用できる力を持つ奴は悪用できる、おそらくアンタはこれから平穏は簡単には手に入らない覚悟しとくことね」「そんな気はしてたよ」「おそらくこの子の記憶はあの鬼の呪いも合わさって色々混濁し記憶が改変される、適度に調節して帳尻を合わせることね」「ありがとうと言っておく」「素直じゃないわね」「まあいいわ、この子を通してあなたの人生見せてもらうわ。」「へいへい」「ベンチはどこ?」「なぜ?」「時間が来たみたい」としおらしく語りかけてきたので「こっちだ」と案内し、海岸沿いのベンチに案内するとベンチにスッと寝転びちょこっと、スペースを開けた。

「さてあとはよろしくね1時間もすればこの子も目が覚めるわ」「わかった」「ソレじゃねえ坊や」「ああ」と返事すると、再び山口の体は目を閉じた。目を閉じたのを確認すると、スマホを出して119にかける「すいませんコンビニからホテルに帰る際に公園で女性がベンチでぐたっとしているので通報したのですが」と事情を説明して救急車を呼ぶと、15分後救急車が来て救急隊員と原付で来た警察官に事情を説明すると、「この季節だから大事には至らなそうですが、漫画いいちということもあるので通報してくださって良かったです、どうします?乗りかかった船みたいですし気になるならついてきますか?」と救急隊員が声をかけてきたので、「いえ、事件性がないことも確認したいので病院までついてきていただけますか?」と警察官が言ってきたので、スマホを出して「ホテルに連絡してもらっても?」言いながら差し出すと警察官は「わかりました」とスマホを受け取りホテルに連絡し、ホテルに事情を説明してくれたすると、途中で「ホテル側からお話があるそうです」とスマホを渡してきたのにとると「パパズホテルでございます、この度は大変ご苦労様でございます今回は人命救助という事情もございますので、八雲様のチェックアウト時間を今回は特別に延長し、無料で20時までとさせていただきます、一通りの手続きが済みましたらホテルにお戻りになりゆっくりお休みください」と丁寧な対応をしてくれたので「ありがとうございます」と謝辞を述べて電話を切る。

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